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タイ シャドー釣行記①
読者はシャドーという魚をご存じだろうか?タイでシャドーと呼ばれているその魚は、マレーシアではトーマンと呼ばれ、そちらの方が知名度はあるかもしれない。日本にも生息している雷魚の種族で、英語ではレッドスネークヘッドと呼ばれている。東南アジアの広い範囲に分布しており、ブラックバスのいないエリアでは1番のルアーフィッシングのターゲットとなっている。
僕はこの魚に憧れ続けていた。いや、この魚だけでなく怪魚と呼ばれる魚たちに憧れ続けていた。中学生の頃から怪魚に憧れを抱き、いつか挑戦しなくてはと思い続け10年が経ってしまった。コロナ禍などの規制もあり、大学生の内に海外に行くのは難しくなってしまっていたが、1回も海外釣行に行かずに就職をしてしまうのは絶対に嫌だと思っていた。だから就職せずにフリーターの道を選んだ。友達の何人かは大学院に進学した者もいた。それならば怪魚旅が僕にとっての大学院だと信じ、2,3年はアルバイトで稼ぎ釣り旅をすることを決めた。
地位も名誉もお金もいらない。いや、お金は少しほしいけど…、でも、僕が欲しいのは怪魚だけだ。だからタイに旅立つことにした。
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2024年9月3日、僕は一人でカオサン通りにいた。煌めくネオンとクラブミュージック、怪しいお店。初めての海外一人旅の自分にとっては十分すぎる刺激だった。明日からの移動のためホテルで早く寝ることにしたが、カオサン通りの喧騒がうるさく、部屋の中まで爆音が響く。しかし、日本からのフライトで疲れていたため、沈むようにぐっすり眠ることができた。
翌日、今日は移動日だ。観光客7割、地元客3割を乗せた列車に乗り込む。
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日本では珍しい客車列車だが、それよりも驚いたのは窓とドアが常に開けっ放しであることだ。そのため猛烈な勢いで風と共にタイの香りを顔面に浴びる。そんな列車に揺られること2時間半、途中の街カンチャナブリ―に着いた。ここで下車する。
バスに乗り換えるためバスターミナルに向かう。ここまでは観光客も多いため多少の英語が使えるが、ここからは英語もあまり通じなくなってくる。ほとんどジェスチャーのみの会話で最終目的地であるサンクラブリーまでのチケットを購入し、ワゴン車(ロットゥー)に乗り出発する。
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先ほどの鉄道と違い窓は閉められエアコンが効いていて快適ではあるが、運転が荒い。前の車をどんどん追い越していく。仕舞には対向車がいないと分かると平気で反対車線に飛び出しインコースをついていく。この走り方が峠道に入っても続く。まるでマリオカートだ。アイテムでキノコを連続で取り続けているような爆走感。そんな荒い運転に見惚れていること約4時間、サンクラブリーの街に着いた。
まだ時間が16時頃だったので、とりあえず湖に向かうことにした。早ければ今日中にボートを出してくれる人を見つけられるかもしれないと思ったからだ。しかし、どうやってそんな人を探そう。とりあえず水辺の人に声をかけるか?シャドーの写真を見せながら話すか?おまけに僕は人見知りだ。まぁ行けば何とかなるだろうと思い湖に向かったらそんな不安は一瞬にして解消された。湖に突き出た桟橋には現地の釣り人がいっぱいいたのだ。彼らなら絶対シャドーのことを知っている。そう確信し、桟橋の一番奥にいた男に声をかけた。
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英語は使えないのでスマホの翻訳機を使った会話になるが、ことはトントンと進み彼の知り合いが半日800バーツでボートを出してくれることが決まった。その後少し時間があったため桟橋から釣りをした。久々の釣りだったので軽くキャスティングの練習をしていたが、ルアーが小さな電線に引っかかってしまった。微笑みの国タイということもあり、笑顔で「マイペンライ!」(問題ない)と言って納竿したが、一緒に釣りをしてた男が腰まで水に浸かりながら長い竹の棒を使いルアーを回収してくれた。これにはもう「コップンカー!コップンカー!」と繰り返すしかない。そんな彼の名前はオワンといい、結果今回の旅で一番仲良くなった恩人である。
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その後、日が沈み夕飯は街の屋台でいただいた。ローカルの料理はとても辛かったが、辛党の僕はとても美味しく感じた。
今日はしっかり睡眠をとって明日に備えようとしたが、憧れのシャドーに挑めることにワクワクしていたのと、部屋にムカデが出没したことで結果1時間しか眠れなかった…。
続く