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飲食店ポータルサイトの影響力
今回はちょっといつもと違うテイストで書いてみようと思います。
きっかけはこちらの記事です。
ざっくり説明すると、「食べログ」を運営するカカクコム社を、焼肉チェーン店の「KollaBo」などを運営する韓流村という会社が訴えたという内容です。
なぜ訴えたかというと、食べログの評点方法を変更したことにより、KollaBoなどの店舗の評点が下がったため、ということです。
原告側の主任代理人を務める皆川恵比寿法律事務所の皆川克正弁護士は「中規模チェーンだけが下げられている客観的事実がある」と明かす。「食べログは収益拡大を目的としており、広告出稿余力のあるチェーン店を狙い撃ちにした恣意的なアルゴリズムの変更」との主張だ。
カカクコム社が自社利益のために不当にアルゴリズムを変更した、という主張です。この訴えに関してはこういう見方が強いようです。
業界内では今回の訴訟が「韓流村に不利」という見方がある。仕組みを悪用される危険性があるためとして、食べログはアルゴリズムの詳細を非公開にしているからだ
しかし、この記事では、上記見解とは異なる結果になる可能性もありえるとしています。理由は、今年3月に、公正取引委員会が発表したこちらの資料です。
「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について」ということで、飲食店ポータルサイト、飲食店、消費者の3つの立場からアンケートをとりまとめたものです。
公取委は、こうしたグルメサイトの運営会社側が恣意的に評価点数や掲載順を操作し、他の飲食店と異なる取り扱いをして競争上著しく不利になる場合は独占禁止法違反に当たる恐れがあると指摘した
記事中ではこの調査資料の見解から、公取委が何らかの動きを見せるかもしれないとしている。
ここで、この公正取引委員会の調査資料をちょっとみていきたいと思います。
調査報告書全文は82ページもあるため、こちらの概要資料を元に触れていきます。
(前提として、今年、『特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律』が成立しています。巨大IT企業が影響力の大きさを利用して、取引先などに不利な条件をすることなどを抑止することを目的としています。)
そして、今回の公取委の報告書でも、飲食店ポータルサイトがこういうデジタルプラットフォーマーのような影響力を持っていると考えています。
そして、このように、課題も提示しています。
こちらの文章は概要資料の6ページ目のところです。表示順位のアルゴリズムについても言及しています。
優越的地位にある飲食店ポータルサイトが,正当な理由なく,恣意的にルール(アルゴリズム)を設定・運用等し、特定の飲食店の表示順位を落とすことにより,自己にとって都合のよい契約プランに変更させるなど, 正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合、優越的地位の濫用となるおそれがある
自社の都合の良いように設定を変えることで飲食店に不利益を与えることは問題となる可能性があるとしています。
8ページ目の評点についてもほぼ同様の記載があります。
今回のKollaBoのケースがこれに該当するかどうかは不明ですが、表示順位や評点の付け方は、自社サービスだからといって自由に変えてもいいということにはならないというでしょう。
概要資料の最後の13ページ目にはこの通り、公取委の姿勢が記載されています。
こういった点が今後、飲食店ポータルサイトの運営の上で飲食店側への影響を配慮しながらサイト運営をしていく必要があり、慎重に対処していくのではないかと思います。