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会議が会議を呼ぶ構造

私の職種

私はIT業界でプロダクトマネージャーという職種を担っています。

昨今転職サイトなどを見ていてもこの職種名での採用はよく見かけますね。しかしながら、この職種に求められることは会社によって千差万別。基本的には「プロダクトの成功」に対して責任を負っているわけですが、この「成功」の定義がやっかいで、ビジネスとして収支がうまくいくところまで責任を負うべくセールスやマーケティング活動までカバーに入る人もいれば、ユーザに使い続けてもらうための機能開発とそのKPIに責任を負う人もいたり、その両方だったりなど。

もともと経営学およびマーケティングを専攻していた私としては、あまり技術的な深いところはわからないものの、その分ユーザの利用状況のKPIを見るところから、ビジネス収支がうまくいっているかどうかといった感じで開発からデリバリーまで一気通貫で目標を立てて取り組むケースが多いです。

この職種はコミュニケーションが仕事のほとんど

ゆえに、人とのコミュニケーションをとる機会がめちゃくちゃ多いです。なんなら1日中誰かとコミュニケーションを取りっぱなしのこともあります。
例えばひとつの機能を作ろうというときの例を一部あげるとこんな感じです。

  • 製品の改良検討のために、製品サポートチームから問い合わせ傾向を聞く

  • 新機能の企画を練るために有識者に相談したり、ユーザにインタビューを行ったりする

  • 新機能開発のための投資計画を経営に説明して承認を得る

  • 新機能開発のための仕様をデザイナーやエンジニアと議論する

  • 仕様がコンプライアンス上問題ないか法務や弁護士と議論する

  • 収益の立て方を経理と議論する

  • 新機能をセールスやマーケティングやサポートチームに説明する

ほんとに一例の一例という感じです。
コミュニケーションをとる機会の多い職種はほかにもあるでしょうが、プロダクトマネージャーというジョブにおいては、会話をする相手となる職種がバラエティに富んでいるという点が特徴のひとつです。いろんな専門性を持った人と、それなりに対等にコミュニケーションを成立させる必要があります。
「新機能を作る」という目的があったときに、私はコードを書けませんから、新機能そのもののアウトプットはできません。代わりに、それを実現するために、さまざまなコミュニケーションが必要で、そのために中間成果物となる資料を作成しまくったりします。

コミュニケーションの手段

人とコミュニケーションを取ろうとした時に考えられる手段は大体こんなところでしょうか。

  • 会議(オンライン含む)

  • Slackやメール

  • チャット

前提、私はできるだけ会議はしたくないです。
それは自分だけでなくお互いのためです。その時その瞬間同じ場所で時間を過ごさなければいけないというのが無駄なことも多いからです。
例えば、「おはよう」と伝えて、「おはよう」と返ってくるのが、その場ですぐに返ってこなくても1時間後に返ってくるでも何も問題ないじゃない。その瞬間に返事をもらうことの意味がないことも多い。

もちろん、直接会話で話をした方がニュアンスが伝わりやすいものとか、議論しやすいネタなどはあるので、会議を全て否定しているわけではありません。単純に会議が適当なものは会議をし、それ以外はそれ以外の手段でコミュニケーションを取りたいという話です。

会議が会議を呼び込む

先に述べた通り、コミュニケーションを円滑にするためには資料を作成することも多いです。資料を作成するためには必要な情報を自分にインプットし、相手に伝わるようなアウトプットを考え、そして資料にするという作業が必要です。これには一定時間がかかります。どれくらいかかるかはもちろん物によりますが、少なからずこういった時間確保が必要です。

ですが、ひとつふたつ、、と会議が入ると、こういった時間が確保できなくなってきます。例えば朝9時から仕事を始めるとして、10時に1時間ほど会議があり、その後14時からまた1時間会議があるとしましょう。すると集中できるのは9時から10時の1時間、そして11時から12時の1時間(昼食べるので)、そして13時から14時の1時間とかです。会議が増えるほど、時間がぶつ切りになるので、自分の仕事に集中できなくなります。

とはいえやらなきゃいけないことはやらなきゃいけないので、限られた時間の中でなんとか資料作成とかやろうとします。
すると、Slackやメールの確認や返信が後手になったりします。また、会議が多いとその間は返信できないことも多いのもあって、メッセージを送ってきた相手は「ちょっといいですか?私のメール見てくれましたかね?」などと話しかけてきて、そこからまた会議スタートです。
「お忙しそうでSlack見るお時間なさそうだから、しゅっとお話しましょう」などといった感じで、こちらに気を遣ってわざわざ会議を仕込んでくれることなどもある。

私はこれを会議が会議を呼ぶ状態と言っています。
こうなってくると、自分の作業時間がますます減って、自分のアウトプットの質が下がり、その結果十分な資料が準備できずに、それがまた会議を長引かせたり、最悪「まぁ資料なしで話すしかないか」とかなったりする。

つまりこういうこと。

  • 会議が増える

  • 自分の作業時間がなくなる

  • その中で自分の作業をこなそうとする

  • これらからSlackやメールなどの連絡がタイムリーに返せなくなる

  • 直接話しかけられる

  • さらに自分の時間なくなる

  • アウトプットの質が下がる

  • 会議が長引く

タイムマネジメントの問題といえばそうなのですが、実際にこういう状況になると解決難易度は低くないです。

で、どうするか

ここまで書けばピンときている人もいるかもしれませんが、私の対策としてはこんな感じです。

  • 社内のSlackやメールの連絡の返信は最優先で対処して、「ちょっといいですか」の隙をなくす

  • 自分で設定する場合には、それは本当に会議が必要か考える

  • 会議を仕込まれたら、目的と内容をSlackやメールで確認する(実はこれで話が終わる場合もある)

  • 会議は1時間区切りとかにしがち。1時間確保されているとなんだかんだ「他に話すことあったかな」とどんどん時間を奪われるから、できるだけ30分で設定する。案外30分で終わらせようとみんな協力するし、話しきれなかったことは「あとはSlackでいいか」となったりする。

最終手段、業務時間外の早朝や夜の残業となるわけですが、それはしたくない。というか、子育てもあるのでそれは取れない。

でも偶発的な情報仕入れは大事にしたい

できるだけ時間を生み出して、同僚とランチに行ったり、コーヒーブレイクをする時間を確保はしたいと思っています。こういう時間は結構大事。
普段は自分の仕事の目的に向かって直列に情報を集めたりするわけですが、その線の上にない重要な情報が横に転がっていたりするものです。それが得られるのがこういったカジュアルな場。同じ理由で、普段関わりがない人ととの月1くらいの1on1も案外大事だったりする。
なので、こういった「計画的な偶発的コミュニケーション」を作ることは意識したいと思っています。
コロナ禍でオンラインでの仕事が当たり前だった時は、これがなくて仕事の質が落ちたような気もします。

自分の時間を犠牲にしないこと

この仕事をやっていると、人に気を遣うことが多いので、どうしても自己犠牲の精神が働きがちです。
プロダクトマネージャーの素質として、まぁ心掛けとしては悪くはないと思いますが、それでプライベートの生活や、自分の仕事時間を削ってアウトプットの質を落としてはダメ。過度にそうなってしまわないように、気をつけましょう!自分も日々意識しないと、すぐに時間がなくなっていくので気をつけます。


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