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特別償却

毎年設備投資をする製造業にとって、経費の大部分を占める減価償却費の取り扱いは重要です。

減価償却費によって、利益が大きく変わる可能性があるからです。

原則として固定資産を取得した場合は、税法で定められた法定耐用年数によって毎年減価償却費を損金計上し、税務上の損金とします。

固定資産によっては、法定耐用年数に応じた減価償却費に加えて、一定額上乗せをすることができます。これを特別償却といいます。

特別償却ができる主な制度として以下のようなものがあります。

1、中小企業経営強化税制
1)限度額
  100%即時償却が可能です。
2)要件
  資本金1億円以下の中小企業者等
  青色申告法人
3)対象資産
  機械装置、工具器具備品、建物附属設備、ソフトウェア

2、中小企業投資促進税制
1)限度額
  30%
2)要件
  資本金1億円以下の中小企業者等
  青色申告法人
3)対象資産
  機械装置、測定検査工具、ソフトウェア

3、DX投資促進税制
1)限度額
  最大30%
2)要件
  産業競争力強化法の認定事業適応事業者
  青色申告法人
3)対象資産
  機械装置、工具器具備品、ソフトウェア、繰延資産

これらの固定資産を取得した場合は特別償却が可能ですので、取得した年に特別償却により、損金を上乗せすることで節税に繋がります。
厳密には課税の繰り延べです。減価償却を早めにすることで、将来の減価償却費は減少するため、節税とは逆の効果になります。

とはいえ、特別償却はするべきだと思います。固定資産を取得した年は、当然キャッシュが出ていっているため、経費を多く計上して利益を圧縮し、納税額を抑えることで資金繰りは楽になります。

結局は課税の繰り延べなのだから、長期で考えれば同じではないかという方もいますが、資金繰りを考えると特別償却はすべきだと思います。

特別償却の代表的な会計処理は2つありますが、ここでは最もオーソドックスな特別償却額を減価償却費に含めて処理する方法について紹介します。

簡単です。
①通常の減価償却費を計上(取得価額✕償却率)
②特別償却費を計上(取得価額✕特別償却率)
以上です。

この方法以外に、特別償却を特別償却準備金として計上する処理もありますが、少しややこしいですので他の専門的なサイトや書籍で確認していただければと思います。

特別償却とセットで検討されるものに税額控除があります。税額控除は課税の繰り延べではなく本当の節税になりますが、税額控除割合は特別償却よりも当然低くなります。

税額控除の説明は別の機会にさせていただきます。

今回特別償却について書きましたが、特別償却できるのにしていないという会社もあるのではないでしょうか。税理士事務所に処理をお願いしていても忘れることがあると聞きます。

固定資産を購入する際に特別償却の対象になる資産かどうかを確かめて処理しておくことが必要かも知れませんね。

課税の繰り延べとはいえ、資金繰りが楽になるのであれば、するに越したことは無いと思いますので、対象になる会社は検討してみてはいかがでしょうか。それではまたです。

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