故郷で 枯れた草木の 誇らしさ
友人と縄文杉に会いに行った。
その帰り道の事である。
電車の窓から線路沿いに生えた草を、私は見ていた。
草の名は、セイタカアワダチソウだった。
「セイタカアワダチソウ」
菊科、アキノキリンソウ属の多年草であり帰化植物である。いわゆるブタクサと呼ばれるもので、背丈は1mを超え真っ直ぐに伸びる。
成長の段階で毒を生成し、近辺にある植物を枯らしていく。
空き家などにポツンと寂しく生えているのは、そのせいだろう。
アトロパシーという化学物質を含んだ毒素を地中に放出し、他の植物の成長を阻害する。
分子式はC11H12O2だ。
その毒性は、最終的にはセイタカアワダチソウ自身の葉を茶色に変色させ自滅する。正確には何世代にもわたり断滅していく。
私が車窓から見ていた枯草も、風に負けずしっかりと生えていた。
セイタカアワダチソウは、その場所で生まれ育ったのだ。
立派に生きた。私は、彼を誇らしいと思った。
屋久島への途中、私はこんな事を考えていた。
私は、物事をガイア理論っぽく考える事が好きなのだ。
例えば、生命を自分の体を一つのチームとして考える。
会社でもバンドやスポーツチーム一つをとっても、同じ生命体がこの世に存在することは難しい。
仲違いもあるだろうし、メンバーの入れ変わりもある。
なによりメンバーや細胞自身の寿命がある。
そんな事を考えながらー屋久島にたどり着いた。
ただ単に
「縄文杉ってすごいなぁ。」
と思った。
屋久島の植物たちとたくさんの争いがあったろうに。
地中と空中、日光や空気 窒素やリンなどを求めしのぎを削ってきたんだろう。それが今や森全体でこんなにも調和をし、何千年と青々と元気なんだもの。
最後に、私の好きなラッパー、志人さんの言葉をメモします。
縄文杉の事が韻律で書かれており、屋久島の事とともに時折思い出すからです。
「Eu hasere ia oe?」
ヒグマもアザラシもザトウクジラも
いつからか君がここに来るのを待っていたんだよ
屋久杉に抱き着いた時にやっと気づいたんだ
「木の中に海が見え 海の中に森があるのを」
火が火を支えて炎になるべく
何度でも立ち上がれ 半透明な月が無言で諭す
安直になるな寛容であれ
何万光年前に光が著す現在と知り
千載一遇の出会いと別れを見逃すな
潜在意識を呼び覚まし
夜が明ける前に
野に放て
限界を超え
天体を旋回せよ
不思議握り生き死にし 響きあう星
ええかい 君は紛れもなく天才
※縄文杉に抱き着いたエピソードはいくつかある。私の叔母も
「前は柵なんかなくて近くにいって抱き着けたのに」
とか言ってた。
杉の根を痛めるのでダメ!絶対!そうやって自分に言い聞かせて、巨大な縄文杉を見上げた瞬間を今でも思い出す。
心臓は小鳥のように波打っていた。