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3. 素行要件(普通帰化の7つの要件)
これは、きちんとした人かどうか、日本や日本社会に迷惑をかけるような人ではないか、ということが問われています。
具体的には、税金や年金などを払っている、重大な事故や事件を起こしていない、などといったことが審査の要素になります。
当然と言えば当然ですね。その国の国民になりたいのに当然の義務を果たしていないというのはありえないことです。
それでは一つずつ見ていきましょう。
住民税を払っている
審査にあたっては、直近1年分の納税証明書が必要です。この証明書に未納の記載があってはいけません。
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申請人の住民税納付
住民税は、会社員の方であれば、給与から引かれて会社経由で払っていることが多いです。これを特別徴収といいます。給与明細をみて、住民税が引かれていれば大丈夫です。
一方で、個人事業主の方や、特別徴収していない会社にお勤めの方などは、自分で市町村に手続きをして支払わなければなりません。これを普通徴収といいます。
総従業員が2名以下の会社など規模の小さい会社の方は特に気をつけてください。
もし住民税を払っていなければ、今から市町村で手続きをして税金を納付しましょう。未納分も支払ってしまえば、納税証明書を得ることができます。
同居家族や扶養家族がいる方の注意点
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配偶者がいる場合は、配偶者の納税証明書も必要となります。配偶者が住民税を払っていないと審査は通りません。
扶養家族がいる方は、住民税の扶養控除を受けることができます。
その条件は、以下のとおりです。
16歳以上の親族であること(6等身内の血族および3親等内の姻族)
納税者と同一生計であるであること
年間の合計所得が38万円以下であること(給与所得者の場合は年間収入103万円以下)
(16歳未満の子も扶養家族ではありますが、児童手当があるので扶養控除からは外れています。)
これらの条件に合わないにも関わらず、扶養控除を受けていると、本来支払うべき納税額より少なくなっているため、「修正申告」をして完納しましょう。扶養に入れている配偶者や両親などの収入には特に注意が必要です。
所得税を払っている
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こちらも審査にあたっては、直近1年分の納税証明書が必要です。この場合も、申請人本人だけではなく、同居人の分も必要です。また帰化申請者が生活費を他の人から支援してもらっている場合は、その人の分も必要です。
会社員の方で、1つの会社に務めている方
源泉徴収票があれば大丈夫です。源泉徴収票とは、1年間に会社から支払われた給与や、手当などの金額と、納めた所得税の金額が記載されている書類です。ちなみに、給与から所得税を差し引くことを「源泉徴収」といいます。
会社員で、自分で確定申告している方や2つ以上の会社に務めている方
会社員で、自分で確定申告をしている方や、2つ以上の会社に勤めている方は、以下の書類が必要です。その他にも年収が2000万円以上の方や、副業で年間20万円以上稼いでいる方も対象です。
なお、確定申告とは、税務署にする所得の申告のことです。住民税申告のために、市区町村に前年の所得を申告することがありますが、これは確定申告ではありませんのでご注意ください。
源泉徴収票 1年分
所得税の納税証明書(その1)(その2)最大3年分(特別永住者の在留資格を持っている方は2年が基本)。
所得税の確定申告の控え(決算報告書含む)1年分
ちなみに、納税証明書のその1とその2は以下のとおりです。
その1 : 納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明
その2 : 所得金額の証明
個人事業主の方
個人事業主の方は、以下の税金の納付証明書が必要です。
所得税 直近2年分
個人事業税 直近2年分
消費税 直近2年分
法人経営者の方
法人経営者の方は以下のとおり
所得税 直近2年分
法人税 直近2年分
法人事業税 直近2年分
消費税 直近2年分
交通違反
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基本的には、過去5年間の違反経歴が審査されます。この期間の違反が、駐車違反や携帯電話使用など軽微なものであったとしても、それが5回以上の場合は注意しましょう。
もちろん、飲酒運転や無免許運転、あおり運転などの重いものがあると一定期間は認められません。免許停止や免許取り消しとなった場合も、不許可になる可能性が高いです。
軽微な違反が、5回未満であっても、面接時に反省や更生の態度が見られない場合は、不許可になることもあります。
年金
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会社勤めの方で厚生年金に保険料が天引きされている方は問題ありません。給与明細で保険料が天引きされているか、確認しましょう。
法人であれば厚生年金に加入しなければいけなくなっていますが、万が一、厚生年金に加入していない会社の会社員の方は、国民年金保険料を直近1年分支払っていなければなりません。未納の方は、まずは直近1年分を支払いましょう。
会社経営の方は、法人として厚生年金保険に加入し、社員を厚生年金に加入させなければなりません。
個人事業主の方で、従業員が5人以上雇用している場合も、厚生年金に加入していなければなりません。もちろん従業員5人未満の個人事業主の方は、個人で国民年金に加入していなければなりません。
まとめ
比較的許可が下りやすかった帰化申請ですが、最近は不許可の数が増えてきています。これは、この素行要件が厳格になったからではないかと言われています。
当たり前のことを、ばかにせず、きちんとやる(頭文字をとってABC)ということを大事にしましょう。
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