ペーパーレスの未来 電子帳簿保存法と電子契約②

前回からの続きの話をします。

実際問題として、請求書だけならまだしも、契約書までを電子化して原紙を廃棄はやりづらいのではないか、という感じですかね。

では、そもそもの話、というところで、契約書や請求書を作る段階から電子化して発行してしまえば、紙で受け取ったものをスキャン保存とかいう面倒な手続きをしなくても済むのではないか、ということです。

では、そういった電子データをやりとりした取引に関してはどのような規定があるのでしょうか。

スキャン保存などに関しては、電帳法4条で決められていましたが、電帳法10条にはこのような定めがあります。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない

ここでいう電子取引とは、ウェブ上や電子メールなどを使うやりとりです(電帳法取扱通達第2条3項

電子取引を行った場合、取引情報を電磁的記録で保存「しなければならない」となっております。すなわち、税務署の承認を受けて保存するのではなく、当然に電子データの状態で保存するのです。

電子データのまま保存する際にも、自由にして良い訳ではなく、電帳法施行規則第8条に保存するための条件が定められています。

受領したデータに、タイムスタンプを付与するか、勝手に変更できないような内部体制の構築などが必要となります。

このあたりの電子取引に関して知りたい場合は、公益財団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)というところが、『「電子取引の電子情報に係る電磁的記録の保存」に関する解説』という文書を出していますので、こちらを読んでみると参考になると思います。


見てきた通り、電子データで受領した場合の電子取引の場合には、電子保存は義務であって税務署の承認は不要です。そのため、もし、全ての取引を電子データで受領することができれば、税務署の承認を受けるまでもなく紙が不要で電子データを保存しておけば良いことになります。
もちろん、現在の日本で全ての取引を電子データで済ますことは不可能に近いのですが、今後、電子決済等が普及していけば、いつかそういったことも可能になるかもしれません。

それでは、そういった全てが電子化された状態を実現されるためにはどうして行けば良いのか、という点をこれから考えてみたいと思います。

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