ソフトウェア資産分析 ~ PKSHA Technology②
さて、PKSHA Technologyについてです。以前、上場直後の頃に、新規上場提出書類をベースにソフトウェア資産などについての分析を少し書きました。
この会社は9月決算で、2017年9月期の有価証券報告書が出ていたので、直近決算についてみてみたいと思います。
まず、業績の概況ですが、決算説明資料に掲載されている業績推移は下図のような感じです。
綺麗に右肩上がりの売上・利益の推移ですね。売上の内訳は下図のようです。
従来は、他社製品へのライセンスがメインだったものが、この期で一気に自社製品が伸びています。
さて、ソフトウェアについてみてみましょう。この期に、BEDORE事業を分社化して、子会社化していますね。そのため、連結財務諸表になっています。
まず連結BSはこんな感じです。
どうでもいい話ですが、項目数が少なくてすごくシンプルですね( ̄∇ ̄)
内容についていうと、「無形固定資産」が114百万円計上されております。これの内訳はどうなっているのかというと、ちょうど設備の状況にソフトウェアが記載されていました。
PKSHA本体と子会社BEDOREにおいて、それぞれソフトウェアが資産計上されているようです。(単純に足すと、114百万円を超過しますが、連結上で固定資産未実現利益の消去があるものと思われます)
ということで、連結BSの無形固定資産はほぼソフトウェアでしょう。
研究開発の項目を見ると、このような記載となっています。
前の期まで記載のあった「BEDORE」や「PKSHA Vertical Vision」の記載が無くなっています。おそらく、研究開発段階を終えて製品化ステージに入ったため、ソフトウェア資産に計上しているものと思われます。
結果として、このように1年でソフトウェア資産計上金額が大きく増加しています。(個別と連結の比較になっていますが、分社化したものなので、実質的に個別同士の比較と考えて良いかと思います)
このように自社サービスの売上の伸長に応じて、ソフトウェア資産の計上金額も大きくなっています。もし仮にソフトウェアを資産計上せずに全額費用処理していたとしても、現状の営業利益が4億近くあるので、1億ちょっと減っても約3億円と利益水準はかなり高いままですね。
これらの状況等からすると、利益率もよく非常に手堅く成長性のある事業を手がけているような印象です。
ただ一点だけ触れるとすると、ソフトウェアの耐用年数のところですか。
5年定額法を採用しています。自社利用目的ソフトウェアとしては一般的なところではありますが、こういった機械学習、深層学習といった分野は新しくかつ進歩も激しい分野かなと思うので(技術的なことはわからないので、単なる印象ですが)、5年という期間設定が妥当かどうかは微妙な気もします。
あるいは、期間見積もりが難しいから、一般的な5年としている、ということもあるのかもしれませんが。
今後の、研究開発動向なども時折チェックしてみたいと思います。