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爆発的理論
一年後の笑い話を先取りし、自分と比較して立派な物語に仕立てあげる事が義務ならば、私はとっくに死んでいる。緩やかな秒間を泳ぐようにすり抜ければ、もはや夢遊病だ。
薬のつかみ取りで感極まる私は今日、出会った植物細胞に惹かれて染色体がうずうずしてしまった。これは決して悪いことでは無いが、例えば恋をして相手の事をもっと知りたくなる感覚に似て、テリトリーに足を踏み込むスリルがたまらない。
夜になれば月だって酔いしれる。深さを一段降りて、服を淫らに脱ぐような流星群に瞳は釘付けとなり、酒が回って仕方ない。足元を覗き込めば、鎖で繋がれていてもそれは自重せよとのお告げに過ぎない。
赤く染まる事も、黒く塗りつぶすのも、空は自由である。傷がついてもシャワーで洗い流せば、何事もなかったようにスンとした横顔に戻る。まるで恋人のような仕草は、誘っているのか騙そうとしているのか、判断がつかない。
無駄に筆を進めて導きされた答えなんて、大した事のない煩悩のオンパレード。中身のない文面を長々と読まされて得た結果は果たして。
全ては済んだ話だなんて口を裂けても言えないんだよぉ。