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【第三ノ怪】おいしい給食のハナシ

『ぼくは、食べることが大好きです。
お母さんが作ってくれたごはんはもちろん、給食も残さずに食べます。
いちばん好きな食べ物はカレーライスです。

今日は、冬休み前最後の給食です。
しかもクリスマスバージョンの特別なメニューで、何が出るのかは
”お楽しみ”なんだそうです。

僕はすごくラッキーだと思います。
なぜなら、給食当番だからです。
給食当番は、給食をとりに行くのでほかのみんなよりも早く中身を確認できます。

僕は朝から給食の時間がとても待ちどおしかったです。
午前の授業が終わるチャイムが鳴って、いそいで給食着を着て、走りたい気もちをおさえながら、気をつけて(でも少し早歩きになってしまったかもしれません)給食室に向かいました。

給食のおばさんがニコニコしながらワゴンに給食をのせてくれます。
周りにはすごくいいにおいがしています。
僕にはすぐわかりました。
これは、僕の大好きなカレーのにおいです。

ワゴンを押して教室にもどる途中、僕は少しフタをあけて中を見てみました。
カレーとパンとブロッコリーのいためたやつと、ケーキと牛乳…
僕は、すごくワクワクしました。

でも、ひとつ不思議に思いました。
カレーはすごくおいしそうなにおいがしていましたが、いつもと少し違うんです。
何か特別なスパイスが入ってるのかな?と、僕は早く食べたくてウズウズしました。

みんなに給食を配り終えたら、いよいよ給食の時間です。
みんなが手を合わせて言います。

「いただきます!」

僕は大好きなカレーから食べました。
今日はいつものカレーよりも大きい肉が入っています。
まずはそれからパクっと食べました。
でも、不思議です。

ぶた肉、とり肉、牛肉、前におばあちゃんの家で食べた鍋に入っていたイノシシの肉…どの肉とも違う、今までに食べたことがない感じがしました。
すごくやわらかくて、でもコリコリした感じもあって、ほっぺたがおちそうでした!

何の肉なんだろう、すごくおいしいな、思わず一気にペロリと食べてしまいました。少し余っていたのでおかわりをしようとしたら、ほかのみんなもカレーの鍋のところにおかわりをしに来ていました。
いつもはおかわりをしない女の子まで来ていました。
僕はとても驚きました。

食べたい子が多かったのでみんなでじゃんけんをすることになったのですが、負けた子と勝った子がケンカをしたりもしました。
僕もじゃんけんに入って勝ちました。
きっと僕のカレーが大すきな気持ちが神様に通じたんだと思います。

2はい目のカレーもおいしかったです。
でもやっぱり何の肉なのかはわからないままです。』

冬休みが明けたら給食のおばさんに聞いてみようかな。
そういえば、今日の給食のおばさんはいつものおばさんじゃなかったな。

まあいっか。
また食べたいな、あのおいしい肉の入ったカレー。

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