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少額減価償却資産の特例

前回、青色申告の特例について書きましたが、その中のひとつに少額減価償却資産の特例というものがあります。

一定の要件を満たす青色申告事業者が、減価償却資産の取得をして、事業の用に供した場合、その取得価格の全額を事業のように供した年の経費とすることができるというものです。

ただし上限金額の縛りがあり、年間300万円が限度となります。この場合の300万円は、消費税の税込経理をしている事業者は税込み300万円、消費税の税抜経理をしている事業者は税抜き300万円が限度となります。

その他、一括償却資産の摘要を受けている減価償却資産は対象になりません。

消耗品や備品などで金額が10万円以上ものは資産計上しなければなりません。

例えば10万円のパソコンを購入して事業の用に供した場合、その年の経費として全額を損金参入することできません。

税法で決められたパソコンの耐用年数4年で毎期減価償却をしてその減価償却金額の範囲内で損金に参入することができます。

ここで損金という言葉を使っていますが、これは税法用語で、会計上の費用と区別するために使っています。

また、減価償却金額の範囲内で損金参入することができますと書きましだか、これも税法の考え方で、減価償却費は減価償却限度額というものがあり、それ以上は損金参入できませんよという上限金額があります。

つまり減価償却費を計上するかどうかは任意なのです。

たまに赤字企業が経常利益をプラスにするために減価償却費を少なく計上するようなことをしますが、あまりおすすめはできません。

銀行も減価償却費は特に注視していると思いますので、銀行借入をしているような企業はやめておいた方がいいですよね。

法人の場合、欠損金が出れば10年間は繰越控除できますし、キャッシュフロー的にもしない方が良いと思います。

話がそれましたが、少額減価償却資産の特例は、この消耗品や備品をその年の費用として税法上も損金参入できる制度です。

一資産の金額は30万円未満となっており、年間300万円に達するまではこの制度が利用できます。

一つ注意がありまして、少額減価償却資産は一時に費用計上できますが、償却資産税の対象資産にはなります。

償却資産税とは、1月1日時点で企業が所有している一定の資産に対して課される固定資産税と同様のものです。

建物や土地の固定資産税は国が計算して税額を確定し、納付書が送られてきます。自動車も個別に自動車税があります。

一方、償却資産税は毎年企業が固定資産の増減を市区町村に申告してそれを元に市区町村が計算した税額をもとに納税します。

少額減価償却資産はこの償却資産税の計算に入ってきます。

少額減価償却は会計上、消耗品費にされていることが多いため償却資産税の計算から漏れやすいです。

顧問税理士さんに毎月チェックしてもらっているような企業であれば漏れることも少ないでしょう。

少額減価償却資産と似たものに一括償却資産というものがあります。こちらは償却資産税の対象にはなりません。こちらについてはまたの機会に書きたいと思います。それではまたです。


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