ソフトウェア資産分析 ~ Sansan
今回は、今年大型上場をしたSansan株式会社を取り上げてみようと思います。会社名と同じSansanという名刺管理サービスなどを提供しています。特徴あるCMなども話題になったりしますね。
上場直前期としては、大きな赤字でしたが、進行期の1Qの損益は黒字化しています。
さて、いつも通り、資産項目をみてみましょう。直近の通期決算である、2019年5月期の有価証券報告書をベースにします。
ソフトウェア資産で割と大きめの金額が計上されています。このくらいの金額だと固定資産明細にも詳細が記載されている場合が多いので、みてみます。
記載の通り、Sansan事業の為に制作しているソフトウェアの費用が資産計上されています。
過去の業績は、ずっと赤字だったのですが、それでもソフトウェアの制作費を資産計上していた事になります。(確認できるBSは、2017年5月期からなので、それ以前のいつのタイミングから資産計上していたかは不明ですが)
黒字化する前から、いずれはしっかりと黒字化するという明確な意思があったということでしょうか。わりと珍しいパターンかなという感じですね。
しかし、実際に直近の進行期では黒字化しているので、資産化する根拠がちゃんと示すことができたという事になります。
売上原価明細が掲載されていないので、ソフトウェアに振り替えている人件費や経費等の割合は読み取れません。
ソフトウェアの注記としてはこのようになっています。
資産計上したソフトウェアは耐用年数3〜5年で償却しているようです。事業向けで制作している方は、インターネットのビジネスサイクル的な観点から、3年程度としているのかもしれません。
税効果会計の注記をみてみると、減価償却超過額の金額も増えているので、ソフトウェアの増加の影響が大きいのかなとも考えられます。あくまで想像ですが、会計上は名刺管理の事業用ソフトウェアは3年償却にしているけれども、税務上は5年償却であるため、この注記のような金額になっている可能性があります。
今後のソフトウェアに大きな動きなどをあれば、また取り上げてみようと思います。
ところで、名刺文化ですが、名刺は必要だとしても、「紙」の名刺である必要があるかどうかというのは前から思うところありまして。
紙の名刺データをわざわざ電子データとして取り込むくらいなら、最初から電子化された名刺情報を交換すれば良いのでは?とはよく思うのですが、そういう文化が根付くのはまだ遠い将来何でしょうかね。
わざわざ紙資料を作って交換しあうという習慣がいずれはなくなるような気はしますが、その時は、電子データをいかに活用するか、という点に焦点が当たっていくのではないでしょうか。