優柔不断
優柔不断である。
自分が優柔不断だということは理解しているから、注文の時もあまり悩まずスパッと決めようと心がけている。しかし、スパッと決めたときに限って注文を終えた直後に「もう少し吟味してから決めても良かったな」なんて思っている。
優柔不断だから本や服を選ぶ時、一時間ほど迷うことがよくある。一時間も迷っていると、当然次の予定が迫ってくるので店を離れる必要があるのだが、優柔不断なくせにタイムパフォーマンスを大切にしているから「一時間も悩んだのに何も買わないのはもったいない」と考え、よくわからない物を買ってしまう。
その結果、帰りの電車の中で「何でこれを買ったんだろう?」と真剣に悩んでいる。本当に必要な時に限って優柔不断は力を発揮しない。
優柔不断は時に他人に迷惑をかける。
何を決めるにしてもいつも自分が一番最後だから、必然的にみんなの視線が自分に集まる。さっさと決めれば良いのだが「みんなに注目されている状況で適当な判断は出来ない」と、謎の責任を感じてさらに迷ってしまう。
長時間悩んだわりに、注文するものは大抵一番最初に良いなと思った商品である。恐らく、決断そのものよりも「吟味した」という事実の方が大切なのだろう。自分が見ていないだけでもしかしたらもっと良いものがあったかもしれない、なんてことを考えてしまうのだと思う。
後悔をしたくないという気持ちが僕を優柔不断にさせているのかもしれないが、その割には後悔ばかりの日々を過ごしている。人生は思うようにいかない。
こんなにも優柔不断なくせに、自分が優柔不断であるということについては何の疑いもなく信じている。
結局人間とはなんでも都合良く受け取る生き物なのかもしれない。もちろん、それも自分だけなのかもしれないが。