鳥取、皆生温泉の一般公衆浴場(銭湯)「おーゆ・ランド」がすごかった、という話
2023年8月現在、鳥取県内には7軒の一般公衆浴場(銭湯)がある。
東部(鳥取市)に4軒と西部(米子市)に3軒である。
筆者はこの7軒を今年に入ってから巡りはじめ、そのラスト、7軒目としてお湯をお借りしたのが本稿で取り上げる「おーゆ・ランド」だ。
普段ならば銭湯にはいった際のレポや感想などは、Twitter(というかX)にツリーをつくって書くのだが、「おーゆ・ランド」については情報量が多すぎたのでnoteにまとめることとした。(そして、約3000字に……)
銭湯としてのレビュー
「おーゆ・ランド」があるのは皆生温泉の温泉街。
鉄道の最寄駅としてはJR境線の富士見町駅が「強いて言えば……」というレベルの最寄りだが、米子駅前から皆生温泉バス停あるいは皆生温泉観光センターバス停まで路線バスに乗った方が楽だと思われる。(筆者は車で訪れた)
建屋は下写真のような具合。
右手にあるビルはホテル棟で、銭湯は写真中央から左手にかけての低層部分。とんがり屋根は浴場の屋根だ。
ホテル棟側にある入り口(上写真ではOUの垂れ幕の右手)を入ると、左手に銭湯の入り口、右手にホテルの食堂とフロントがある。(なお、正面には温泉卵を作るための設備がある)
銭湯の入り口を入ると下足場。
下足箱は下足場から見て左手にロッカールームのような空間がある形式。広さがある上にここが返却式のコインロッカーであるあたり、だいぶスーパー銭湯風である。(なお、下足箱の奥には大きな荷物用のロッカーもある)
受付はフロント式。フロントの手前に複数ある券売機で券を買い、それをフロントに出す形。このフロントの向かいは食堂となっている。
脱衣場はスーパー銭湯でよくみる形式。ロッカーはワンサイズでこちらも返却式のコインロッカー。一応脱衣カゴも用意されていた。
浴場はおー風呂とゆー風呂の二つ用意されており、基本的には月曜に男女を入れ替えているとのこと。施設の詳細は下記写真(下足場からすぐの所に出ていた案内図を撮影したもの)も参照。
今回筆者が入ったのはゆー風呂。
浴場に入って正面の湯船は温泉。お湯は熱すぎず長風呂向き。この湯船からは天井を支える4本の柱が伸びている。
浴場左手には、手前から寝風呂タイプのマッサージバス3組と座風呂タイプのマッサージバス3組。その奥に底から気泡が出るタイプのお風呂。
吐出圧はそこまで強くないのだが、お湯がすこしぬるめなのでこれもじっくり入れるのが嬉しい。
浴場右手奥にはかなりぬるめの人口炭酸泉。
また、浴場正面奥のガラス戸から外に出ると露天風呂もある。こちらも温泉。夕方とはいえ気温はかなり高かったはずだが、風が吹いていたため非常に心地よかった。外の空間には外気浴用の椅子も置かれている。
洗い場は浴場の右手壁から生えた仕切りの壁に設けられており20箇所。すべてシャワー付き。せっけんやシャンプー等の備え付けはなく、ここだけ銭湯らしさがあるのが面白い。
サウナは別料金で190円(2023年8月現在)。
サウナ料金を払うと少なくともプラスチック製の鍵は渡される。今回、筆者はホテル宿泊者向けの優待券で入ったため、正規の料金を払った際にレンタルタオルが付属するのか?などは不明だ。
サウナ室の入り口は脱衣場入り口から左手。二重扉になっており、サウナ室の暖気を外に逃がしづらいようになっている。
ヒーター式で室温90度弱。室内は広く、20人以上が入れそうな規模感。
入り口近くにサウナクロックとテレビがある。テレビの音声と同時に有線放送?のBGMも流れているのはあまり見ないパターン。
水風呂はサウナ室で入り口正面。(マッサージバスとの間)
中央で仕切られて、浅いエリアと深いエリアに分かれている。
水温はよく冷えているが、キンキンに冷えているという感じではない。そのおかげか、軽く離脱感が出てくるまでふんわりと入り続けられてしまった。
おーゆ・ランドでは湯船の温度、水風呂の水温、サウナ室の室温と、いろいろなものがおおむね「すぎない」温度になっていて、どれもじっくりと入れるようになっているという印象がとても強い。
ネイティブアメリカンのテントを巨大にしたような浴場の大屋根は、U風呂は四角錐形、O風呂は八角錐型。内側は柱が露出しており、湯船から見上げながら(アニメーター泣かせの作りだなぁ)と謎の感想を抱いてしまった。
設備が異様に充実した銭湯といえば大阪府豊中市にある「夢の公衆浴場 五色」を思い出すが、「おーゆ・ランド」もそれに負けず劣らずのものであった。
ホテル宿泊者優待
「おーゆ・ランド」は一般公衆浴場には珍しく、宿泊施設を併設している。(ホテル側の名前は「おーゆ・ホテル」)
今回、筆者はホテル宿泊者として銭湯を利用した。
ホテルにチェックインする際に銭湯を利用するかを聞かれ、利用したい旨答えると別料金(550円)でサウナ利用も可能な優待券を買うことができる。
(通常料金の場合は入浴料450円+サウナ190円で640円)
優待券は初回の受付の際のみフロントに提出すれば、2回目以降はルームキーをフロントに見せるだけで銭湯に入れるようになるのもありがたいところ(通常利用の場合は再入場不可)。
初回受付時にタオル(物販で買うと230円)とせっけん、シャンプーがもらえることもあり、優待幅はかなり大きいと感じた。
さらなる宿泊者向けの優待としては朝風呂サービスがある。
銭湯の営業時間は10時〜23時(最終受付22時30分)で、この時間以外はおー風呂、ゆー風呂に入ることはできない。
しかし、別に設けられているふぁみりー風呂(銭湯とは料金体系が大きく異なる)を7時〜9時の間、宿泊者は朝風呂として利用できるのだ。
ふぁみりー風呂にはいくつかのタイプがあるようだが、朝風呂では受付時に入るお風呂を指定するカードを受け取る形になるため選べない。
脱衣場にロッカーはなくカゴのみだが、風呂場ごとに設けられている扉に内側から鍵をかける仕組みとなっている。
湯船は十分に足を伸ばせる大きさで、お湯は源泉掛け流し(源泉は70度超なので加水あり)。
普段なかなか入ろうと思えない、温泉の家族風呂の設備を体験できる点も含めて非常に面白かった。
温泉供給会社が運営母体
単に銭湯としても面白い「おーゆ・ランド」だが、運営母体も一風変わっている。
こちらの施設を運営されているのは皆生温泉観光株式会社という会社。
皆生の海中で発見された温泉を活かすために1920年に作られた会社で、現在も皆生温泉の旅館などに源泉から汲み上げた温泉を供給している、温泉供給会社なのである。
一般公衆浴場のなかでも、温泉供給会社が直営するものというのはかなり珍しいように思う。(少なくとも筆者は類似の事例を知らない)
結びに代えて
鳥取県の浴場組合のホームページにあるので存在(名前)は知っていたものの、ちゃんと下調べをせずに入った「おーゆ・ランド」は鳥取の銭湯のラスボスのような銭湯だった。
今回は入れていない「おー風呂」側にも入りたいので、いいタイミングで再訪できれば良いのだがと思いつつ本稿を締めたいと思う。
参考リンク
1)おーゆ・ランド公式サイト
2)鳥取県公衆浴場業生活衛生同業組合
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