老害
地元の近所に駄菓子屋さんがあった。
おばさまとおばあちゃんの2人のどちらかが店番をしてた駄菓子屋。
小学生の頃はよく遊びの集合場所にもなってた。
僕はちびっちぇプリンチョコが大好きで買ってからすぐ食べたいけど我慢して何個か貯めていっぺんに全部食べてそのフタのところにアタリの場合は「20円」とか書いてあってそれを店に持ってくとその金額分お菓子が買えるからそれをかき集めてまたプリンチョコを買ってた。
ある日みんなでその駄菓子屋に行った時にカゴにパンパンにお菓子持ってるやつがいてそれをレジに持ってってた。その時の店番はおばあちゃん。
マジでとんでもない量のお菓子を持ってたからみんながレジに「これ全部買うの?」みたいな感じで群がってた。
お菓子持ってたやつは得意げに頷いた、するとそいつは財布から1万円札を出した。当時僕らは確か小学4年生。そいつはもっと小さく見えたからたぶん2年生くらいかな?どっちにしろ小学生に1万円は相当な大金だ。
その1万円札をみておばあちゃんは大声を上げた。
「そんなもん出すな!」
賑やかな店内が一気に静まりかえった。
「なんだそのお金は?」
「ママからもらった」
「これはね、お菓子に使うお金の量じゃないよ」
「・・・」
「紙のお金を持ってくる子にはお菓子は売らないよ」
そのあとのおばあちゃんとその子の話を聞くと習い事をしたりしたいとごねたら親にこのお金を渡されたんだというような内容の話をしていた。するとおばあちゃんがその子に
「今からボクん家に行きます。」
と言って、その日はその時点で閉店になった。
その当時の僕らは「なんだあのババア」だの「あの1万円くれねぇかなぁ、中古のロックマン買いてえ」なんて言ってた。
商売なのに客の購入を拒否してまでその子の家庭環境を心配したおばあちゃん。
この前地元に戻った時その駄菓子屋は潰れてた。とっくの昔に潰れたらしい。