対照的なスタイルの激突
対照的なスタイルが激突する。ルヴァン杯決勝に臨む湘南ベルマーレと横浜FM、そして秋元陽太と飯倉大樹だ。前者は182cm、後者は181cmと高身長化が加速するGKでは小柄だが、共に自らの特長を磨き上げ、求められる役割を全うし、チームを頂点に手が届く位置まで導いてきた。
秋元の武器は、シュートを止める技術だ。ドッシリと構えてボールホルダーのモーションや意図を見極め、味方が切るコースも踏まえて“正しいポジション”を取り、どの距離からのシュートにも的確に対処する。
182cm、84cmの数字は鈍重に映るが、身のこなしはスムーズで、ハンドリングも柔らかく、強烈なシュートを不用意に弾かない。キャッチングとパンチングの使い分けも熟達の域にある。
しかし、守備範囲は限定的だ。最終ラインの背後をカバーする機動力に欠け、サイズがないためハイボールには慎重な姿勢を示す。
一方、飯倉は俊敏性に長け、ペナルティエリア内外を広く支配する。際どい位置へのシュートを軽やかに掻き出し、1対1では鋭く距離を詰めてコースを消失させ、DFの背後を狙うボールにも素早く反応してピンチの芽を摘む。
サイズをフットワークで補うタイプに多い、動き過ぎて裏をかかれたり、ポジショニングが乱れたりして失点するのは玉に瑕だが、年齢を重ねるごとに是正されてきた。
“静”の秋元と“動”の飯倉。対照的なスタイルのGKだが、チームのスタイルとの親和性や補完性は高い。3バックに機動力があり、GKがシュートストップに専念しやすい湘南には秋元が、GKも組み込んだビルドアップを志向し、全体を高い位置に構える横浜FMには飯倉が、それぞれ欠かせない。
チームと“相思相愛”の秋元と飯倉。勝利の女神、いや勝利の守護神を担うのは、どちらだろうか。