お隣さんも有名人/Muni Long「The Words」

『Throwback Soul ソウル/ファンク 定番・裏名盤・入手困難盤』と銘打ったリイシュー・シリーズ。第一弾の<打ち込み前夜編>ではマーヴィン・ゲイ『Let’s Get It On』と、ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイ『Diana & Marvin』のライナーを書かせていただきましたが(参照)、第2弾<打ち込み導入〜NJS前夜編>では、Tabuレーベルの歌姫、シェレールの3枚のアルバム(1st〜3rd)のライナーを書かせていただきました。

上:1st『Fragile』/左下:2nd『High Priority』
/右下:3rd『Affair』

シェレールのアルバムではあるけれど、ちょうどジャム&ルイスがジャネット・ジャクソン『Control』(86年)で大爆発する前後のアルバムということで、ジャム&ルイスの勢いも存分に感じられる3枚になっております。セカンド『High Priority』(85年)が『Control』のプロトタイプともいうべき作品だとしたら、サード『Affair』(88年)は同じくジャネットの『Rhythm Nation 1814』(89年)のそれと言ってもいいかもしれないですね……って、シェレールにとってはあまり嬉しくない表現かもしれませんが。

ジャム&ルイスとはこの3枚で別れ(彼らが忙しくなったというのもあるんでしょう…)、その結果、シェレールは以後この3枚ほどの数字的な成績は残せずじまいだったわけですが、最高のデュエット・パートナーであるアレキサンダー・オニールと何度か来日公演を行っているし(といっても最後の来日公演2008年ですが…)、昨年2021年にはDJキャシディがコロナ禍に始めたYouTubeシリーズ『Pass The Mic』に出演して、アレックスと共に「Saturday Love」を歌ったりと、まだまだその美声は健在な模様。また来日してほしいですね。

『Pass The Mic』。9分くらいに登場します。

Cherrelle feat. Alexander O’Neal / Saturday Love
嫌いな人はいないよねー。キキ・ワイアット&ルーベン・スタッダードや、ニコル・レイ&レル、トロ・イ・モアなどがカヴァーし、クイーン・ラティファ「Keep Your Head To The Sky」や、50セント「I Get It In」など多くの曲でサンプリング/引用されております。

ライナーにも書いたけど、実はシェレールとマイケル・ヘンダーソンはかつてお隣ださん同士だったそうで。マイケル・ヘンダーソンはマイルス・デイヴィスのもとでベースを弾き、ソロ・アーティスト/プロデューサーとしても活動した人物。そのマイケル・ヘンダーソンが去る7月19日に71歳で亡くなってしまいました。最近ソウル/R&B界の訃報が続いてますね……寂しい限りです。

マイケル・ヘンダーソンといえば、アルバム『Slingshot』がソウル界随一の珍ジャケットとして有名(?)ですが、もちろん歌もいいのよ。というわけで、追悼の意も込めてフィリス・ハイマンとの素晴らしいデュエットで今回のnoteを締めたいと思います。

Phyllis Hyman & Michael Henderson / Can’t We Fall In Love Again
これまたソウル・バーに行きたくなりますな。

Michael Henderson / Slingshot

ソウル珍ジャケ。結局これで締めてしまった!笑


<今日の1曲>
Muni Long / The Words

シングルを出しまくって(EPも)、アルバムへの流れを十分すぎるほど作ってきたマニー・ロング。既にこのnoteでも3回も<今日の1曲>で紹介済みですが(最多登場)、やっとこさニュー・アルバム『Public Displays of Affection: The Album』がリリースされました。案の定(?)大半が既存曲でしたが、それでも十分満足いく出来。中でも一番好きなのはこの曲かなー。私はなんとなくアシャンティっぽいなーと思いながら聴いていたのですが、どうでしょう。プロデュースはギッティ。テンポ感心地よいキュートなR&Bチューンとなっております!

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