14:「いつかこうなるって、わかってた?」
-attention-
この話を、すべてを始めからしようものならとても1日じゃ話し尽くせないから、もし気が向いたら前の投稿を見てみてください。
半年前、私にはまだ付き合っている人がいて、彼とはその人と別れてすぐ知り合った。
彼には5年連れ添う彼女がいて、彼はその彼女に勝る人は誰一人いないと豪語していた。
特に気も何もなかった当時の私は、素敵なカップルだなぁと感じて、間違ってもこの人のことは好きになっちゃいけないな、と思っていたが、彼が気になってその日からは毎日のように連絡を取りあった。
彼は私のことが気に入って、私は彼のことが気になっていた。
その日あった飲み会の途中で私が化粧室に行って帰ってきた時、
彼が
「彼氏と飲んでる訳でもないのに、ちゃんと口紅塗り直して戻ってきてくれるの、素敵だね」
そう言った。
私が口紅を塗ったのは無意識だったけど、そんな事に気づいてくれる彼の方が素敵だと思った。
出会った頃の話はこれくらいにする。
私達は何度もデートを繰り返すうちに、どんどん距離が近くなった。
でも彼は時々彼女の話をする。
その度に現実に戻った。
彼が楽しそうに話す彼女の話が、私には
"好きになるなよ、"
こう聞こえていたから、
好きにならないように必死だった。
手を繋ぎ、ハグをして、ボディータッチも多くなり、
はじめて2人で飲みに行った時、彼は私にマスク越しにキスをした。
甘い言葉も、優しい手も、心に溶けていくようだった。
彼はいつの日か彼女の話をしなくなっていた。
私達の曖昧な関係にしびれを切らしかけていた時、彼がまた飲みに行こうと言った。
今回は抱かれると察していた。
好きだから、誘われたら断れない。
でも行きたい、セフレにはなりたくない、
そんなことを考えているうちにその日になって、私は彼に体を許していた。
どうしようもなく好きになっていた。
その後の彼の対応は意外だった。
彼は私と本音で話したいと言って、その日は朝方まで電話を繋いだ。
彼📞「あまり大きな声で言えないけど、あなたに言わなきゃいけないことがある」
私>「どうしたの?言って。」
📞「好きになっちゃった」
>「そう」
📞「分かってた?」
>「私も好きだから」
📞「したから好きになったんじゃないよ」
>「私は好きだからしたんだよ」
📞「彼女以外としたのは付き合って以来だ」
>「そう頻繁にあっちゃ困るよ」
📞「好きだから、したいと思った」
>「うん」
その後は、ピロートークのような時間が続いた。
心が充実した時間だった。
気になりだした時はいつか、好きになったのはいつか、お互い心を許したのはいつか、
好きなところはどこか、尊敬出来るところはあるか、この関係が切れることはあるか、
たくさん話した。本音で、話していた。
マカロニえんぴつの"girl my friend"
この話をずっとしていたかった。
好き、と言っていい事にしあわせを感じた。
言わないようにしていた"好き"が、お互い溢れ出していた。
この夜がずっと続けばいいのにと思った。
>「いつかこんな関係になるって、分かってた?」
聞いてみたけど、私は分かっていた。
📞「こんなに好きになると思ってなかった」
彼は、答えたくない質問には芯をつかない
>「私はいつか好きになっちゃうだろうなと思ってた。だからそうならないように気をつけてた。」
📞「分かってたよ、だから彼女の話して、壁作ってた」
>「好きなのがバレてるのも分かってた。彼女の話をするのは私が好きにならないようにってしてるのも気づいてたよ。」
📞「そう思ってるだろうなと思ってた。でも途中から話さなくなったでしょ?」
>「…」
📞「好きになって欲しいと思うようになっちゃった」
>「好きになっちゃったよ、抑えるのは無理だったよ」
この関係性が、いつまで続くのか気になっているのは私だけみたいだった。
彼が3年から5年後、結婚する時にはこの関係は間違いなく解消される。
その前に私に好きな人ができるか、分からないけど、彼は言った
📞「俺からはこの関係は切れないかな…」
am.05:15
私はもう眠くなっていた。
眠たいながらに、好き、と呟いた。
窓の外の明るい空を眺めて、目を覚ます。
彼は、嬉しい、と呟く。
まだ眠くなさそうな、楽しげな声で。
結局のところ、全然割り切った関係にはなれなかったな。
私は彼が好きで、彼も私を好きでいてくれてるのに、結ばれない事はあるんだな。
既婚じゃないから、今の彼女から離れて私のところに来ることはあるのかな。
いや、ないな。そんなことを考えるめんどくさい女になりたくないし。
この"好き"が、摩耗していつかただの思い出になって行くのが怖いな。
これ以上の関係はもうない、だからこの際このままでいよう。
今日も、おはようと言って、おやすみが言える関係ならそれでいいかもしれない。
私は誰かに、気遣ってもらいたいだけなのかもしれない。
これ以上にもこれ以下にもなりたくない。
彼が好き。堂々と言える日が来るとは、思ってもみなかった。
Ckw.