ヒートマップを活用したLPOについて(ウェビナーあとがき)
はじめまして。株式会社ナノカラーの川端(@nanocolorkwbt)です。
Ptmind安藤さんとヒートマップ活用の事例を交えながらのウェビナー、「勝ちLP」を生む秘訣を発掘!結果を出すLP作りのノウハウとは!に登壇させていただきました。
視聴者の方々からのアンケート結果が、非常に満足度が高かったと聞いて、ほっと胸を撫で下ろしています。
ウェビナーアーカイブはPtmindコミュニティEasy Growthにて視聴できます。視聴先リンクはこちら
イベント"あとがき"
僕がイベントで話す軸はいつもあまり変わらず「ターゲット理解」というテーマで話しています。なぜLPOのウェビナーでターゲットの話?
弊社ナノカラーは、いわゆるマーケティング視点とデザイン視点の2つが入り混じった環境にある制作会社です。
類似した商品やサービスであっても、各企業によって開発背景や事業フェーズ、そしてブランド戦略や事業戦略、保有資源が全く異なります。その為、私たちの制作物が正しく機能するために、顧客の商品が消費者から「選ばれる理由」が必要であり、その理由を含めた価値を届ける仕組み(価格や流通、広告など)が必要です。そのため私たちは、顧客の事業戦略やマーケティング戦略を把握し、協議し、細部まで共有し合うことで理解を深めます。
一方で、私たちが制作会社としての役割を果たす為に、消費者に対してCVという行動喚起を促すコミュニケーションが必要です。私たちがターゲットの行動や心理と向き合う調査が多く含まれているのは、その顧客心理を理解するためです。ターゲットの共感する領域を正しく理解するために、保有している問題やその深刻さや緊急性などを含めた心理状況を定義します。それにより顧客商品が提供できる便益性を正しく適切に、そして合理的にターゲットに伝えるコミュニケーション方法が見出せます。このコミュニケーションがユーザー視点から生まれるデザインであり、活かす仕組みが顧客からのマーケティング視点となります。どちらの視点も欠けてはいけません。
しかし冒頭にも書いた通り、各企業によって保有資源が異なりますので、そのバランスを的所に使い分け、未来に必要な施策を描きつつ、今まさに必要な施策を生み、成功に導かなければいけません。それが私たちのなすべき仕事であります。
マーケティングの視点とデザインの視点の先には、必ずターゲットが存在しています。このどちらにも共通するターゲットを起点にすることで、柔軟に、具体的に、ロジカルに、感覚的に、目的に応じて制作が可能になります。
ヒートマップ活用方法について
ファーストビューが赤ければ「たくさん読まれている!」、色がつかない領域は「読まれていない!」という発見はありますが、「だから何?」が紐づいていないとツールはコストのかかる感想発生装置に成り果ててしまいます。
あなたはプライベートでLPを見た時、ファーストビューをじっくり眺めていますか?しっかりと読んでいないが感覚的に理解して購入したものはありますか?人によって、商品によって、LPの読み進め方も理解の仕方も購買要因も異なります。だからこそ、訪問者の期待値や心理状況などを、広告クリエイティブや配信媒体、記事LPの内容などから仮説だて、ヒートマップを読み解かなければいけません。
1 仮説作りと信憑性担保の連続
下記文章は社内向けLPO勉強会の資料の文章を一部抜粋したものです。
仮説は1つの事象に対して、背景や要因、未来を予測した「〇〇かもしれない」です。この仮説は誰でも思い浮かべる事ができます。しかし、ビジネスにおいて思いつきに対価を払っていただける事はそう多くありません。
しかし思いつきを否定している訳ではなく、思いつきを着想の材料にし、信憑性を担保する為の裏付けを探し、担保できなければ捨てる、または加工し、探し続けながらまた新たな着想を得る、を繰り返します。
