時間に使われるのではなく、時間を上手に使いこなす(時間管理)ための方法
「時間の管理」というものは、日常生活を送るうえで切っても切れないということが言えると思います。時間の管理を別の言い方で表現すれば、時間と上手に付き合うとか時間を上手に使いこなすということになるのでしょうが、これはなかなか難しいものです。生まれてから現在に至るまで、「時間管理」に悩まされて生きてきた方も多いのではないでしょうか。皆さんは、課題について締め切りに遅れてしまうことや、ぎりぎりになって徹夜したりして大変な思いをしたことがないでしょうか。また、やるべきことがたくさんあってパニックになったことはないでしょうか。目先の利益を優先して、投げ出したり、何かしら理由をつけて考えないようにしたり、先延ばしにしたりしてはいないでしょうか。「時間管理が苦手なのは性格のせい」と考えて、改善することを諦めてしまっている人が多いのではないでしょうか?果たして、そういった人が時間をうまく使いこなすことができるようになるのでしょうか。私は、この時間管理スキル、いわゆるタイムマネジメント能力は学生生活だけではなく、今後社会を生きていく上で有用なスキルであると考えており、私の研究テーマの一つでもあります。ここでは、学校生活、受験、大学生活、社会人、家庭、老後に至るまで、時間とどのように付き合ったらよいかという方法について、皆さんに役立つ可能性のあるアイディアを提案したいと思います。
学生であっても社会人であっても、時間管理には、スマホ、パソコン、ノート、スケジュール帳などの予定を管理するツールやアプリを活用することが大変有効であることが知られています。どのような形態のツールであっても、構いませんが、ばらばらに色々なところに書いてしまうとわかりにくいので、常に持ち歩けるようなものに1本化することが重要です。最近では便利なスマホのアプリも開発されているようですので、各自で調べてみるのも良いでしょう。できるだけ自分の気に入ったデザインや使いやすいツールを使うようにしてください。ここでは、これらのツールをまとめてスケジュール帳と呼ぶことにします。スケジュール帳の活用で大切なことは、まず、スケジュール帳に書き込む負担を減らすことです、これが手間では書くことが面倒になってしまいます。記号やマーク、キーワード略語を使うようにすると良いでしょう。ただし、後から思い出せるような記号、記述にしないと、「書いてあるけどこれって何のことだったかな」と思い出すのも一苦労ですし、下手したら思い出せないなんてことにもなりがちですので、注意しましょう。また、「今は書き込むのが忙しいので、後で記入しよう」と考えてしまうと、書き込む内容や書き込むこと自体を忘れてしまうことが多いので、予定が入った際にはその場で書き込むようにします。なお、スケジュール帳は、書いたら終わりではなく、必ず確認することが肝心ですので、起床後、昼食時、お茶やコーヒータイム、就寝前、移動中、待機時間などのうち各自がスケジュール帳時間を固定化して設定し、習慣にすると良いでしょう。そのためには、アラーム等を活用して、1日3回見るというように決めておくことも役立ちます。「おっくう」や「面倒」に感じる課題への対処法として、以下の方法があります。
①事前に簡単に計画を立て、スケジュール帳に書き込んでおく。その際、課題の全体像が見えないため、大きな課題だと思いこんで終わりの目途が立たず、最初の一歩が踏み出せないほど大きく見えてしまっている可能性があります。したがって、課題を、個数、時間、空間の側面から小さな課題(スモールステップ)に分解する。
②課題に取り組んだ後に楽しい活動を組み合わせ、自分へのご褒美を毎回セットして時間を設定する(ご褒美は基本的に後ろに置く)。
③作業が中断すると気が散るので、スマホの電源を切って目に入らない離れた場所に入れておいたり、自室に「取り込み中」などの札をかける、
④図書館やカフェなどの気がそれないための作業環境を作る。
⑤一緒に作業して進捗を宣言しあう仲間を作る。
これら5つのことを実行してみてください。番外編として、夜更かしをやめたい場合には、就寝時間として決めた時刻の30分前、15分前に自動的に照明を落としたり、音楽やアラームを鳴らすようにすることも有効です。また、学校からもらう書類やプリントがたまってしまう場合には、一時保管ボックスやファイルを用意し、その保管時期を作ったり、定期的に見直すことにするようにします。「いつかやろう」の「いつか」が訪れることはありません。もし、情報が必要な書類はスマホで撮影して、現物は捨てるくらいの覚悟が必要でしょう。そのように情報をできるだけ紙ではなく電子データにして、保存場所を1つにしてしまうことが重要です。
以上、スケジュール帳の活用、おっくうや面倒な気持ちに負けない方法などを紹介しました。具体的な方法を試して、自分に合ったものを見つけていくことが重要ですし、何より楽しみながら、他者も巻き込んで、まずやれるところからやってみるという1歩を踏み出してみることをオススメしたいと思います。時間に使われるのではなく、時間を上手に使いこなして、時間管理の達人を目指してください。
『学問への誘い』は神奈川大学に入学された新入生に向けて、大学と学問の魅力を伝えるために各学部の先生方に執筆して頂いています。