同調蝶々
朝陽に溶けた蝶々は
アスファルトに焦げ付いて
煙草を足でかきけした
灰色の影でバタつく
鱗粉を撒き散らし
飛び立つ力はまだあるが
光のプリズム
眩暈にも似て
渦巻く化石を削るよに
螺旋の風にしがみつき
恋し焦がれた空に舞う
己の身体を灰にして
遠い昔の幻に
蝶によく似た少女がいたか
恋する狂気に灰になる
私の心の襞にも
潜む狂気を覚えた夜
今日を着替えた明日が滲む
境界線を踏み越えて
三分間の隙間を埋めて
そっと涙で蓋をする
滲む明日はやがてまた
今日になり
緩やかに時間は輪になる
繰り返し繰り返す
ただ蝶は
太陽に帰る