旅
1週間ぶりに外に出た
マスクとワンピースだけ身に付けてとりあえず外の格好という雰囲気を出している
親の自転車はペダルが重い
母親は毎日これを漕いでいるのか。
駅とは反対側を進む
小学校の同級生の家を何軒か横切り、かつての友人の家族が見ても誰も私と分からないんだろうと思いながらペダルを漕ぐ。この頃にはペダルは軽かった。
コンビニに入ると優しい冷気が身を包む
もっとも、優しいのは地球に対してだが。
結局目当ての物は見つからずしぶしぶ退散した。
もうひとつの方に行こう
これは思ったより壮大な旅になりそうだ。
ペダルは重いが視界は開けていた
私は駅の方に向かう。さんさんと日が照るがそんなこと関係なかった。
人がやや多くなってきた
スーツを着た人やお酒を片手に歩く人、やはり駅に近いだけあって種類も多い。
恐らく私は後者の方に当てはまるんだろうなと思った。
後者らしく酒も買ってやろうかと意気込んだが、目的は違うのだ。本来の目的が達成できれば今日は大満足だ。
意を決して店内を見回り、目的のモノを探した。
ファッション誌が多めの本棚、弁当、ペットボトル、そして後ろの棚に
見つけた
一直線でレジまで向かいスマートに支払いを終わらせると、私はまるで別人かのような速さで帰宅した。
この時を待っていたのだ
この旅はかなり小さくかなり短いが、これを手にした私は少し笑顔になれた気がした。
