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固定資産の事業共用日はいつ?

製造業など設備投資の金額が大きな企業は、固定資産をいつ計上するかによって会社の利益に大きく影響することがあります。

固定資産は通常、事業供用日が計上日になりますが、設備など事業供用するまで比較的時間がかかる資産は注意が必要です。

研究や製造の現場ではIQOQという言葉があります。これにPQを加えて適格性確認と言われています。

IQ(据付時適格性確認)
機器、測定機、製造設備などの設備が、正しく据え付けられ、仕様書どおりに作動することを確認し、記録すること

OQ(運転時適格性確認)
機器、測定機、製造設備などの設備が、仕様書どおりに期待されている能力を発揮するかどうかを確認し、記録すること

PQ(性能適格性評価)
設備及びそれに付随する補助装置及びシステムが、承認された製造方法及び企画に基づき、効果的かつ再現性良く機能できることを確認し文書化すること

それぞれの説明はこの通りですが、IQ、OQは据付が完了し設備が仕様書の性能通り問題なく動かせる状態のことでPQは実際動かしてみて問題なく動くことが確認できた状態であり文書化もした状態ということです。

では、会計上計上するのはどの状態のときでしょうか。

会計上はPQが確認されて初めて計上します。PQが終了することで設備を事業として使うことが可能になるからです。

製造業などは毎年大きな設備投資をします。会計上、固定資産になります。

経理の方ならご承知の通り、固定資産は購入し事業共用したときに全額経費にはなりません。

固定資産ごとにそれぞれ決められた耐用年数というものがあり、税法上は決められた耐用年数、定率法などの償却方法によって減価償却しなければなりません。

ここで会計上と書かずに税法上と書いたのは、減価償却は会計上と税法上は違っても構わないからです。

ですので会計上は税法上の減価償却費よりも大きく計上しても問題ありません。税務申告する際に差の部分を調整して申告すれば良いのです。

少し話がそれましたが、とは言え中小企業は会計上の減価償却費と税法上の減価償却費はイコールになることがほとんどなんですけどね。

減価償却には普通償却と特別償却があります。特別償却は一定の要件を満たした固定資産に認められたもので、基準取得価額の30%相当額を普通償却限度額に加算することができるものです。

設備の導入期は減価償却も月割計上のため少額になることが多いです。特別償却をうまく使えば、導入期に多くの減価償却費を計上できるので資金繰りにもプラスに働きます。

このように特別償却は導入期は節税になりますが、正確には課税の繰延ですので、2期目以降の減価償却費が少なくなります。そこは注意が必要ですね。

今回は固定資産にスポットを当てて、設備の計上時期や減価償却の特別償却について書かせていただきました。それではまたです。

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