町工場型の制作会社が生き残るために読んだマーケティング本10選
制作会社には「作って欲しい」というオーダーが来てから動き出す下請けの印象が強い「町工場型」と、誰もが目にするCMや芸能人を起用したポスターを制作するみんなが憧れる「クリエイター型」の2つがある。僕は制作会社を経営しており、LP制作やECサイト、コーポレートサイトをメインに制作しているいわば「町工場型」である。
しかし町工場型がとにかく大変。短い納期で安く「便利で使いやすい」事が売りにしてしまいがちです。町工場型がどうやって生き残り、評価され続けるためにはどうすればいいのかを考えてみました。
大きく下記の5項目です。
1 マーケティングの知識
2 ビジネスモデルの理解
3 依頼主の課題の発見
4 本質的な提案
5 必要な造形制作の技術
各項目で僕がなるほどと感じた書籍をご紹介してみました。あまり本を読まないため、結構皆さんが読んでいる様な有名な書籍が多いですがご了承くださいませ。
1 マーケティングの基礎知識
デジタルマーケティングでいうと一定の知識は検索すれば山の様に出てきます。広告、フレームワーク、用語など一定の知識をつけるにはグーグルを徘徊して、マーケティング会社の資料を読めばある程度の情報は手に入ります。まず最低限の知識が無いとやはり町工場型からの脱却は難しいと思います。
とても広く深いマーケティングの世界ですが、自分の作ったバナーやLP、サイトがどの様な広告で、どの様な設定で配信されているのか?くらいは理解しておく必要はあるかと思います。ただしマーケティングは万能薬的な魔法の手法ではありません。特にデジタルマーケティング領域においては、他者からの評価を数値で表される圧倒的にシビアな他者評価です。無残な結果を目の当たりにする事も多くあります。一生懸命考えて制作したものが、実は何の役にも立っていない事実もあることを知りましょう。
2 ビジネスモデルの理解
ビジネスモデルとは、どこにキャッシュポイントがあり、何をして利益を生むのか?を理解することから始まります。制作会社は納品物に対して、時給換算や人件費で算出しますよね。しかし世の中には特殊なビジネネスモデルを起用する事も多くあります。そこを理解せず「ただ集客すればいい」というオーダーと勘違いして制作してしまうと非常に危険です。さらに、ビジネスモデルを理解した上でマーケティングと組み合わせると、ぼんやりとではありますが「何を作らなくてはいけないのか?」という輪郭が浮かび上がってきます。この本はシンプルな図解で説明してくれているので理解しやすく初心者にはオススメ。
3 依頼主の課題の発見
1と2を組み合わせてみると、実は依頼内容が「的を得ていない」事があります。依頼主は「マーケティングのプロ」ではなく「サービスを作るプロ」なので、市場への流通に対してリテラシーが高いわけではありません。売上が上がらない→LPを作り変えたらOK!という何の因果関係もない解答に至っているケースも多いため、何がボトルネックなのか?を発見するためにも、マーケティングの知識やビジネネスモデルの理解が役に立ちます。
4 本質的な提案
ここまでくると、制作会社としての枠を超えていますか?いえ、本来デザインとは「設計」であり、何を設計するのか考えるのは設計者の仕事です。さらに、制作会社はアート作品を作ってお金を得ている訳ではありません。BtoBというビジネスをしているのです。BtoBでは「合理的な課題解決への投資」が中心です。町工場制作会社は依頼主の「作りたいが作れない」という欲を解決するために技術を対価に変えていました。よって、相手の欲を満たす制作物を作りしかなかったのです。この「作りたいが作れない」→「合理的な課題解決への投資」に変換するには、1〜3の項目が非常に大切になります。
例えば、僕の会社のホームページをリニューアルを制作会社に依頼したとします。その提案内容が「このフォントがかっこよく御社らしい」「インパクトが大事なので動画をトップにつける」という提案されても何も響きません。目的はホームページから問合せを増やし、売上を上げ、利益を作る起点がホームページです。フォントと売上の因果関係はなく、綺麗なサイトを褒め称えるのはデザイナーだけなのを僕は知っています。
5 必要な造形制作の技術
制作会社としてこのポイントは当たり前の項目ですが、今までは綺麗なサイトを作ることが目的になっていたかと思いますが、1〜4を経て制作する造形は、多くの点で「なすべき事」が明確です。目的の解像度が圧倒的に高まった上での制作は今までとは比較にならないほどスムーズです。
クライアントの主観とデザイナーの主観をぶつけ合う関係は、相性という目に見えない概念で片付けられがちです。相性はもちろんありますが、会社のキャッシュを減らしてまで投資して制作するサイトやLP、広告を制作するという事の重大性に気づくべきだと考えています。5番の造形制作の技術、という項目は制作会社にとって生命線です。ここに関しては当然の様に向上する必要がありますので、いつも通り頑張りましょう。