2000円払ってでも吸いたいタバコがここにはある(2016/02/18)
「ほい」
路上でタバコを吸っていた男。
路上喫煙を取り締まる男に、すっと2,000円を差し出した。
その男は金山駅南口をずっとうろうろしていた。
スキップをしてみたり、コンビニに入ってみたり、ストレッチをしてみたり。
僕はその男をずっと見ていた。
人を待っていたのだ。
「2,000円取られてもいいや」
声が聞こえるような距離にはいなかったが、そう言った気がした。
胸ポケットからセブンスターを取り出し、帰宅ラッシュで多くの人が行き交う駅前の広場の中心で堂々とタバコを吸う。
自由でカッコいいな、と思ってしまった。
僕は食事に誘った女の子にかれこれ50分ほど待たされている。連絡をしても返信がない。
一銭も使わず家に戻る。
体が芯まで冷えている。約束も破られた。
家の近くで2,000円分のお菓子とお酒を買おう。
そんなに食べれないし飲めないけど。