「歌姫の仮面を脱いだ僕」を彩る18人のOPMスターたち / 18 OPM Stars appearing in Jake Zyrus' autobiography 'I AM JAKE'
ジェイク・ザイラスが2018年に出版した自伝「I AM JAKE」の日本語版「歌姫の仮面を脱いだ僕」は2020年4月に発売されおかげさまで大変多くの方にお読みいただいております。
天才女性シンガー シャリースとして全米デビュー、CDアルバムは日本盤も発売され大ヒットとなりました。デイヴィッド・フォスター&フレンズの一員としての来日公演をご覧になった方もいらっしゃると思います。
この本の中にはジェイクがこれまでの人生を語る中でセリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンなど彼と親交のあった多くのセレブリティが登場すると同時に、フィリピンのアーティストも大変多く記されています。
しかしフィリピンのアーティストや音楽に馴染みがない方もいらっしゃるでしょう。
そこで「歌姫の仮面を脱いだ僕」を、さらにはフィリピンの音楽事情をより詳しく理解していただくため、「副読本」として物語に登場する18人のフィリピン人アーティスト・楽曲を登場順にまとめて紹介します。
すでに本をお楽しみいただいた皆さんにはおさらいとして、これから読んでみよう、今読んでいるところ・・・という皆さんには動画付き副読本としてご覧いただきましたらと思います。
※記事中の「頁」は全て「歌姫の仮面を脱いだ僕」に準じています。
※本文に言及のないアーティスト・楽曲(注のみで言及)のものは除いています。
※フィリピン人・フィリピン系アーティストのみ拾い上げています。米国人アーティストは除いています。
1. Ice Seguerra
27ページ、一番最初に登場するフィリピン人アーティストは同じトランスジェンダー(トランスマン)で子役の女優としてデビュー、美しい歌声でシンガーとしても人気となったアイス・シグエラ。もともとアイザ・シグエラ(Aiza Seguerra)というステージネームで活動していたがトランスジェンダーをカミングアウト、現在の名前に変更し男性シンガーとして活躍している。
ピックアップした動画はアイザ名義でリリースした最後のアルバムに収録された美しいバラードでレジーン・ヴェラスケスがオリジナルヒットさせた名曲「Araw Gabi」
番外編(楽曲のみ) Bikining Itim (黒いビキニ)
62ページで登場しているのは幼いジェイクの絶体絶命の危機!を救ったフィリピンの古いコミックソングです。
こんな曲!
2. Ivy Violan
第3章ではジェイクがコンテストガールとして歌の世界に飛び込みます。
67ページで紹介されている初めてのコンテストで歌ったのはこの曲!
80年代〜90年代にかけて活躍した女性シンガー アイヴィー・ヴィオラン(Ivy Violan)のカバーヒットです。
3. Regine Velasquez
ジェイクはコンテストで勝ち続け、賞金を得るために次々と難易度の高い曲を歌うよう強いられます。
中でも当時の彼が最も苦労したのは67ページで出てくる
フィリピンを代表する歌姫レジーン・ヴェラスケス(Regine Velasquez)が歌うこの曲!
4. Lani Misalucha
フィリピンには世界的な実力を持つシンガーが何人もいますが、73頁で登場するラニ・ミサルーチャもその一人。彼女は2000年代にラスベガスの5スターホテルの専属シンガーとして渡米、10年にわたって活躍した彼女の功績でラスベガスでは12月4日は「Lani Misalucha Day」とされています。
帰国後のフィリピンでの無料ライブの模様を・・・
5. Sam Concepcion
シャリース時代、デビューのきっかけとなったのはテレビ局主催の大規模コンテストですが実はこの時ジェイクは1位になっていません。
名前は言及されていませんが76ページでシャリースを下し1位になったのはこの人!
今も実力派R&Bシンガーとして活躍しています。
珍しい東北ロケのミュージックビデオを
6. Jake Zyrus本人
第6章はジェイクの音楽感が語られている興味深いチャプター。
そこでジェイクが2016年、シャリース名義でリリースした最後のアルバム「カタルシス(Catharsis)」について詳細に語っています。メディアでのコメントとは裏腹にこの頃すでにトランスマンとして生きることを決意していた彼。その思いが込められたアルバムです。
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7. Dessa
ジェイクはまだ7歳にも関わらずコンテストで勝って賞金を持ち帰るため、フィリピンのトップシンガーのように歌うことを強いられていました。
引き合いに出されたシンガーは前出のレジーン・ヴェラスケスやラニ・ミサルーチャなどフィリピンを代表する実力者ばかり。
153ページに出てくるデッサ(Dessa)もその一人。
今はローカルステージを拠点としているデッサですが、フィリピンではこんな実力者が一般市民が気軽に観に行けるところにたくさんいます。
ライブパフォーマンスをどうぞ・・・
8. Inigo Pascual
性別適合手術を受けトランスマンとしてシーンに戻ってきたジェイク、フィリピンのショービズ界でも新たな交友関係が広がりました。
そんな新しい人間関係の一人として187ページで登場するのは人気俳優Piolo Pascualの息子でシンガーのイニーゴ・パスクアル。父親譲りのイケメンで歌もナイス!
