葉巻(Pさん)
先日、自転車で中野まで行ってその筋には有名な煙草屋「万富」という所へ、葉巻を買いに行った。
調べた限りでは、葉巻を都内で買えるところは、ここと新宿の「kagaya」と、あと数えるほどしかなかった。
知らないだけかもしれない。
たぶん今年入ったあたりか、その前だか、タバコや葉巻やその他を吸うようになった。
三十二になって初めて吸うようになった。あんまり周りにそういう人はいない。職場で喫煙をする人は、大概生きていてこのかた吸っているかのような、人格が形成され尽くした時にはもう吸っていたかのように見える人ばかりだった。そして、さも生まれてこの方喫煙者であるかのような人と、喫煙には縁の無いように見える人と、まあ稀に今は吸わないですという人に分かれているような気がする。
煙草が最近は高すぎてやめるという人もいたかもしれない。煙草が高くなってきたというニュースから、想像しているだけなのかもしれない。
僕は葉巻とシガリロという小型の葉巻のようなものと、シガリロのフィルター付きみたいなものと煙草とを吸った事があるけれども、葉巻が一番良いという結論になった。
葉巻は見た目からイメージされる、きつそうとかギャングとかいった印象があるけれども、そうでもない。高いものは高いけれども安いものは安く、数百円で買える物もある。それで、吸ったときになんとも言えないまろやかな味みたいなものがある。
葉巻が良いのは味もそうだけれども吸い方によって味が変化したり吸うときのリズムと燃え方を観察したりデカい灰を落としたりする楽しみがある。種類によっても味わいが違うのかもしれないがそこまではわからない。そのうちわかるのかもしれないが、わからない方が金が掛からなくて良いという気もする。
周りで喫煙者で葉巻を吸うという人はいなかった。
今日日喫煙を始めるという人は時節柄珍しいという見方もあるのかもしれないが、時節などは知らない。
葉巻は毎日ではなく時々吸う。
葉巻の吸い方に関して、やれ灰を落としすぎてはいけないとか火の付け方がどうとか切り方でどうとかマナーがどうとかいろんな話を見掛けるが、そんな事ではほとんど変わらず個人で吸っている分には何にも関係が無い。
葉巻で動画検索すると、会員制のシガーバーで吸い方を云々している人や、ノリノリでカッコつけている人などが出てくるけれども、そんな風に凝り性のアピールをする人々は、何というか退屈である。
コーヒーでも機械でもこの葉巻においても、なんだか自分に酔っているように凝っている人は独特の空気を発していて、あんまりそれがプラスに働く事はない。
シガリロはシガーの軽い版かと思って吸ってみていたけれどもよくよく吸ってみると葉巻よりシガリロの方がなんだかきつい感じがする。不思議な事にフィルター付きのシガリロでも葉巻や普通の煙草よりもきつい感じがあり、煙草葉を焼いて煙を吸うもので一番きついのはシガリロなんじゃないかという気がしている。
兄弟で誰も喫煙者はいないし、親も、当然だけれどもぜんぜん推奨はしていなかった。
喫煙具全般を取り扱っている煙草屋「万富」は、その他パイプとパイプに詰める煙草葉と、ベイプと言われる水蒸気の電子タバコが売っていた。
葉巻の話を崩れかけのラジオでしていたが、没になった。