ソフトウェア資産分析 ~ メドレー
今回もソフトウェア資産分析で書いていきます。
2019年12月に上場したメドレーについてです。
事業内容としては、人材プラットフォーム事業や医療プラットフォーム事業といったものを行なっています。
特に医療プラットフォーム事業については、現在のコロナの環境下におけるオンライン診療に関するものとしても注目を受けつつある感じです。
有料記事なので全文見れない人もいるかもしれませんが、こういった箇所で触れられています。
メドレーも4月に全国の導入施設でのオンライン診療の回数が3月の4倍に拡大した。
人の移動や接触というのを避けるため、病院にいくことができない状況があったため、オンライン診療やオンラインでのサポートの重要性なども増しています。一方で、法的な規制などもあり、なかなか実務分野への浸透が難しかった領域でもあります。
厚生労働省からはオンライン診療に関する情報も出されています。
メドレーの直近決算の2020年12月期の第1四半期の決算資料では、「医療プラットフォーム」事業としては、利益を出せる段階ではないようです。
コロナの影響を受けて、この分野が今後どうなっていくのかというところでしょうか。
ではソフトウェア分析の方に入っていきましょう。
事業内容
事業内容についてはすでにある程度最初の方で述べていますが、改めて見てみます。現状、2つの大きな事業の柱があります。
人材プラットフォーム事業 ジョブメドレー
医療プラットフォーム事業 CLINICS 他
2020年12月期の第1四半期の決算資料では、各事業の売上推移はこのようになっています。
人材プラットフォーム事業が稼ぎ頭として売上の大部分を占めており、医療プラットフォームその他はまだこれから、といった状況ですね。
最初の方にも触れたように、オンライン診療に関連する事業がコロナ環境下で伸びてきている状況です。
決算状況
この会社は12月決算で、2019年から連結決算を組んでいますね。とはいえ、子会社もまだ小さいのか、連結と個別の売上の差はほとんどありません。
個別財務諸表の動きは、損益は凸凹ありますが、売上は良い感じに伸びている形となっています。
ソフトウェアの状況
それではいつものように、BSからソフトウェアをみていきます。
この会社は12月期決算であるため、以下の情報は、2019年12月期の有価証券報告書をベースにみていきます。
(2019年から連結になっていますが、いつものように、個別財務諸表をみます。あまり連単倍率も差がないです)
ソフトウェア残高が、2018/12から2019/12で、68百万円ほど増加しています。
PLとしては、2018年は損失を出していますが、2019年はしっかりと利益を出しています。そういった点でもソフトウェアの資産計上は問題ないというところでしょうか。
附属明細をみてみると、ソフトウェアの増価額としては1.5億ほど取得しています。内訳は「自社利用ソフトウェア」とあるだけなので、具体的にどういった事業に関わるソフトウェアなのかは不明です。
ここで、いくつかの手がかりから、どの事業に関わるものかを想像してみたいと思います。
2020年12月期の第1四半期の決算資料に、事業ごとのEBITDAの四半期推移表の表があります。
人材プラットフォーム事業のEBITDAはずっとプラスを維持している一方で、その他の事業に関してはマイナス推移が続いています。
そして、有報の記載に戻ると、減損損失の項目で、下記の内容があります。
2018年に医療プラットフォーム事業に関するソフトウェア資産を減損処理していることがわかります。キャッシュフローとEBITDAはイコールではないですが、近似値的に使えるので、先ほどのEBTIDAの推移からみても2019年もマイナス状態であったのではないかと推測されます。
とすると、2019年も医療プラットフォーム事業に関して資産計上するのは難しい状況であると思われます。そうした場合、2019年の1.5億のソフトウェア資産の増加は、人材プラットフォーム事業に関わるものが大部分を占めているのではないか、と考えられます。
税効果会計の注記はこのような記載なので、ソフトウェア資産については特に手がかりはない感じです。
おまけ
売上も順調に右肩上がりに伸びてきており、ソフトウェア資産も積み重ねてきています。
また冒頭で少し触れたように、コロナの影響による医療分野のオンライン関連でも今後伸びが期待できそうな事業もあります。
上場により資金もだいぶ増えたので、新規分野へ投資も積極的に動けると思いますし、今後の成長戦略に期待です。