小選挙区制と中位投票者の定理について
小選挙区制
小選挙区制は、選挙区ごとに1名の議員を選出する制度です。この制度では、各選挙区から得票数が最も多い候補者が当選します。この方式は、特に二大政党制が強い国(例:アメリカやイギリス)で広く採用されています。日本の衆議院選挙でも、小選挙区制が一部取り入れられています。
中位投票者定理
中位投票者定理は、選挙において各候補者が中位(真ん中)に位置する有権者の意見に近づく傾向があるとする理論です。選挙が単一の次元で行われ(たとえば、左派-右派という軸がある場合)、すべての有権者が自分の好みに最も近い候補者に投票する場合、各候補者は「中位」に位置する有権者(極端な右派や左派ではなく、全体の意見の中間にいる人)をターゲットに政策を調整することが合理的だとされています。中位投票者の支持を得ることで、選挙に勝つ可能性が高くなるからです。
小選挙区制と中位投票者の関係
小選挙区制では、各選挙区ごとに1人の代表者しか選ばれないため、候補者は幅広い支持を集める必要があります。このため、候補者は選挙区内の中位投票者に訴えかけることが多くなります。もし候補者が中位投票者から離れた極端な立場を取ると、全体の票のバランスを崩し、対立候補に票を奪われるリスクが高まります。
実際、小選挙区制のもとでは、二大政党制が強くなりやすく、両党が中間層の票を争う構図ができることが多いです。その結果、政策も中道に寄りがちになるという特徴があります。
つまり、小選挙区制では、候補者が「勝つ」ために、中位投票者に焦点を合わせた政策を打ち出すことが多くなると考えられます。