紙一重が生む明暗 GKの喜怒哀楽①~2018年ルヴァン杯決勝、湘南対横浜FM~

紙一重だった。

湘南の杉岡大暉のドリブルに、少しずつポジションを下げながら、左と右のコースを切る形で立ち塞がるCBの間、ゴールの中央で構える横浜FMの飯倉大樹。CBの寄せが甘く、ミドルシュートのモーションに入った杉岡に、慌てて左からチアゴ・マルチンスが飛び込む。

しかし僅かに及ばず、鋭い弾道が放たれる。

不運にも、飯倉が後退を止め、両足が地面に揃い、やや右側に重心が寄った瞬間だった。

重心の逆とベタ足の二重苦

GKは、いや人間は、重心の逆に動くまでに一定の時間を要する。加えて、GKは〝ベタ足〟の状態からでは強く踏み切れない。強引に跳躍しても、ボールに十分な力を与えられない。

結果、ボールには触れたものの、威力に屈してゴールの外には弾き出せなかった。

致命的なミスではない。チアゴ・マルチンスが左から寄せたため、杉岡は彼の身体に当たらないよう、右を狙っても不思議ではなかった(左、右は飯倉から見た方向)。DFが切ったコースを〝捨てる〟判断は、GKにとって定石とも言える。

しかし、僅かな〝ボタンの掛け違い〟が、失点に繋がった。

※以下の動画、57秒~1分20秒までを検証

<採点>
飯倉大樹:5.5
ビッグセーブ:0
ミスセーブ:0
まるで「スイーパー」のように振る舞い、高い最終ラインをケアした。ペナルティエリアを飛び出す際の判断は的確で、キックの精度も上々。唯一、失点時は「シュートの待ち方」に他の選択肢があったかもしれない。

秋元陽太:6.0
ビッグセーブ:0
ミスセーブ:1
1度、手首の使い方が悪くハイボールを落としかけたが、全般的には無難にプレー。味方の奮闘で、難しい場面もなかった。ほぼゴールエリア内、ゴールライン上で過ごす、典型的な「シュートストッパー」だが、湘南には合う。

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