キャリア選択社会に翻弄されながら
1984年に入社したときは、間違いなく定年まで勤めると思っていた。長年の日本的雇用慣行と言われてきた年功序列制度・終身雇用制度・企業別労働組合の維持は続くものと思って疑う余地はなかった。しかしながら、定期昇給・社員の定期採用・年功序列という企業に入社する特権の階段は徐々に崩れていった。
何も考えずに初任給や福利厚生で会社を選び就社した。その道は定年まで続くと信じていたが、考えは甘かった。「自分のしたいことややりたいこと」など考えずに会社の方針に従っていうとおりに働くけばいいんだと会社の声に従ってがんばってきたのだ。
しかしながらバブル崩壊し、定期昇給はなくなり、成果主義に移行した。プロセスよりも結果、目先の数字が評価の基準に変わっていった。いつのまにか賞与から年金もひかれるようになり手取り額は大幅に減少した。年金制度は確定拠出年金に変更された。自己責任で退職後の生活資金を運用することになった。いつのまにか、年功序列の昇進もなくなった。それについては頭ではわかっていても納得できるはずもなく、多くのミドルがやる気をなくしていった。昇進が遠のき、年齢を重ねていることがまるで良くないことであるかのように窓際に押しのけられるようだ。突然、外部から経営陣が入り、今までのやり方が大きく変わりストレスも増えた。会社のために経営理念を暗記するほど真面目にがんばってきたのにやるせない。家のローン、家族のためにふんばった。今は我慢だと自分を言い聞かせて。
雇用環境・労働環境は大きく変わろうとしている。ひとりひとりが、時代に対応しつつ、自立と自助努力への対応をしていかなければならない。
会社員40年の労働時間は10万時間といわれる。60歳から80歳までのシニアの自由時間も10万時間といわれる。この時間をどう有意義に過ごしていくかを考えていかねばならない。私は、我慢しきれずに定年の2年前に会社を飛び出した。ワクワクした人生を目指して。ときどき、会社員時代をなつかしく感じることもあるけれど、
「自分が選んだ道だから」「自分が決めた道だから」
ストレスなく楽しい。会社員時代にあこがれていたずっとうちにいて主夫をすることも少しだけやっている。さて、これからの10万時間を楽しもう。