欠けた長方形の網掛け部分の面積を求めよ
今日も数学小ネタ。早速、問題をどうぞ。
問題
補足しますと、欠けた部分の面積は不明です。一見して求まりそうにありませんが、不思議なことに答えは一意に求まります。
(カウントダウン開始)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
(カウントダウン終了)
解答と解説
解法1
右上の欠けた部分を補って長方形としてみましょう。
左下の網掛け部分の面積を $${x \mathrm{cm}^2}$$とおきます。全体の長方形の面積は $${4\times 5 = 20 \mathrm{cm}^2}$$ なので右上の長方形部分の面積は $${20 - 3 - x - 7 = (10 - x) \mathrm{cm}^2}$$ となります。
$$
3 : (10 - x) = x : 7
$$
$$
x (10 - x) = 3\times 7 = 21
$$
$$
x^2 - 10 x +21 = 0
$$
$$
(x - 3) (x - 7) = 0
$$
$$
\therefore x = 3, 7
$$
となりますが、 $${x = 7}$$ のときは右上の面積が $${10 - 7 = 3 \mathrm{cm}^2 < 5 \mathrm{cm}^2}$$ となり矛盾ですので、答えは $${x = 3 \mathrm{cm}^2}$$ のみとなります。
解法2
文字式を使わずに、幾何的に解くとしたらどうなるでしょうか?
このとき重要になるのが、左上と右下の長方形の面積の和 $${=}$$ 長方形$${\mathrm{EGLD}}$$ $${+}$$ 長方形$${\mathrm{KBFG}}$$ $${= 3 + 7 = 10 \mathrm{cm}^2}$$ で全体の長方形のちょうど半分となっている事実です。
さらに、右側2つの長方形の面積の和は $${5 + 7 = 12 \mathrm{cm}^2}$$ より大きく、したがって全体の長方形の面積の半分より大きいことを確認しておきます。したがって $${\mathrm{AK} < \mathrm{KB}}$$。
このとき、次の定理が成り立ちます。
証明に入る前に、この定理が成り立てば直ちに問題の答えが $${3 \mathrm{cm}^2}$$ と出ることを確認しておきましょう。
証明
辺$${\mathrm{AB}}$$および辺$${\mathrm{DC}}$$の中点をそれぞれ$${\mathrm{M,N}}$$とし、補助線$${\mathrm{MN}}$$を引くのがポイントです。$${\mathrm{AK} < \mathrm{KB}}$$ なので 線分$${\mathrm{MN}}$$は線分$${\mathrm{KL}}$$より必ず右側にあります。
まず、長方形$${\mathrm{AMND}}$$の面積が全体の半分で、長方形$${\mathrm{EGLD}}$$ $${+}$$ 長方形$${\mathrm{KBFG}}$$と等しいことを使います。
$$
長方形\mathrm{AMND} = 長方形\mathrm{EGLD} + 長方形\mathrm{KBFG}
$$
長方形$${\mathrm{EGLD}}$$と長方形$${\mathrm{KMHG}}$$は共通なので
$$
長方形\mathrm{AKGE} + 長方形\mathrm{GHNL} = 長方形\mathrm{MBFH}
… (1)
$$
次に、長方形$${\mathrm{AMHE}}$$と長方形$${\mathrm{MBFH}}$$が等しいことから
$$
長方形\mathrm{AMHE} = 長方形\mathrm{MBFH}
$$
$$
\therefore 長方形\mathrm{AKGE} + 長方形\mathrm{KMHG} = 長方形\mathrm{MBFH} … (2)
$$
式(1),(2)より
$$
長方形\mathrm{KMHG} = 長方形\mathrm{GHNL}
$$
$$
\therefore \mathrm{KG} = \mathrm{GL}
$$
となり、 長方形$${\mathrm{AKGE}}$$ $${=}$$ 長方形$${\mathrm{EGLD}}$$ が従います。
(証明終)
いかがだったでしょうか?