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日報20220201_突発仙台日帰り旅行

先週の金曜の日中、いつも通りいそいそと家で仕事をしていると

とのメッセージが、昔同じ職場で働いていた友人から届いた。

聞いてみると今付き合っている彼女との喧嘩の話で(はたから見るとこの人達はいつも喧嘩をしているように見える)、まとめると
“彼女の誕生日に日帰りの仙台旅行を計画していたが、向こうのドタキャンでキャンセルする羽目になりそう。なんか代わりに彼女に何かする気も起きないのでよかったら一緒に行かないか”
とのことだった。

出発(友人の彼女の誕生日)は明後日の日曜日。朝7:30分の東京駅八重洲口集合。向こうの彼女に友人ごと恨まれる可能性もあるが、東北には行ったことがなかったし面白そうだったので行くことにした。

翌朝当日のライン。全然迷いがあるけどどうなんだ…?
行くんか。

当日

東京駅八重洲口で待ち合わせ、駅弁を買って新幹線に乗る。東京から仙台駅までは新幹線一本で行ける。ここで本日の日程の詳細を聞く。

-松島海岸で牡蠣を食べ
-ニッカウィスキーの工場の見学をし
-仙台駅付近で牛タンを食べて可能ならずんだ餅も食べて
-お土産を買って帰る

なるほど。やったことないから分からないが、1日旅行としてふさわしい詰め詰め具合なのではなかろうか。

友人は朝の星占いで1位だったらしいが「1位でこの有様かい」とぼやいていた。
難儀な人生であるようだ。

自分らが働いていた職場が相当に苛烈(場合によっては理不尽)な環境だったということもありこの友人との移動時間はほぼ全て職場の悪口になるのだが、今は自分は結婚してフリーランス、友人は別の職場で身分がある立場である。悪口ばかりではなく今や我々には色々な話題があるのだ。

というわけで
10分ほど彼女や嫁の話をし、
20分ほど近況の話をし、
30分ほど仕事や将来の話をし、
1時間40分ほど元職場の悪口を言いながら
合計2時間40分かけて仙台駅に到着した。

クローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇とはよく言ったものだ。誰かと1時間40分も楽しく過ごせる話題ができたのだと考えると、あの苛烈だった日々にも意味はあったのかもしれないなと思った。

蒸し穴子弁当。友人が彼女にメールで自分と旅行に行くことを謝った後、
「なんで俺が謝ってるんだろう」とこぼしていた。

仙台駅

仙台駅はなかなか綺麗で感じの良い駅である。急いでいたので写真を撮り忘れ周辺環境は今も全くわかっていないのだが。牛タン、ずんだシェイク、萩の月と仙台っぽいワードがそこかしこに並んでいる。気温は2度。寒い。

「東北だからそりゃそうだろ」と言われればその通りなのだがとにかく寒い。海が近いからか、若干湿度を含んだ風が絶え間なく駅のホームを駆け巡っており体の芯の熱を奪われるような寒さだ。
エアコンのない実家に生まれ、北海道の大学に4年間通っていたので寒さについてはちょっとした権威であるのだが、かなり腰の入ったタイプの寒さである。

じっと立っていられない。東京って暖かかったんだな

松島海岸

仙石線に乗り換えて、40分ほどで松島海岸駅に到着した。

座りすぎて尻が痛い。

日本三景に指定されている陸前松島を見所に抱える観光地であり、その割に静かで広々としており落ち着く街だ。食堂の客引きのおばさんや、立ち並ぶ謎のお土産屋など、ベーシックな漁業と観光の街と言った風合いである。

牡蠣小屋に入り、当初の目的であった牡蠣定食を食べる。

焼き牡蠣・牡蠣ご飯・牡蠣の味噌汁

ほぼ最高のシーズンであることも幸いしてとても美味しい。
噛み締めると牡蠣の旨味と潮の味が混ざり合い、炭の香りをほのかに感じる。

ちなみに友人は最近ふるさと納税で嫌になるほど牡蠣を食ったらしく3つほど焼き牡蠣をくれた。何なんだ一体。しかしこちらとしてはありがたい限りなので頂くことにする。

海辺を散歩しながら駅に戻る

作並

仙台駅に40分かけて戻り、そこから30分かけて作並駅に向かう。

作並には何があるのか?

