図1

ソフトウェア区分⑤

さて、前回、前々回と事例をみてきました。

では一体、「自社利用目的」と「市場販売目的」とで何が違うのでしょうか?少し細かい話になりますが、基準などを根拠にみていきます。

まず、市場販売目的のソフトウェアに関してはこういったものです。

画像1

「最初に製品化された製品マスター」の完成までにかかった制作費用は、「研究開発費」として処理されることとなります。そして、その後の制作費用は、資産計上対象となります。

画像2

ざっくり図にするとこのようなイメージでしょうか。

例えば、以前参照した書籍などでは、このような解説が載っています。

画像3

企画・設計から、実際のプログラミング等の開発を経て、製品マスターが完成するまでを「研究開発活動」という捉え方をしています。

少し具体例を添えて、もう少し解説してみます。

画像4

現在のようなインターネット回線がブロードバンド化していない頃には、このような流れで、制作したソフトウェアは、CD-ROMといった物理的なメディアに製品マスターを複写することによって、販売されていました。

しかし、現在は物理的なメディアを使わずとも、データをダウンロードして使用することが一般的となり、あるいは、ウェブサイトなどにアクセスして必要な情報を閲覧したり、サービスを使用したりすることができるようになっています。上記の図でいう「生産活動」に該当する部分が不要となっているのです。

画像5

このように、製品マスターとして利用者が使えるレベルのサービスが完成すれば、そのままインターネットから配信すれば良い状態となり、「製品マスター完成」と「製品完成」がほぼイコールといえる状況となっています。

とした場合、資産計上対象である「生産活動」の期間がほとんどなくなるため、資産計上金額はかなり小さくなる、あるいは、0ということもありえます。

(上の図で、販売活動の所に「償却開始」とありますが、もし資産計上が0であれば、償却すべき資産がないので、償却も存在しないこととなります。)


では実際にオンラインのサービスなどを手がけている会社はどのような処理をしているのか、次回少しみて見たいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?