クズの取り合い譲り合い
こんにちは、クズナノカです。
記憶を掘り起こしながら書いていると、当時の思いがよみがえって面白いです。
前回、小学6年生から中学1年生にかけての、いつもは吊目、笑うとタレ目っぽっくなる可愛いMちゃんとの話を書いたが、今回はそのMちゃんと潮時を迎えて中学2年生のころのことを書こうと思う。
実際、彼女ができたのではなくボクの第1回モテキの話です。
中学2年生になったボクは、新しいクラスメイトにドキドキしていた。
「どんな可愛い子がいるんだろう」「ヤンキーいるかなーいたらイヤだなー」と色んなことを考えていた。
この頃流行っていたのが、クラスの誰かのうちに行き、小学校の卒業アルバムを見ながら「この子可愛い!」っていう遊び。
中学校はM小学校(大きめの小学校)とT小学校(ボクが通っていた小さい小学校)が一緒になる中学校なので、M小出身の人はT小出身の生徒を基本知らない。特にT小出身の生徒はM小が大きく、生徒数も多いため知らない人が多い。
お互いの出身の生徒を知る上でも、コミュニケーション力を上げるためにもステキなイベントだったんじゃないかと思う。なぜこれを1年生のときにしなかったんだろう。
ボクの住んでいた家は、ボクが小学6年生の夏休みに新築で建った家で、もちろんボクの部屋もあり友達を呼ぶにはもってこいだった。
確かクラスメイトとその友達(同級生ではあるが顔も名前も知らない)、合計10人ぐらいがボクの部屋に大集合していた。
卒業アルバムを見ながら「●●ちゃん可愛い!」とか「■■ちゃん今と全然違うじゃん!」とか好き勝手に点数つけたりしていた。
ボクが高得点をつけたTちゃんは、少年隊が好きなちょっとワルい感じの女の子。目がクリッとしていていつもは不機嫌そうな顔をして、笑うときはハニカムように笑う。ヤンキーは嫌いだったが、Tちゃんはなぜか許せた。
友達の反応は、「ええええええ!やめとけってええええええ!」で、誰からも同意は得られなかった。
同意はしかなったくせに、次の日に学校へ行くと「クズナノカはTちゃんが好き」と暴露されていた。男も薄情なときは薄情だ。
このTちゃんとは3つのライフイベントがあり、学校内でも有名な人、出来事になってしまう。
きっとTちゃんは、誰からか「好きだよ」って言われると、大してなんとも思ってなくても意識して、「私、あの人のことが好きかも」って思っちゃうタイプなんだと思う。
ボクは直接何かを言ったわけではないにもかかわらず、学校で会ったりするとちょいワルなくせいにハニカンで笑ってくれたり、「なんだよオマエー」って感じでしばかれたりもした。
そして毎日電話をしてくるようにもなった。もちろん携帯電話なんてないから電話は普通に「クズナノカくんいますか?」って家電にかけてくる子だった。
少年隊の「デカメロン伝説」のCDを無理やり貸してくれて、「覚えて!」と言われたこともあり、CDを返すとき「でっかいメロンーでっかいメロンー」と適当に歌ってしばかれたこともあった。(若い人は知らないと思うけど、ゆってぃーの「ワカチコ」の元ネタだと思う。ワカチコワカチコー!)
第1のイベント
ある日、Tちゃんがボクの家に来ることになった。
ボクの家に来たTちゃんは低身長で中2にしては落ち着いたSちゃんを連れてきたのだった。もちろんまったくの初対面。
Sちゃんは家にはあがらず、外にいてTちゃんとボクは部屋で2人きり。
なにか期待するシチュエーションだが、ある意味期待である。
ボクのベルトを手にとったTちゃんはベッドに座るボクに対して、そのベルトを振りかざしてきた。
「女王様とお呼び!」なんてもちろん言わない。
「Sちゃんのことどう思ってるの!」
「え?え?え?知らん知らん誰?誰?Sちゃんて外にいる子?」と、女王様にご褒美をもらっているボクは本当に意味がわからなかった。
もちろん人生、最初で最後のSM体験である。
女王様に冷静になってもらい話を聞くと、女王様とSちゃんはもともと仲がよく、Sちゃんはボクのことが気になる、最近ボクと女王様が仲がいいので女王様に相談、女王様が一肌脱いで仲を取り持とうということだったらしい。
それでSMね。とはならない。
ボクとしては面白くない。
好きなのはTちゃんであって、そのTちゃんに他の女子を紹介されて面白くない。
それからのSちゃんときたらまわりに同級生に「クズナノカくんが好き」と言いまわったり、学校の休み時間にボクの机から教科書を盗み出し、Sちゃん本人だけが使っている、ボクにつけたあだ名を落書きする、ちょっとしたいじめ、嫌がらせをし始めた。
可愛いからって許されることではない。
可愛いから笑って許していたけども。
いっぽうTちゃんはというと、キューピットを買って出た手前、ボクのことを無視し始めていた。
