ソフトウェア資産分析 ~ マネーフォワード②
今回はマネーフォワードを取り上げてみます
実は、マネーフォワードに関しては、2017年に上場した時に、ソフトウェア分析について書いていますので、今回は②としています。
前回の時は、会計上は自社開発分などは資産計上していないようだということに言及して、将来的に資産計上時期がいつになるのかに触れました。
一方で、会計上資産計上していない理由としては、以前のページでも触れたように、営業損益ベースではまだ黒字化していないためではないかと推測できます。当期予想もまだ赤字なので、資産計上は来期以降のどこかになるのかもしれません。ソフトウェアの資産化はいつか、という点にも注目してみるのも面白いかもしれません。
そして、直近の決算、2020年第1四半期の決算です。
売上は順調に伸びていますが、損益はまだ赤字の状態です。
当期の損益予想も赤字です。
ここで、BSを見てみます。
ソフトウェア残高が、2019/11末の18Mから2020/2末の111Mへと1億円近く増加しているのと、ソフトウェア仮勘定が新たに86M発生しています。ソフトウェア関係だけで約2億円増加したことになります。
ソフトウェアだけだと、外から購入したソフトウェアという可能性もありますが、ソフトウェア仮勘定があると自社制作のものがある、ということでしょう。(ソフトウェア仮勘定が何かはこの辺りなどを参照ください)
四半期の開示情報だと、有価証券報告書に記載しているような詳細なデータがわからないので、実際に資産増加の内訳がどういったものかは不明です。ただこれまでの傾向からして、おそらくは自社制作費用を資産化し始めたのではないかと思います。
つまり、マネーフォワード社は、この年度から、自社サービスの制作費用を資産計上し始めたという可能性が高いです。当期予想はまだ赤字ですが、中長期的な計画では収益化の目処がついた、ということではないでしょうか?
決算説明資料では売上総利益、EBITDAなどの四半期推移を表しています。
EBITDAベースでもまだマイナスですが、売上総利益率も上がってきていますし、これから黒字化していく方向性が見えてきたのでしょう。
念のため、有価証券報告書のある2019年11月期の内容をみてみます。
個別のBSの状況は、先ほどもあったように、それほどソフトウェア資産は多くありません。
前回の記事の時も触れた売上原価についてはこういった形です。
「労務費」は自社サービスに直接関連する人件費だと思いますが、これくらいの規模感になっています。
税効果明細については、このような形です。
「減価償却累計額」とだけあるため、ソフトウェア以外の固定資産も混ざっていると思うので、詳細は不明ですが、金額が増加しているのはソフトウェア制作に関わる費用なのではないかな、という気はします。
ところで、連結税効果の明細を見ると、このようになっています。
「減価償却累計額」もあるのですが、「ソフトウェア仮勘定」という項目が出ています。「ソフトウェア仮勘定」は個別では区分された項目としてはなのに、連結では表示している、というのは一体何をさすのか。
マネーフォワード単体ではソフトウェアを税務上資産計上していないが、連結子会社で資産計上している会社があるのか、あるいは、何か別の理由なのか。ちょっとこれだけの情報ではよくわからないですが、いずれまた何か手がかりになる情報を見つけたら触れていきたいと思います。
今回は一旦、2020年11月期の第1四半期の情報からなので、詳細が把握しづらいところはありますが、ソフトウェア・ソフトウェア仮勘定が増加したという点はわかりました。おそらくは自社制作費用の資産化を開始したと考えられますが、今後決算期が進捗するにつれてどういった動きをしていくか、要チェックです。
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