LPOを依頼される企業の多くは、これまで多くの思いつきによる施策の連続に疲弊した企業が多く見受けられます。故に事実を知りたい、事実によって生まれた施策を試したい、正しく検証したい、データを活用したい、というインサイトがあります。よってナノカラーのLPOサービスには信憑性担保が必須です。その為に「事実」「仕組み」「裏付け」「実績データ」のどれかが著しく欠けてしまう事で、お客様から「思いつきの施策」と評価されてしまう恐れがあるので、注意が必要です。
1 事実
まずツールを使う以上データを信用する事が重要です。主観は排除します。データで生じた「残存率20%」というデータはまぎれもない事実であり、それが高い/低いは比較対象という存在によって下される評価です。比較対象がない場合は主観で判断してはいけません。
2 仕組み
事実の出どころを理解するために必要な仕組みの理解です。CVR1.2%は事実の一つですが、仕組みを知る事でその意味が理解できます。広告媒体や配信セグメントや計測期間、PV数など、CV数など、何をもってしてその数値なのかを理解するには仕組みの理解が不可欠です。
3 裏付け
予算を使い実施する提案には「〇〇だから□□すべき」という文脈が重要であり、〇〇を担保するのが裏付けです。「級数が小さいので読みづらそう」は主観です。「暖色を使って温かさを伝えます」も主観です。中間指標である〇〇の位置までのスクロール到達率とアテンション向上がCVR向上時にも見受けられるので因果関係があるかもしれない。よって□□すべき、という文脈が望ましいです。
4 実績データ
今までの過去社内で実施した案件は共有し応用する事でナレッジになります。0から解析するのではなく、過去実績を分解し理解し応用する事で、時間短縮と同時に、新たな施策立案数が叶えられます。
2 解析の流れ「改善ポイントを3〜5つ見つける事を目処に」
いきなり大量のデータを見ても処理しきれません。まずは期間を定め、なんのフィルターもかかっていない状態のデータを抽出します。(1,2日間という短期間や著しくPV数が少なければデータの信憑性は損なわれます)
そのデータから「特異点」を探ります。アテンションが急に下がる箇所や、急に離脱が発生した箇所、離脱推移が落ち着く箇所、急にアテンションが上がる箇所などをすべて細かくピックアップし、その特異点を他期間・CV/非CV・初回訪問/再訪問など細かなセグメントと比較し、差分を抽出していきます。(CV数がすくなければCV/非CVと比較しても意味はありません。)
そして、特異点や差分の中からCVに因果関係のある指標を見つけ出します。その際、各期間ごとのCVRや配信状況、広告クリエイティブなどLP以外の外的要因の変動も合わせて理解する必要があります。
3 LP構成とデータから訪問者特性を仮説だてる
構成の役割やCTAクリック箇所などから、どのユーザーが訪問しているかを理解します。上記の図でいうと①エリアのCTAだけにクリックが集中して②以降の離脱が多ければ、訪問者はすでに購入意欲やリテラシーが高い可能性があり、②以降の改善をしたところでCVへの影響度はかなり低いでしょう。
この様に、CTAのクリック箇所の分布ややアテンション、スクロール到達率などから、訪問者の傾向を読み取り、どの領域での改善施策がCVに影響を与えるのかという仮説に活用します。
あとがきのあとがき
コミュニケーションには多くの「かもしれない」で繋がっています。
こう言えばあの人に伝わるかもしれない。喜んでくれるかもしれない。嫌がられるかもしれない、などなど。そして人の感情は100%理解することは不可能であり、ずっと仮説の粋を出ることはできません。しかしヒートマップを使えば、帰ってしまった箇所も読まれた箇所も、クリックした箇所も可視化され、そのデータを元に新たな仮説が生まれます。
ツールを使うだけで誰も思いつかない画期的な施策が生まれる訳ではないかもしれませんが、この「かもしれない」に信憑性がうまれ、信憑性は関係者が同じ方向を向くのに必要な要素の一つです。
そして顧客起点で考えるのに最適なツールの1つではないでしょうか?ぜひ皆さんも普段の施策にヒートマップを取り入れてみてはいかがでしょうか。