ペーパーレスの未来 電子社会の方向性①
さて、これまで、電帳法や電子契約などについて触れながら、現状の電子取引に関する問題点についても触れてきました。
Advent Calendar的にも残り3日になってきたので、そろそろまとめに入ろうかな、と。(まあ、別に無理に3回でまとめなくてもいいんですがね)
これまで、キャッシュレスや電子契約、電子帳簿保存などに触れてきました。個々に対応するサービスも色々な形で世の中に普及しつつあります。しかし、それらを横串で一気に電子化してしまわないと、結局どこかで紙が発生すると、余分な手間が発生してしまいます。
電帳法改正によりスポットが当てられたのは、スキャナ保存やスマートフォンの撮影可能となったことでした。もちろん、これらのことも、従来に比べれば、大きな前進ですし、対応可能な企業は積極的に対応すべきことです。
しかし、スキャナ保存等は、そもそも紙の存在を前提としています。発行側で作成された契約書、発注書、請求書なりがあって、それをスキャナなどで電子化する、という処理です。
一方で、前回、電帳法10条などの規定に触れましたが、電子取引についても定めがあり、最初から紙を印刷せずに、電子データのやりとりだけで完結させることも可能です。
とすれば、目指すべきは、スキャナ保存への対応をいかにうまくやるかではなくて、電子取引だけで全てを完結できるところを目指すべきではないでしょうか。
一応、両者の比較をざっくりとかくとこんな比較表でしょうか。(細かいところは別途確認してください)
事務処理的な観点からいっても、電子取引の方が、ある程度負担が軽い感じです。とすれば、なるべく早いうちに電子取引で完結できる社会が望ましいはずです。
ところが問題点としては、税務的な観点からは、電帳法の要件を満たしさえすれば良いのですが、法的なリスクヘッジを考えると、単に文書をPDF化して電子化しさえすれば良い、という訳ではない、というところです。
これまでも請求書と押印④やペーパーレスの未来 電子契約③でも触れたきたように、紙に押印がある場合にはある程度の法的保護があり、電子取引において同様の保護を受けようとすると、電子署名が必要となるが、現状の電子署名は実用的に難点が多い、という状況です。
そもそも、請求書に押す印鑑は、近所のハンコ屋で売ってるものや通販で購入できるレベルのもので、特に登録等せずに使用してもなんら問題ないのに、電子ファイルになるとハードルの高い電子署名を要求されるのも、ちょっとバランスが取れていないような気もします。そのあたりの法改正等もいずれ必要になってくるのかな、という感じですかね。
電子署名レベルの法的保護までは求めないけれども、ある程度のセキュリティを施して、本人(会社)が適正な処理をしていますよと、一定の内部管理体制がある上で手続きができていれば、紙に押印あるものと同様の保護がある、というようなイメージが一つの形としてあるかな、というところです。
ちょっと長くなってきたので次回へ続きます。
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