損益計算書の分析①
損益計算書を使った分析方法についてはいろいろあります。何が正解かは重要ではなくて、そのときどきの状況によって分析する内容も変わってくると思います。
私がよく使う分析方法についていくつか紹介します。
▪️3期比較
損益計算書を3年分横並びにして、各勘定科目ごとの推移や利益率や構成比率などの動きを見ます。
なぜ3期かというと、直近3年間の成績に突発性のものがないか、毎年と同じような動きなのかを確認するためです。
①売上比較
まず、3年間の売上推移を確認します。右肩あがりなのか、横ばいなのか、右肩下がりなのか、V字回復なのかなどを確認します。
右肩上がりといっても安心はできません。飲食店やサービス業など店舗を増やせば売上は上がりますが、その分固定費も増えますので利益率は下がっている可能性がありますし、資金繰りも悪くなっている可能性もあります。
ここではそういった要因もあるということを頭の片隅においておくことが重要かと思います。その後の固定費の比較や、別で行う貸借対照表やキャッシュフロー計算書の分析のときにさらに詳しく見ていくためです。
売上の話しに戻しますが、売上の一般的な算式は
売上=単価✕販売数量✕購入頻度
で表されます。
売上は単価、数量、頻度の組み合わせにより変化しますので、その要因をみて、どこに注力すべきかを考えます。
ここで注意が必要なのですが、単価、数量、頻度を改善する際、売上に大きく影響するものにリソースを注力すべきということです。
当たり前の話ですが、ここを見誤ると大きな機会損失に繋がります。
②原価率比較
次に比較するのは原価率です。原価率が上がっていれば、売上総利益率つまり付加価値が減少します。その要因が外部要因か、内部要因なのかも確認する必要があります。
外部要因は、原材料の値上がりや商品の売上の売値が下がっているなどです。
コロナによる売上減も外的要因ですね。ただこの場合売上は下がりますが原価率に影響は無いかも知れません。
原価率は業種によって目安がありますので、その目安と比較して自社がどうなのかという比較をしても良いかもしれません。
製造業の場合はさまざまな要因が複雑に影響し合っているので原価管理が重要な仕事になります。
原価計算方法によっても数字が変わってきます。
在庫管理も原価管理にとって非常に重要な項目で、毎月の適正な棚卸しが必要です。
生産管理システムの導入などDX化によって精度は上がるでしょうが、コストはかかるので簡単に導入とはいかないでしょうね。
▪️今回のまとめ
このように、損益計算書ではまず、売上と売上原価の分析が重要になると考えます。
損益計算書の数字だけを見ていても見えないことの方が多いですね。
まずは数字を見て、仮説をたてて、その検証をする。これの繰り返しで変化の要因が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
今回は売上と売上原価の分析について書きましたが、損益計算書の分析で固定費の分析やこれに伴う損益分岐点分析も重要な項目の一つです。次回この辺りのことを書いていこうかと思います。
それではまたです。