(医)あなたの親御さんは、お医者さんから血液サラサラにする薬出されてませんか?
こんばんわ。夜の風が少しずつ涼しくなって秋に近づいていっているかなという印象です。皆様は心も体も健やかにお過ごしでしょうか?
さて、今回はタイトルがなかなかセンセーショナルにできました。麻酔科医として働いていた頃、手術前の診察をしていると「近所のお医者さんから血液サラサラにしといたほうが脳梗塞予防になるから」とあれやこれやと出されている高齢者をよく見かけました。
手術とか麻酔管理上 勘弁してくださいと思ったもんですが 色々とデータはあるものです。
まずは2018年の論文から。
NEJMの論文3連発。オーストラリアとアメリカの健康な高齢者を対象に、低用量アスピリン連日投与によるリスクと有益性を検討するランダム化比較試験(ASPREE)の結果です。
(primary outcome)健康な高齢者に低用量のアスピリンを連日投与しても、認知症や身体障害を伴わない健康生存期間の延長はもたらされなかった。
そして、全死亡率はプラセボ群よりもアスピリン群で明らかに高かった。その原因を探っていくと、アスピリン群でガン死が増えていたという謎の結果。今回はその続きの論文が出ました。
こちらはインパクトファクター9ぐらいとNEJMよりは低いですが良質な雑誌です。
転移がん発生リスクはプラセボ群に対しアスピリン群では19%高く、ステージ4の発生リスクは22%高かった。
また、アスピリン群では、ステージ3による死亡リスクが約2倍超、ステージ4による死亡リスクは1.3倍だった。
著者は、「高齢者ではアスピリンががんの後期ステージに悪影響を及ぼすこと、がんの進行を加速させる可能性があることが示唆された」と述べ、「高齢者のアスピリン使用には注意が必要である」と強調。さらに「高齢者ではアスピリンが細胞レベルまたは分子レベルで若年者とは異なる作用を示す可能性が考えられ、さらなる研究が必要である」と締めくくっている。
なんでもかんでも アスピリン は少しやばそうな匂いがしてきました。
みなさん大丈夫ですか?
お大事に。