そしてボクがとった行動は、Sちゃんをとことん無視するというものだった。
三者面談でもすれば解決しそうな話だが、めんどうなことには首を突っ込まないボクは、どちらにもつかないと判断したのだった。
第2のイベント
中学2年生の夏休み明け、ボクは担任の先生に呼び出された。
担任「TちゃんがB中学校(隣町の中学校)に殴り込みしたのは、おまえのせいか?」
クズナノカ「ぽかーーーーーーーーーーん」
殴り込みってwww
どうやらB中学校に気に入らない男子がいたらしく、夏休みの半ばの出校日に意気揚々と殴り込んだけど、盛大に返り討ちにあって顔がパンパンに腫れたらしい。
いやいやクローズかwww 東京卍リベンジャーズかwww ビー・バップ・ハイスクールかwww 昭和かwww
返り討ちに会いながらボクの名前を叫んでいたらしくて、ボクが担任に呼ばれたって経緯だった。
ボクの知らないところで、死に間際に愛する人の名前を呼ぶみたいな任侠系ラブストーリーになっていた。
もちろん寝耳に水な話だったので、誤解はすぐにとけた。むしろ何をどう誤解されていたのか謎である。
Tちゃんに対しても無視を決め込んでいたボクは改めてTちゃんの大きな愛を感じて何か申し訳なくなっていた。
なぜ申し訳ないかというと、前にも書いたが、Tちゃんはボクのことを好きになったわけではなく、ボクが「可愛い」と言ったため気になっていただけなのだ。
その証拠に、この2度めのイベント後、何事もなかったように別の彼氏ができていたのだ。
約半年の間、ボクのことを取り合ったTちゃんとSちゃん、いちばんの被害者はぜったいボクだ。
SMされ抗争の原因にされ勉強道具はボロボロにされ、いつの間にかTちゃんともSちゃんとも付き合っているとウワサをながされ、いい迷惑だ。
Tちゃん、Sちゃんともチューもしてなきゃ手も繋いでなのに。
このころのボクのあだ名はドストレートに「女ったらし」だった。
モテキなんてみんなこんなものだと思うよ。
第3のイベント
中学2年生で女ったらしと呼ばれたボクだったが悪いことばかりではなかった。
実は成人してしばらく経ったころ、Tちゃんから連絡がきたのだ。
そのころ、大阪で仕事をしていたTちゃん、帰省するからヒマだったら遊びたいと誘われ、二つ返事で了解した。
ボクも実家を離れ一人暮らしをしていた。
Tちゃんが帰った来てデートすることになった。久しぶりに見るTちゃんは髪は金髪でglobeのKEIKOに憧れていて、あの頃と同じようにハニカンで笑う。やっぱり可愛いのである。
待ち合わせが夕方だったのでちょっとドライブしてご飯でもと思っていたが、ボクの部屋が見たいと言われ「やばい、掃除してない。しかも前日の晩ごはんにイカを捌いて内蔵をそのまましていたから、ものすごく部屋がイカ臭い!」
イカを捌いて内蔵放置したことがあるだろうか。イカ臭いって精子臭いのとは違うことを知っている人はどのくらいいるだろうか。正直言って
精子のほうが数倍いい匂い
これはネタじゃない。事実だ。
とは言っても何かを期待してニヤニヤしながらうちに向けて車を走らせるんだけどね。
うちに向かう車の中でTちゃんが、ボクの気持ちを代弁してくれた。
「あたしさ、クズナノカくんとエッチしたい」
これに対してボクの返事は「あ、コンドームない」だった。
実はTちゃん、ちょっと前に病気で子宮全摘出していたらしく、そのとき「自分はこのまま死ぬんだ」って思ったらしい。
だからやり残したことを全部やろうと思い、ボクのことを思い出してくれたらしい。
その思い出し方が酷くて、Tちゃんの中ではボクと付き合っていたらしく、「今まで付き合った男性の中でセックスしてないのはクズナノカくんだけだ」
今回に関してはボクはクズではない。クズはTちゃんだということにする。
無事に中田氏を決めたボクは、クズなTちゃんにお礼を伝えて朝方5時頃、クズなTちゃんをクズなTちゃんの実家に送り届けたのだが、その車中でクズなTちゃんは結婚していたことが発覚。
神聖クズだよ
その後もTちゃんとは交流があり、いまだに連絡は取り合っている。もちろん一線はこえてはいない。
旦那とは離婚、その離婚のお手伝い、起業するときのお手伝い、とTちゃんのライフイベントでちょこちょこ登場させてもらっている。
同じクズ同士、気は合うらしい。
そんなTちゃんも今は再婚し、幸せにしている。
再婚相手はボクじゃなかったのが残念ではある。
これがボクが中学2年生のころの淡いモテキ体験だ。
男は別れた女のことをずっと覚えていて、引きずるのも男が多いと言うが、Tちゃんは男ばりにボクのことを引きずっていたのだろうか。
これが俗に言う「腐れ縁」なのかと思うと、Tちゃんのことは一生大事にしないといけない友達だと思う。(いつかまた一線を超えることに期待しつつ)