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【木工屋】全てはここから始まった⑨ 〜掃除機用スタンド〜

年末年始に大きく売り上げを伸ばした掃除機スタンドは、2月に入るとやや落ち着くも、春からは新生活需要で再び売り上げを増やし、暖かくなる頃には月平均80万円の売り上げを上げるようになりました。
起業して半年というと普通は黒字化達成を目指してかなり苦労する時期のはずですが、ダイソン掃除機のブームと、その使いにくさ(充電器を壁にビスどめできない)に対するソリューションをダイソン自身が対応しないという幸運によって、吹けば飛ぶような工房黒坂製作所は大変な恩恵を受ける事になります。

Amazonに担当がついた

当時売っていた掃除機スタンドは、今贔屓目に見てもなかなかニーズを押さえたものに仕上がっていたようで、純木製であるということと収納効率の高さ、堅牢さは唯一無二でした。
そのせいか、総販売数では同業他社には及ばなかったものの、ついにはAmazonおすすめマークがついて検索リストでは最上位に表示されることもあるようになりました。
そんな折に、ある日Amazonから電話がかかってきます。
なんでも担当として色々アドバイスさせて頂きたいとのこと、これは大変ありがたいことです。
というのは、Amazonはアメリカの会社だなと強く感じる点の一つとして、「中の人に連絡が取りにくい」ということが挙げられるのですが、つまり日本の会社なら当たり前のように問い合わせ用の電話番号がホームページやその他に記載があるところ、Amazonの場合はそれがないのです。
Amazonで何か困ったことがあったらセラーセントラルという管理画面のサポート機能からチャットか電話対応をリクエストし、電話の場合は相手側から追ってかかってくるというようになっているのですが、これがなかなかに面倒で、「なるべく電話をかけてくれるな」という意思が見え隠れしています。

通常Amazonでサポートを受けるには結構面倒な手順が必要

元々アメリカの会社は個別の対応をやりたがらない

会社で仕事をしている時に電話がかかってくると、それまでやっていた仕事を止めて受話器を取り、頭のメモリを電話対応のために一旦リセットしなければなりません。
そして対応が終わって受話器を置き、再び元の仕事に戻るには色々思い出すのに時間がかかるもので、仕事を中断される事による効率のロスはなかなか無視できないものです。
休日出勤で溜まっていた事務作業をやると効率が妙にいいのは、そういう電話が掛かってこないことが一番の理由でしょう。
そういうわけで、デスクワークを効率よく行うには「いかに電話に出ないか」ということが肝心なのですが、日本の習慣ではとんでもない話に聞こえます。
ところが万事効率が一番のアメリカはそうではありません。
以前仕事で関係があったアメリカのガイガーカウンターのメーカーの場合、電話をかけると外部のコールセンターに問答無用で繋がって、大変申し訳ないがXX氏は現在席を外していて、後で折り返すように伝えるので名前と電話番号とメールアドレスを言ってくれと返されます。
特に電話で毎回メールアドレスまで伝えるのはかなり面倒で、そのままアルファベットのabcで発音すると電話では伝わりにくいのでフォネティックコードで「アルファ、ブラボー、チャーリー、アット・・・」というようにやっていたのですが、正直ヤキモキさせられたものです。
とにかく問答無用で自分のペースで仕事をやるアメリカはすごいもんだ、電話の問い合わせでいつも仕事の足を引っ張られていたサラリーマン時代の私は、そういう(日本的には)無礼なやり方ができるアメリカが羨ましかったものです。

Amazonの日本法人の場合でも同様で、セラーセントラル経由でトラブル処理の窓口と電話で話をするのもなかなか大変なのですが、マーケティング担当という「中の人」から直接電話がかかってきてこれから色々サポートしたいというのですから、これは大変ありがたいものでした。
実のところ、この頃には「あなたの商品を検索リストの一番上に表示させて欲しいのですが」というSEO業者からの営業電話がひっきりなしにかかってきていて大変煩わしく感じており、最初にAmazonから電話を受けた時は、同じような営業電話かと勘違いしかけたのですが、話を聞けばそういうことでした。
こちらもよろしくお願いしますということで、その後1年にわたってこの担当さんには無償で相当お世話になる事になります。

つづく

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