出資馬が初勝利するまでのあれこれ
2年ほど前から「ウマ娘」がきっかけで競馬を見るようになり、現在ではDMMドリームクラブにて一口馬主を始め、3頭に出資しているくらいにはハマっています。
そして先日2024/6/2に出資馬ドリームクルーズ(3歳牝)が初勝利をあげました。
それを記念?して出資してから初勝利するまでのあれこれを文章が下手くそながらも残していきたいと思う。
ドリームクルーズとの出会い
2022年の秋くらいにDMMドリームクラブから白毛の子(エクラドネージュ)の募集がされており、一口辺りの金額も高くないので一口馬主デビューした。
しかし、その子は当歳馬(=0歳)であったため、早くても2年後のデビュー予定だった。
それまで待ち切れないと思って翌年デビュー予定の子を探していて、候補を2頭まで絞り込みながら迷っていた。
1頭はサトノクラウン産駒で栗東の厩舎、もう1頭はエピファネイア産駒で美浦の厩舎。
「美浦の厩舎ならデビューは中山か東京だろうから比較的現地で応援出来そう。」
という安易な考えから出資を決めたのが「ドリームクルーズ(パセンジャーシップ2021)」だった。
正直、血統がどうでこの配合が云々とかは分からなかった。クラブのコラムで血統評価が載ってたりしたが、良く分からなかった。とりあえずダートでも走るかもと言われてたから最悪地方でもいいから走ってくれる所見れればいいなぁと思ってた。
あとは初めて好きになった馬がジャックドールなので栗毛で流星の感じも似てるかもって所で出資を決めた。
どこの競馬場でいつデビューするのか気にしながらクラブからのレポートを読みつつ来る日を楽しみにしていた。
8万人が集まる中でのデビュー戦
2023年の8月中旬に美浦の戸田博文厩舎に入厩。
トレセンでしっかり準備を進めて、2023年9月21日にゲート試験合格。あとはデビュー戦を待つだけだった。
デビュー戦(11/5)に向けて調整をしていく中で挫跖してしまったということで1度デビュー延期。
症状は幸いに軽いとのことで11/18をターゲットに調整を進めていく。
11/18は調教で乗ってくれていた大野拓弥騎手の都合が合わないということで菅原明良騎手が予定されていたが、適正と大野拓弥騎手の予定を考慮して11/25の東京芝1600mでのデビューが目標となった。
しかし、11/25の新馬戦は抽選で除外となってしまったため、翌26日の東京芝1800m戦でのデビューが決まる。
11/26の東京競馬場
後に2023年ロンジンワールドベストレースに選ばれる「第43回 ジャパンカップ」の日である。
当日は指定席が取れなかった関係で当初はジャパンカップを観に行くのは諦めていたが、デビュー戦となると話は変わってくる。
ちょうど友人から入場券で行こうと誘われてたこともあり、行くことにした。
なんとかゴール板近くの位置を確保してひたすら耐え、知り合いの方のご協力もあり、パドックで初めてドリームクルーズと対面した。
競馬場に行けば馬に会えるのは至極当然のことである。しかし、自分が出資している馬に出会うということは貴重なことである。
自分の出資馬。一口とは言え、広義的な解釈をすれば、自分の愛馬である。
今までクラブのレポート動画でしか見たことの無かった馬が目の前を歩いてるその姿を見れただけでもかなり嬉しかった。
肝心のレースではスタート出遅れて最後方からの競馬となり、9着で入線。
初めてのレース、8万を超える大観衆の中で臆病な面をみせてしまったこともあり、結果は残念であったが、無事完走してくれただけでもほんと良かったと思う。
デビュー戦が何度か延期になり、在厩期間が長くなったこともあり、この後リフレッシュのために少し放牧に出されることになった。
不透明な次走報と出資者の不満
12月頭に山元トレーニングセンターへ放牧に出されてからはクラブからの情報を待つだけの日々。
たまにある動画で様子を見て、トレセンスタッフからのコメントをみながら次はいつになるのか考える日々だった。
一応情報としては放牧出した辺りで2月中の東京芝1800mを考えてるとコメントされてたが、年を明けてからも次走の情報が出ることが無い。
そんな中でトレセンでの動画レポートの所にコメントで「レースにはどんどん使え」「こんなのだから預託厩舎はリーディングが低い」などと好き勝手言うコメントが目立つようになっていた。
またnetkeibaさんの掲示板内でも他クラブの馬と比較して批判するようなコメントも増えていっていた。
次走の情報が出ないことで不安になってるのかもしれないが、だからといって厩舎批判とも取れるコメントが増えてるのがとても残念でならなかった。
そんな荒れた出資者が出てきた頃に次走が2/18の東京芝1800mと発表されるのであった。
2戦目はちょうど友人と志摩スペイン村に行ってる最中であったため、現地観戦は叶わなかったが、志摩スペイン村のレストランでパエリアを待ちながらJRAアプリでレースを見ていました。