作並にはニッカウィスキー株式会社 宮城峡蒸留所があるのだ。あと温泉。
作並駅から数多のおじさん達と一緒にシャトルバスに乗り込み雪景色の山道を直走ること10分、煉瓦造りのウィスキー工場が見えてくる。ロビーで冷え切った体を温めながら、工場見学ツアーの申し込みをして待つ。その間に展示してあるウィスキーの蒸留工程や歴代のニッカウィスキーを眺めたりした。

銅のポットスチル
ピクミン2にこんなやついたなと思った
歴史

そうこうしているうちに見学ツアーが始まる。我々、大学生っぽい4人組、親子3人組、外国人の紳士の合計10名が声のよく通る女性のアテンダントに連れられて工場の敷地内を1時間かけてまわる。

建物に近くなればなるほど木の表面が黒くなっていく
アルコールを好むバクテリアが敷地内の木に住み着いており、この色が黒いためとのこと
魔術的だ
こういうのを見るとすぐ「12年経って開けたら全然腐ってた時のその場の空気、地獄だろうな」みたいないらんことを心配してしまう

およそ東京ドーム4つ分の敷地に建設された乾燥棟や蒸留等や大量に並んだ貯蔵庫。それら全てをモニター管理する制御室。それら一つひとつの役割についてアテンダントの女性の説明を受けつつ雪の降りしきる中を進んでいく。

これまでの人生アルコールに弱い自分としてはウィスキーに全く興味がなかったのだが、高い専門性を持つ人々と特殊な機材が「美味しいウィスキーを作る」という目標に向けて集約されている景色を目の当たりにすると、やはり興味が出てくる。

見学コースの最後には試飲がある

よく高級ウィスキーの感想に記載のある"りんごや洋梨のようなフルーティさ"や"樽のバニラ香"と言った文言は、基本的に酔っ払いの世迷言だと思っていたのだが(麦を絞った液体からそんな味がしたらおかしい為)、こうして正面から対峙すると確かにフルーティさやバニラっぽい香りを感じるから不思議なものだ。酔っ払い側に行っちゃっただけかもしれないけど。

試飲といっても3種類合わせると中々の量があり、全てを飲み干したあとフラつきながら併設されているショップコーナーに入ってアップルワインを買った。完全に”策”に絡めとられた感じは否めないが、美味しかったので。

あとハイボール用に置いてあった炭酸水が美味かった。水自体のまろやかさと「二酸化炭素入れたてです!」みたいな爆烈な炭酸の対比。正直一番美味かったかもしれない。
完全に酔っ払いながら再度シャトルバスに乗り込み、作並駅に戻る。

旅先の小屋で雪を見ながら電車を待つ、たまにこの世に発生する「良」の時間
もう一回来ることってないのかもしれん

再び仙台駅

30分かけて仙台駅に戻る。
残る工程は牛タン+時間があったらずんだ餅+お土産購入といった状況だがここに来て全く時間に余裕がないことが発覚。帰りの新幹線の発車時刻は18:12だが、仙台駅に到着するのが17:20ときた。シビアだ。

仙台駅に到着するなり急いで駅の牛タン屋に入り注文。17:30に出てきた定食をかっくらった後17:37に退店した。

美味しかったような気がする
店に入った時に隣のテーブルに食べ終わりかけの4人組が座っていたがその連中より先に店を出た

お土産を買って発送するべきところに発送し、17:50分。
地味に時間が余ったので”ひとくちずんだ”なるカップに入ったずんだ餅を購入して新幹線に乗り込んだ。

間に合った
シメずんだ餅
ピスタチオ味とかもそうだが、豆を菓子界に取り入れようと最初に思った人偉すぎる

こうして突発仙台1日日帰り旅行、もとい突発仙台1日ぱくぱくグルメツアーは幕を閉じた。摂取カロリーと消費カロリーのどっちが多いのかわからん一日だった。

帰宅

誰が言ったかは忘れてしまったのだが「人間ほっとくと、どんどん真面目になって良くない」という言葉が響いたことがあり定期的に意識して小さい理不尽な行動をとることがある。忙しい時にわざと2時間待ちのラーメン屋に並んだり、パン屋に行って全てのパンを1種類ずつ買ってみたりする。

そういう意味では今回の旅行はかなり良質な理不尽だったように思う。少なくともまともな感性してたらできないタイプの活動だった。こういう催しに誘ってくれる友人の存在には感謝しなければならないな。(ただこの工程を実際に友人が彼女と行っていたら、確実に別の理由で喧嘩が勃発してただろうとは思った)

家には21:30ごろに到着。23:00には強烈な眠気が襲ってきた。まぁしかしこれで昼夜逆転気味だった生活もリセットできるな…と思いながら意識を失って翌日全然13:00に起きました。ナイス理不尽。


嬉しい