Voyage

はじめに

みなさま、お久しぶりです。Ryosukeです。
2020年に活動休止を発表して以来、NoisyCellとして言葉を発信するのは約4年ぶりになります。
さて我々は先日、ライブイベント「Voyage」の開催を発表させていただきました。チェックしていただけましたでしょうか。
今回はこの場を借りて、Voyageを開催することになった経緯とその想いについて少しお話できればと思います。
長くなってしまうと思いますが、どうかご容赦ください。

"Voyage"開催の経緯

NoisyCellは2020年11月30日に活動休止を発表しました。理由はいろいろありましたが、最も大きな要因はやはりコロナウイルスの感染拡大でした。
ライブができない、メンバーとも会えない状況が続く中で、少しずつメンバー同士の気持ちにもズレが生じ始める。ちょうどこの時期、多くのバンドが抱えていたであろうそんな気持ちを僕たちも同様に抱えながら、結果として活動休止や解散を考えざるを得ませんでした。
そんな中、Ryoから「バンドを辞めたい」という話があり、それがたまたまきっかけとなって、NoisyCellは必然的に活動を休止することになりました。正直なところ、最初は活動休止ではなく解散を選ぼうとしていました。
その当時、バラバラになってしまっていたメンバーそれぞれの気持ちをバンドへ向け、もう一度揃え直すのはとても難しいと感じていましたし、再起させるつもりがないまま活動休止を選ぶのは、ただ解散を先延ばしにするだけ選択となってしまうように感じていたからです。でもそんなとき、Kiaraが「どうしても解散はさせたくない」と強く言ってくれたので、じゃあ活動休止にしようか、と結論し直し、NoisyCellは活動休止することになったのでした。

それから、それぞれがそれぞれの道を見つけ、歩み、自身を取り巻く環境を前向きに変化させていく中、僕は心の端っこでずっと違和感を感じ続けていました。学生の頃から自分の人生のほとんどすべてに寄り添ってきてくれていたNoisyCellというかけがえない存在に対し、何の決着もつけず、人生のある地点に置いてけぼりにしたまま自分ひとりだけ無責任に歩き続けているような気がして、そのことが心の中でずっと引っかかっていたのです。あいつは今でもまだ俺たちのことを待っているんだよなあ、と、そんな風に思うとやっぱり堪りませんでした。
ちゃんと終わらせてあげなければ、と思いました。

2023年の3月頃、僕はメンバーそれぞれに「解散ライブをやらないか」と声をかけます。返事はすぐに返ってきて、全員二つ返事で賛成してくれました。
その年の6月、久しぶりにメンバー全員でスタジオに入ることになりました。余談ですが、その日はバンドを始めたばかりの頃のような新鮮な喜びに満ち溢れた、最高の1日でした。
それから今日に至るまで、4人それぞれの忙しいスケジュールの合間を縫っては集まり、音を出し、「Voyage」というイベントに向け、少しずつなんとか歩みを進めてくることができました。

NoisyCellの音楽やライブはとても緻密で繊細で、全員が心血を注ぎ、それだけを考え続けてやっと形になります。考えてみれば今回のライブ「Voyage」を作り上げるのにも結局、都合1年半ほどかけることになるわけですね。
活動休止以降、メンバー4人それぞれが自分の道を見つけ、そしてその道をしっかりと歩んでいます。友人としてとても誇りに思います。
だからこそ、そんな4人が再びNoisyCellという看板を背負い、肩を組み、同じ方向へ同じ歩幅で進むことは、現実的にもうほぼ不可能であると、切ないほど理解できます。
また、そんな現実を知りながら尚、「活動休止」という形でNoisyCellを置き去りにしたまま、これからの人生を歩み続けることは僕にはできません。

だから、NoisyCellは2025年2月8日をもって解散とします。
この日のライブ「Voyage」が、僕たちがNoisyCellとしてステージに立つ最後の日です。