結果は最後の最後で差されてしまい、4着。
デビュー戦9着から大幅に順位を上げ、初掲示板確保。立派に成長して次に期待が出来るレースだった。
美男美女カップルの誕生と初物尽くしの中山競馬場
2戦目で4着になったことで1ヶ月の優先出走権を得ることが出来たこともあり、次走は早く発表された。
2戦目が終わって1週間以内。しかも鞍上はリーディング上位で若手の期待の星である坂井瑠星騎手。まさかそんな騎手に乗ってもらえるなんて思ってもなかった。
イケメンで女性人気も高い坂井瑠星騎手とドリームクルーズ。まさに美男美女カップルであった。
坂井瑠星騎手が乗ってくれるということで期待値も高かったが不安要素もあった。
それは初中山競馬場、初右回り、初距離短縮という点だった。
クラブからのレポートなど見る感じ、大人しいが、臆病な部分もあるとされていたので、慣れてない場所で不安になったりしないか気になっていた。
実際、中山競馬場のパドックに入ってきた時は戸惑っているような様子で、パドックでは物見することが多かった。
また東京では1800m戦であったが、今回は1600mと1ハロン(200m)短くしている。
おっとりとした性格のせいか、ゲート出もあまり上手くないため、出遅れたら致命的で、また東京に比べて直線が短い中山のため、末脚勝負に出たとしても仕掛けどころが難しくなるなど心配要素が多かった。
レースでは懸念されていたスタートはそこそこ上手くいき、6、7番手を追走。4コーナーで外に出してから坂手前で加速していくイメージで坂井瑠星騎手は乗ってくれたが、その更に外にいた内田博幸騎手の馬に上手く蓋をされ、外に思うように出せず、なんとか3着。
坂井瑠星騎手の狙いとしては理想通りだったが、4コーナーで蓋されることが無ければスムーズに抜け出せていたことを考えると悔しい結果だった。
初めての馬券内と考えれば嬉しいことかもしれないが、ベストを尽くして相手に上手くやられたがゆえに勝ちきれなかった方が印象的なレースだった。
迫るリミットと横山武史騎手との出会い
3戦目を終えた後、坂井瑠星騎手がダートを試しても良いかもしれないとのコメントをしていた。血統的にもダートが走れる可能性はあると前から評価されていたために「路線変更で兎に角勝ちに行け」という人々と「馬の性格を考えると砂被りを嫌がりそうだからこのまま芝で行ってほしい」という人々の対立みたいなことが起きたりもしていた。
その中で次走が発表された。
C.ルメール騎手。
日本のトップジョッキーが乗ってくれることになり、誰もが驚いた。
3戦目で坂井瑠星騎手、4戦目でルメール騎手に騎乗依頼する辺り陣営としてもなんとしても勝ちに行きたいという思いがあったのかもしれない。
それもそのはず。出走している3歳未勝利戦が終わる8月末までに勝ち上がれない場合、残された選択肢としては3つ。
・1勝クラスの格上挑戦
・地方移籍
・引退
今後重賞挑戦とかを狙うのであれば早めに勝ち上がる必要があり、また中山か東京でのレースに限ると6月末の春の東京開催が期限となり、馬のコンディション、距離適性なども考えると出走できるレースがどんどん限られてしまう。夏までに勝ち上がりたいと考えたら4月5月辺りで勝負をかけるしかないのである。
しかし、次走が発表された3日後に残念な知らせが入る。
次走で騎乗予定していたルメール騎手がドバイで落馬負傷してしまったのである。肋骨と鎖骨骨折から2週間で復帰するとは考えられず、ルメール騎手がドリームクルーズに乗ってくれることはかなわなかったのである。
そしてクラブのレポートでルメール騎手の負傷報告と次の鞍上の発表がされた。
横山武史騎手といえばエフフォーリアとのコンビの印象が強く、エフフォーリアもドリームクルーズも同じエピファネイア産駒ということもあり、期待する人が多かった。
スタートがあまり上手く無いし、前走のように横山武史騎手も乗ってくれれば今度こそと思ったレースではまさかの逃げ。
今までのレースを考えたら驚きの作戦だった。
スタートが上手じゃない子がまさか逃げるなんて。今まで末脚勝負してたのに、最初に脚使ったら持たないんじゃないかと心配になったが、4コーナー回っても先頭。
これはあるんじゃないかと思ったが、残り100m切ったところで外から差されての2着。
レース後のコメントではやはりゲートが上手くないことは認識していたが、内枠だったこともあり、上手くポジション獲れたことは収穫だと言われていた。
デビュー戦では出遅れからの追込み9着だった馬が、4戦目ではスタート上手くいって逃げて2着。
これだけでも十分な成長を感じる。2月から3カ月連続出走で流石に疲労があるんじゃないかと思っていたし、厩舎コメントからも仕切り直しと言われていたので放牧かと思っていた。
しかし、レースの翌週火曜日のレポートでは状態も問題ないから次も行けそうと続戦が発表された。
再びの東京と継続騎乗
4/13のレースの翌日が皐月賞の日であり、それと同時に中山競馬場の春開催が終わってしまうため、舞台は東京競馬場へと移された。
