“3番手”からの挑戦状 GKの喜怒哀楽⑧〜日本代表対ベネズエラ代表〜
懐疑論を払拭した。ベネズエラ戦で抜擢されたGKシュミット・ダニエルは、PKで1点を失ったものの、長身を生かして制空権を確保するとともに、精確な配球で攻撃の始点として機能。初出場に加え、大舞台での経験が乏しく、不安視する声も少なくなかったが、堂々たるパフォーマンスで守護神の座を争う東口順昭や権田修一に挑戦状を叩き付けた。
“3番手”からの下剋上だ。197cm、89kgと世界水準の体躯を有する26歳は、初陣とは思えない落ち着きぶりで流れに乗り、足元の技術で大観衆を魅せる。
ベネズエラの前線からのプレスにさらされるDFを助けるため、きめ細かくポジショニングを変えてパスのルートを用意。ボールを託されれば、最も良い位置にいる味方へ繋ぎ、攻撃を加速させる。とりわけ前半は、グラウンダーでも浮き球でも完璧にパスを通し続けた。
近年は最前線から連動したプレスを敢行するチームが増え、ビルドアップの安定化にはGKの貢献が不可欠だ。GKと2人のCBの計3人、あるいはGKと2人のCB、中盤から降りてくるMFの計4人で数的優位を維持し、パスの交換で相手のプレスを掻い潜り、前進していく。
その過程で、人数や位置などの関係で相手が追い切れず、フリーになりやすいSBにパスを直接届けられるGKは、攻撃の質を大きく高める。
しかし、それほどのテクニックを備えるGKは欧州でも貴重だ。シュミット・ダニエルが何度となくフリーで待つSBへのパスを成功させ、縦に速い攻撃を促したのは驚きだった。ベネズエラは後手を踏み、日本に自陣の深い位置までの侵入を許した。
ベネズエラの攻撃は散発的で、シュミット・ダニエルが守備で存在感を発揮する機会は少なかった。冨安のクリアに救われた場面は、足を止めてコースを切るのが早く、相手に簡単に逆を突かれたが、総じて堅実。クロスやルーズボールに対する反応や出足も速かった。
PKで失点し、初キャップを完封で飾れなかったが、東口や権田とは異なる持ち味でアピールしたシュミット・ダニエル。GKの競争は、さらに熾烈化していく。
<採点>
シュミット・ダニエル:6.0
ビッグセーブ:0
ミスセーブ:0
ファーストプレーから冷静だった。ベガルタ仙台では、フィジカルに頼った雑なセービングや判断のミスによるポカも散見されるが、日本代表という大舞台で集中力を堅持。再びチャンスを与えられるべきだろう。
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