"Voyage"について

このタイトルは言葉の意味通り「長い航海」を示しています。
このVoyageという言葉に潜っていくにあたり、少し過去を振り返る必要があります。

バンド活動は現在の僕の人格を形成する上で欠かせないライフイベントのひとつでした。 性根が内気で引っ込み思案であった自分にとって、バンド活動を始めた高校生の時分より、ステージの真ん中に立って歌うことは苦痛でしかありませんでしたが、それでもこのメンバーと一緒に音楽がしたい、Ryoが作るメロディを歌いたいという気持ちひとつを盾に、沢山の悩みを抱え恥をかきながらなんとかバンドという形を成してきました。
そんな活動を通して、素直な自分でいることの難しさや大切さ、プライドの持ち方と捨て方、他人を慮り意志を貫くことの難しさや大切さ、努力、根性、金、愛情への感謝、物作りに対する姿勢など、人生で持つべき持論のほとんど全てはNoisyCellを通して学びました。
活動が休止した直後の僕にとっては「バンド活動が自分の人生そのものだった」と言っても過言ではありませんでした。

ところで、NoisyCellは過去数回、自主企画として「LightShip Cruise(ライトシップクルーズ)」という名前のライブイベントを行なっていました。
ラウドロックバンドとしてNoisyCellがデビューして以来、僕たちの音楽性も少しずつ変化していき、またそんな新しい音楽へのファンが増えていく中で、段々とデビュー当初やっていた重たいサウンドの楽曲を披露する機会は、無くならないまでも少なくなっていました。 そんな中「自分達の初期衝動を忘れたくない!」「デビュー当初からのファンも満足させたい!」という想いが募り"ラウドイベント"として実現したのがこの「LightShip Cruise」というイベントでした。
このイベント名は、直訳すると、「灯台船の航海」です。 灯台船とは、灯台を載せた船のことで、暗礁や浅瀬などに船が乗揚げないないように目印として海上に滞留させられ続けている船のことです。 僕らにとっての変わらずそこにあり続ける目印(初期衝動)をこの灯台船に喩え、ただ目印としだけ置いておくんじゃなくて、その船で大海へ漕ぎ出しちゃおうぜ!という気概を持って「LightShip Cruise」というイベント名を付けました。
このように、NoisyCellというバンドと「航海」というフレーズにはそんな経緯で少しだけ親和性があるのです。

さて、Voyageというライブは、僕個人にとってもメンバーにとっても実質的に、これまでのバンド人生の終わりと、新しい人生の始まりを意味しています。 そんな"これまで"と"これから"を「長い航海」という意味の「Voyage」という言葉に託し、NoisyCellのメンバーや、それを支えてきてくれたファンの皆様が、新しい仲間と、次の新しい目印に向かって進んでいけるようにと願いを込め今回のイベント名を「Voyage」と名付けました。

最後に

改めて、2025年2月8日を以てNoisyCellは解散します。今回の発表に伴い、復活や活動再開を期待させてしまった方にとっては残念なお知らせになってしまったかもしれません。もしそれによって辛い想いをさせてしまっていたら、ごめんなさい。
ただひとつ言えるのは、僕もメンバーも"NoisyCellを無くしたい、無くなった方が良い"とは微塵も思っていないということ。
全員、心からこのバンドのことを愛しています。
だからこそ、ちゃんとお別れを言いたいのです。

これまでの姿を保ったまま、NoisyCellをこの先の未来へもう一度走らせることは、今の僕たちの力では叶えることはできませんが、
ただ、どうやらあともう少しだけ、もう一息くらいは、NoisyCellとして息をすることが出来そうです。

だから、皆様にお願いがあります。

NoisyCellというバンドが在ったことを誇るためのエゴと親心と身勝手に、どうか最後までお付き合いいただけないでしょうか。
このバンドとあなたとで一緒に作ってきた"これまで"と"これから"に想いを馳せる大切な1日を、またあなたと一緒に作れるのなら、このバンドにとってもうそれ以上のことは他にありません。

最後に、Voyage開催にあたり、
もう一度メンバーと、ファンの皆様と、同じ気持ちを持って集まれたこと、集まれる未来が生まれたことの奇跡に心から感謝します。
本当にありがとう。

拙い文章を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
それでは2月8日、皆様に会えることを心待ちにしています。

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