ライブパフォーマンスをどうぞ・・・
9. Kyla
187ページにはフィリピンのR&Bクイーン、カイラも登場。
最新アルバム「THE QUEEN OF R&B」からシンガポールのラッパーREQとコラボしたダンサブルなナンバーをMVで!
10. Jessica Sanchez
187ページにはアメリカ在住のフィリピーノ・メキシカンでオーディション番組「アメリカンアイドル シーズン11」で2位となったジェシカ・サンチェズも登場!
本文で紹介されているジェイクのファーストメジャーコンサートにはるばるサンディエゴから駆けつけてデュエットする模様を・・・
11. Jed Madela
189ページでは人気シンガー ジェッド・マデラが登場。
彼はフィリピン屈指のバラードシンガーとして知られていますが、彼は今日本で活躍している人気シンガー ビバリーの先輩でもあります。
(ビバリーが米国で賞をとったWCOPA - World Championship of Performing Artsでフィリピン人で初めて最高賞を獲得したのが彼)
MVはちょっと音質悪いですが本人登場なので・・・
オリジナルはレイ・パーカーJrで1987年リリース、当時それほど大きなヒットにはなりませんでしたが、彼のカバー(2005年)でこの曲はフィリピン人に広く認知され、今ではフィリピンで最も愛されている洋楽ヒットの一つになっています!
12. Matteo Guidicelli
189ページに登場するマテオ・グィディッチェリ(Matteo Guidicelli)はフィリピンのポップスタープリンセス、サラ・ヘロニモ(Sarah Geronimo)と今年結婚した超イケメン!(翻訳は2019年作成のため本文の注では婚約となっています)
デビューアルバムから軽快なポップナンバー(MV)を。
カーレーサーでもあるマテオらしいビデオです。
13. Kay Cal
189ページに登場するケイ・キャル(カール)Kay Calはミンダナオ島はダバオ出身の学生バンドEzra Bandのリーダーからソロシンガーに転向した超美声。
90年代のフィリピンポップスの名曲をライブで披露しています!
14. Migz Haleco
189ページに登場するアーティスト、最後は2016年にデビューした新人シンガー・ソング・ライターのミグス・ハレコ(Migz Haleco)
コンテストで入選した自身作詞作曲のオリジナル曲をライブで披露しています。
15. Yeng Constantino
190ページには新旧のフィリピンを代表するアーティストが二人登場。
まずは日本でも人気の高いポップロックシンガーのイェン・コンスタンティーノ(Yeng Constantino)。ジェイクに悩みを打ち明けるイェンのことが書かれています。
ピックアップしたのはフィリピンポップス史上に残る爆発的大ヒットとなったHawak Kamay。ライブで!
16. Lea Salonga
190ページに登場するもう一人のフィリピン人シンガーは世界的名声を誇るレア・サロンガ(Lea Salonga)。
ピックアップする動画はもちろんディスニー映画アラジンのテーマソング「A Whole New World」!
この曲はレアがオリジナル!(よく知られているレジーナ・ベルとピーボ・ブライソンのデュエットナンバーは米国での映画宣伝用に作られたもので映画では使われていません。実際に映画の中で流れるのはレアのバージョン)
公開から23年後の2015年、当時の声優が一堂に会した米国ABCテレビの番組でのライプ。ピアノは作曲者のアラン・メンケン!
映画公開時と変わらぬ超美声とオリジナルシンガーの貫禄!
17. Erik Santos
191ページに登場するのはジェイクの子供時代からのアイドルでフィリピンを代表するバラードシンガーのエリック・サントス(Erik Santos)。
本の中で書かれているジェイク初のメジャーコンサートでのサプライズはこのシーン!
18. KZ Tandingan
数多くのフィリピン人アーティストが登場するジェイクの自伝「歌姫の仮面を脱いだ僕」、最後に登場するのはジェイクと同い年の人気シンガー ケイジー・タンディンガン。
とびっきり個性的でありながらしっかりとした実力を備えたシンガーで海外でも大人気。
本文中で描かれているジェイクのコンサートにゲスト出演した模様を
以上18人のフィリピン人アーティストがジェイクの半生記に彼と関わったアーティストとして描かれています。
新たに触れるフィリピンの音楽としてお楽しみいただいたり、本を片手にイメージを膨らませていただいたりと、それぞれに活用していただけたらと思っています。
予告:
華やかなアメリカでの成功とその暮らしぶりもたっぷり描かれていますが、やはりフィリピンが舞台となっているお話が分量的にメインとなっている「歌姫の仮面を脱いだ僕」。日頃お目にかかることのないフィリピンの料理や独特の習慣などもたくさん盛り込まれています。また、物語の背景として自然な形で描かれつつそれがフィリピンの貧困や現実を映し出している非常に興味深い表現も。
近い将来、アーティスト紹介につづき本に描かれている、本から伺うことができるフィリピン文化についての解説もできるだけ画像を使用して紹介していこうと思っています。