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タイ シャドー釣行記②

 前回の①の続きです。

 この日の前日に「朝6時に来て」と言われていたので、早起きして湖に行ってみた。すると、昨日は見られなかったお坊さんが見受けられる。これは托鉢と言って、僧侶が修行のために経文を唱えて食料や金銭の施しを受ける儀式である。自分も100バーツで食料を購入し、托鉢に協力した。経文もタイ語なので何を言ってるか分からないが、プラスのお祈り的なこと言っていると信じ、自らも釣りの幸運を祈った。

 また、地元の子供たちも民族衣装と頭上に鍋のようなものを掲げ現れた。これは観光客向けのサービスかもしれないが、彼ら彼女らの笑顔が素敵で何枚も写真を撮らせていただいた。

 朝食を取り7時に港に行くと、一人の男が僕を待っていた。どうやら彼がガイドのようだ。船に乗り込む前に名前だけは聞いておこうと思って「What's your name? 」と尋ねてみたが無視されてしまった。どういうことだろう?まぁ気にせずにボートに乗り込み、いよいよ憧れ続けたシャドーへの挑戦が始まった。

 カオレム湖を爆走する僕らのボートは本当に気持ちがよかった。雨季の時期には珍しい晴天の朝、周囲の岸には水上家屋や牛のような動物などが見え、やはり日本とは違う世界であることを認識させられる。走行すること約20分、ボートのエンジンが止まる。着いたのは岸際に水草が立ち並ぶエリアだ。ガイドの男はここで釣りをしようというジェスチャーをしている。僕は釣りをする前にもう一度名前を尋ねた。翻訳機を使用しタイ語で尋ねたがガイドは答えない。そして彼は文字が読めないんだというジェスチャーをした。これには驚いたとともに嬉しさもあった。タイの秘境で現代の最新機器を使ってもコミュニケーションが取れない相手と共に怪魚を狙うことに何故か興奮したのだ。スマホが役に立たないなんて、最高じゃないか!
 
そのため彼とはジェスチャーのみのやり取りにだったがお互いに一つだけ共通して知っている単語があった。それがシャドーだった。

 タックルは、ロッドはMonster kissのMX-7(Dear Monster) 、リールはSHIMANOのスコーピオンMD 300XGにPE5号を80mほど巻いた。ロッドはシャドーに対しては固すぎると思うが今後の怪魚旅のことを考えて今回購入したものである。ルアーはガイドにおすすめされたものをその都度使い、このポイントではフロッグを使用した。
 
 30分ほど釣りをしたがシャドーの気配はなかったのでポイントを変えることにした。次に移動したエリアはオープンウォーターの障害物のない場所だった。ここでは稚魚ボール釣法でシャドーを狙った。雨季にシャドーの稚魚は群れを作り数十秒おきに空気呼吸をするために水面に浮上してくる。そこにルアーを投げ込むと群れの下にいる怒った親が襲ってくる。これを利用したのが稚魚ボール釣法である。


 僕とガイドの2人で稚魚ボールを狙い続けるがなかなかヒットしない。ちなみにガイドは僕より釣りが上手い。キャスティングの技術を必要とするこの釣り方では、稚魚ボールの真ん中に正確にルアーを投げる技術と瞬発力が求められる。ガイドは正確性と瞬発力がどちらも長けていたので、おそらく日頃からシャドーを釣っているのだろうと思われた。
 ポイントを変えたりしながら稚魚ボールを追い続けたが、お昼になりこの日はタイムアップとなった。結果的に僕は1回、ガイドは3回ほどあたりが有ったがヒットまでにはいかなかった。岸に戻って「明日もお願いします‼」と何とか伝えガイドと別れた。

 休憩を挟んだ午後は、地元の人たちと一緒に湖の桟橋でエサ釣りをした。彼らは糸と錘と針だけを使用し、サイバトゥーという魚の内臓や鰓を腐らせたものをつけ底に沈める。上手な人は小さなフナのような魚を次々に釣っていくが、竿とリールを用いた僕はエサを魚に取られてばかりでなかなか釣り上げられない。


 結果僕は1匹も釣れずにこの日は切り上げた。でも坊主には慣れてるからマイペンライ(問題ない)。それにまだ初日だし時間はある。


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