水素エネルギー
4年程前よりクリーンエネルギーとして水素が注目されている。全くもって無知であったが、水素エネルギーを調査し、拙くも備忘録として残しておくこととする。
〇水素エネルギーの用途
発電やモビリティ(自動車など)
〇注目される要因として
つくる・はこぶ・ためるの三拍子が揃っている持続可能なエネルギーだから。
〇課題
①コスト(運搬費・生成費)が高い
・注目当時1立方メートル当たり170円のうち、約89円が運搬コストとなっている。
・水素を生成するいくつかのの手段
☆LNGのメタン熱分解方式(ブルー水素)
☆褐炭(粗悪な石炭)を1000℃で燃焼した際に生じる二酸化炭素と水素から水素のみを抽出する
BUT→上記2策は、水素生成工程でCO2が排出(結局一緒でないか?)グレー水素と呼ばれる。
余談、この際発生したCO2は地中へ埋められる。このCO2地中化処理は、油田地域で油を地上へ押し上げる作用があることから、中東での水素生成〜地中化処理が世界で最もメインになると予測できる。
☆太陽光・風力などのクリーンエネルギーを用い、水の電気分解を行い水素抽出。
BUT→高コスト、水素生成工程でのクリーンエネルギー浪費。グリーン水素
☆原子力をもちい水素を生み出す
→核融合、日本も今後偏重していくかもしれない。フランスやイギリスはこれを主とする方針を掲げている。ピンク水素
②インフラ設備が整っていない
・水素ステーションの普及が少ない
→消費者が水素エネルギーを使用したいと思っていても利用できない。
・陸送技術(FCタンク車)はある?が、現状の台数で賄えない。
当課題は、下記5社が開発普及に携わっている。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)・日本水素エネルギー・岩谷産業・ENEOS・川崎重工
いち早くインフラ設備が整うことを願うばかり。
〇ポイント
いかにクリーンなエネルギーを安く作るか。
いつでもどこでもなインフラ設備を構築できるか。
〇国家計画
2030年→1立方メートルあたり30円
2050年→液化天然ガスと同等の価格へ20円以下
大手製造業(特に鉄鋼業界)は脱炭素化社会の実現に向けて具体的な対策をとらねばならぬ状況。
◎本題へ参る
【川崎重工の液化水素運搬船について】
同社は世界初の大型液化水素運搬船(すいそふろんてぃあ)を開発。運搬における体積課題を極低温タンク技術により克服(タンク内を‐253℃で保つことにより水素気体を約800分の1の液化状態として運搬)。
この大量に、一気に、液化して運ぶ技術により、89円の輸送費を商用化3.5円とし課題のコストを低減した。当タンクの耐熱技術は真空耐熱二重構造となっており、LNGタンク-162℃と比較しても突出したノウハウが投入されていることは言うまでもない。
では、どこから水素を?というところが疑問となるが、
調達先はオーストラリア、おそらく褐炭の原料が世界で最も安いからであろう。当国の水素生成工程は褐炭燃焼によるもの。よってグレー水素である、CO2と共に排出された水素原料となる。
続いて、製造業に身を投じて間もない私個人としては「なぜ川崎重工がこんな技術力を持っているのか?」という点が気になる。
それは川崎重工が液化水素のリーディングカンパニーであったから。ロケットエンジンの推進役として機能する液化水素を1987年以来ずっとシステム提供をしてきたという。今でも種子島の宇宙センターへ液化水素を供給し、ロケット発射の一役を担っている。
川崎重工の強みは、水素原料調達~供給の川上~川下「つくる・はこぶ・ためる」を一貫対応できるトータルパッケージな事業展開を可能としていることである。
川崎重工の突出した液化水素運搬技術をため込むことなく、1国として、共有し、全体で脱炭素化社会の実現に向けて前進するべきだと考える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?