ここまで毎回鞍上が変わっていったため、次はどうなるかと思っていたら横山武史騎手で継続騎乗と発表される。
デビューから9着⇒4着⇒3着⇒2着と来ており、次こそはと期待する人も多かった。
レースは前走と同じく逃げ。
残り400mの時点では先頭だったが、坂を登った辺りで一度交わされ、すぐ差し返すも永野猛蔵騎手の馬に交わされ2着。
レース後のコメントではスタートは上手く出てくれて、直線で一度差し返そうとするところもあったので成長を感じると。継続騎乗してくれているからこその前走との変化をしっかり見てくれているなぁと感じた。
厩舎コメントでも課題はありながらも成長していると言われており、横山武史騎手の都合を聞きながら次走を考えるとあり、ドリームクルーズの主戦騎手は横山武史騎手しかないということが確定した。
波乱ありの初勝利とメモリアル
2024/6/2
安田記念が開催される東京競馬場の3Rに出走することとなったドリームクルーズ。横山武史騎手の意見を参考に芝1400m戦に臨むことになった。
デビュー戦(ジャパンカップ)、2戦目(フェブラリーステークス)に続いて3度目のG1デーの出走。
この日は開門前から並んでウィナーズサークルに場所を確保してそこから観戦することにした。3Rが終わったときに目の前に横山武史騎手と一緒に来てくれることを期待して。
先日行われていたDMMドリームクラブのパーティにてドリームクルーズについてコメントを求められていた横山武史騎手。その際に、「逃げだけではなく差す競馬も考えている」と言っており、宣言通り、スタートは外枠だったこともあり、番手を取りに行き、道中は控える競馬に徹する。
小林美駒騎手の馬が逃げており、追走する形であったが、残り100mの地点で捉える。
ウィナーズサークル前で撮影していたため、その後の様子は正面のビジョンにて見守っていた。
1着でゴールした瞬間はめちゃくちゃ叫んで喜んだことを覚えている。
しかし、着順掲示板には「審議」の文字。
一応着順掲示板の一番上には「14」と表示されている。
何がどう審議対象なのかもわからない状況。
現地で審議を見るのも初めてでどうなるのか不安でしかなかった。
場内アナウンスではドリームクルーズの進路が狭くなったと言われていたので被害馬の立場なら降着は無いだろうと思っていた。
途中映し出された映像では小林美駒騎手の馬がよれてドリームクルーズが外に弾かれる形になり、杉原誠人騎手の馬の進路に影響している。
ドリームクルーズは被害馬でもあり、加害馬でもあるように見えた。
まだ確定が出る前にウィナーズサークルにはDMMドリームクラブ代表代行とドリームクルーズに出資して口取りに当選した方たちが入場してきた。
口取りに当選した人たちも着順掲示板を眺めているそんな状況。
(これで仮に降着だったらどうなっていたんだろうか・・・。)
そして「審議」の文字が「確定」に変わった。
6戦目にして掴んだ初勝利。
2月からこの日まで毎月出走。
臆病でデビュー戦後はピリピリしてきたからリフレッシュのために放牧出されていた子が毎月出走するなんて考えられたであろうか。
また厩舎の馬房には限りがあるにもかかわらず、ずっと在厩で調整してくれてた戸田博文調教師には感謝しかない。ドリームクルーズ自身のコンディションももちろんだが、馬を信じて在厩で調整してくれたからこそ成しえた勝利だと思う。
そしてドリームクルーズとしては初勝利だが、もう一つこの勝利には意味があった。
横山武史騎手JRA通算600勝目のメモリアル勝利となったのだ。
5/19のレースでJRA通算598勝となり、600勝目前だったが、翌週は勝ちに恵まれなかった。
6/1に1勝し、600勝に王手をかけたところで、6/2の最初の騎乗機会がなんとドリームクルーズであった。
ドリームクルーズに出資している一個人としては出資馬の初勝利だけかもしれないが、その勝利が騎手のメモリアルになり、横山武史騎手の歴史の1つに刻まれたことが本当にうれしかった。
横山武史騎手もレース後のコメントではドリームクルーズのことを「思い出の馬になった」と言っており、とても良い初勝利となった。
あとがき
一口馬主はじめてから初めての出資馬勝利を見届けることが出来て一安心とともに1勝あげるまでに色々あったことを考えると感慨深いものがある。
1勝して終わったかのような感じになっているが、ここからまた相手関係が強くなっていく訳でより厳しいことになるかもしれない。
それでも長い目で馬の成長を感じながら応援して行けたらよいなと思う。
DMMドリームクラブは出資していない馬でも応援してくれる人が多い印象があり、現地で観戦してても保護者会のような感じでたくさん応援しているのでそんな雰囲気なクラブで一口馬主デビュー出来てよかった。
改めてドリームクルーズ、戸田博文調教師、戸田厩舎の厩務員の方、横山武史騎手、ドリームクルーズ出資者の皆さん、初勝利おめでとうございます。