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【旅行】仙台苫小牧ドンブラコ -21- 新日本海フェリーすいせんに乗って家に帰ろう
夏休みの1週間にわたる旅行もこれで最後の移動となり、苫小牧から福井まで新日本海フェリーに乗ってこれから帰る。
夜9時過ぎに苫小牧東港に到着、それまで原野の真っ暗な中をバスで移動していたのだけれども、にわかに人のいる場所に出てきた。
バスを降りてターミナルに向かう間に、ものすごい広い場所にぎっしりと車両や自動二輪が列を成して乗船を待っている。
特に夏であることから、ツーリングで利用する人が相当多いように思える。
その向こう側にはさらに広い駐車場があって、搭載待ちのトレーラーがぎっしり停まっていて、北海道の物流はこのように成り立っているのだなということが改めてわかる。
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事前に空中写真で港の施設を見ていたときは、なんだか小さな建物がポツンとあるだけに見えたのだが、そうではなくて周囲の駐車場が広大すぎてターミナルが相対的に小さく見えただけのようで、ちゃんとしたターミナルがちゃんとした大きさで建っていた。
なお車両ごとランプウェイから乗船する乗客と違って人間だけ乗り込む我々のようなのは徒歩の乗客というそうだ。
そんなわけでターミナルに徒歩で入る
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それでは定刻になったので乗船しよう。
苫小牧−敦賀の航路は「すずらん」と「すいせん」という2隻が就航していて、お互いが入れ違いに航行している。
共に姉妹船で17400トンというから結構大きい。
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正面に見えるのは北海道電力苫小牧発電所
乗船して船室に荷物を置くと、程なくして船の機関に火が入ったようで、ドコドコという軽い振動を感じるようになる。
それまで建物のように感じていた船が、乗り物に変貌する。
やがて船は苫小牧東港を出港、あっという間に港の灯火も見えなくなって周囲は完全に真っ暗になる。
しばらく露天甲板を散歩していたが、時刻は11時を回っており、疲れも溜まっていたのでそのまま寝ることにした。
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翌朝はよく晴れた天気で、周囲360度全て水平線だ。
船は27ノットで快調に日本海を航行、27ノットといったら約時速50キロなので、時速50キロで走っている車にハコ乗りをしているのと同じくらいの風が吹いている。
船に乗るといつも強い風が吹いているのはそういうわけで、凪でもない限り海は常に風が吹いているものだが、これに自身が移動する速度が加わった合成風力を身に受けることになる。
無論追い風であれば相殺され向かい風であればさらに強風になる。
客船であれば天気が悪ければ船内に引っ込めば済む話だが、常に甲板で作業する船員や軍艦の水兵、漁船の漁師は大変だ。
海が荒れればこれにさらに船の揺動が加わるので、なるほど海の男は強靭になるわけだな。
それでは船内を見て回ろう。
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船に乗っているとかなり運動不足になるので運動は大事
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新日本海フェリーの敦賀-苫小牧航路は21時間でお互いを連絡するのだが、深夜の出港で目的地には翌日の夜に到着するというスケジュールになるので、二日目はほぼ丸1日を船内で過ごすことになる。
なので、船内には楽しめるものがかなり豊富に揃っている。
私が一番気に入ったのは風呂で、スーパー銭湯に匹敵するほどの大浴場が備わっていて、サウナも今風の軟弱な低温サウナではなく、船らしく100度近い温度になる本格サウナだ。
それから映画館があったが、これも良かった。
小さいながらも立派に映画館で、今回ここで1本映画を見たが、のんびり船の時間を過ごすにはいいもんだ。
他にも体育室やゲームコーナーなどもあって、クルーズ船ほどではないが丸一日を過ごすには退屈しないものが揃っていた。
交通機関といったらバスや鉄道、飛行機など様々なものがあるが、船が絶対的にこれらに優っているのは居住性で、じっと座っているだけでなく気が向いたらあちこち歩き回れる自由度は比較にならない。
飛行機で映画は観れるがまさか風呂には入れないだろう。
ホテルに泊まったまま、というかデラックスな健康ランドごと移動しているようなもので、移動そのものが楽しみになるのが船旅といっていい。
これで揺れなければ完璧だ。
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ものすごくデラックスだ
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ちと高いが船の食事といったら昔はこんなイメージだったな
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食事も船の楽しみだといえるだろう。
他の船同様すいせんで食事をしようと思ったら3つの選択肢がある。
まずは普通のレストランを利用することだ。
船によってはブッフェスタイルであることもあるが(太平洋フェリーのきたかみはそうだった)、すいせんはタブレットで注文して食後に精算というスタイルだ。
レストランの席は結構長居をしても差し支えないようで、本を読んだり書き物をするのに便利だ。
私は旅行中に撮り溜めた写真を一気に選別/現像するのにちょうど良かった。
それからさらに高級なレストランもあって、こちらは中に入らなかったのだがメニューを見る限りかなりデラックスな料理がデラックスな値段で提供されるようだ。
昔で言うなら一等船客食堂といったところか。
船の食事は割高だなと思う人は売店を利用するといい。
ここではカップラーメンが300円くらいで売られていて、船内には給湯器も備えられているので、手っ取り早く腹をふくらせるには一番安く済む。
カップラーメンなどビンボくさいといってはいけない。
船の露天甲板で食うカップ麺は格別なもので、27ノットで航行している甲板の強烈な風にさらされることで、どんな猫舌さんでもすぐに適温で喫食することができるだろう。
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そうこうしているうちに意外と時間は早く進むもので、次第に陽が落ちてきて日没を過ぎるとあっという間に暗くなって夜になる。
予定では福井県の沖合を航行している頃だ。
予定ではというのは、せっかくなので船の上からわが郷土福井県を眺めようと思って甲板で左弦方向を眺めていたのだが、どうやら陸地からだいぶ離れたところを航行しているようで陸地が見えなかったからだ。
多分今三国の沖合あたりだなと見当をつけつつも、水平線しか見えないので諦めて船室に戻ってしばし寝ていた次第。
やがて下船の時間が近づいてきたので荷物をまとめて下船の準備をする。
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夜8時過ぎに船を降り、敦賀のフェリーターミナルからバスで敦賀駅に移動する。
敦賀からは今年の春までJRの北陸本線の在来線だったハピライン福井というけったいな名前の電車に乗って家の最寄駅まで帰る。
こうしてまる1週間の夏休みの旅行は無事完了、バスと船と鉄道を駆使したとんでもなく大回りの仙台旅行はこれでおしまい、あまりに密度が濃いので家を出てからどのくらい時間が経ったのかよくわからなくなるほどだ。
結構疲れも溜まったが、同じくらいいろんな経験もできた。
やはり旅行は自分でわがままに決めてわがままに行動し好奇心の赴くままいろんなものを見ていろんな人と話ができる自由旅行が一番だな。
おしまい
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