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【改訂(?)】ぶっちゃけ同人っていくら儲かるの?
くわい屋です。
時間が無いので走り書きですみません。
前回の「ぶっちゃけ同人っていくら儲かるの?」の続き、でもないですが、今回は2024年のイラストレーター別送金額を計算しましたので、そうれがどうだったのか、を書いていこうと思います。
年間送金額の多い人の特徴
1.定期的に新作のある人
当然ですが、新作が年に数枚しかない人と、毎月ある程度の新作が供給される人では、後者の方が売り上げは多いです。
そして、非常に良くいるパターンが「試しにいくつか売ってみて、ダメだったらもういいや」。
これの何がダメなのかというと、その「試し」で出てくるイラストの殆どが「この絵の売り上げは厳しいだろうなぁ」と私が感じるイラストです。だいたいがその通りの結果になります。
正直、これは購入者を舐めてるとしか思えないです。
それに引き換え、定期的に新作のある人は商品の数も増え、コミケ時期には薄い本も作れるようになります。
最初こそ品数も少なくて売り上げもそれなりだけど、次第にファンがついてくるので売れる本の数も増えていきます。
2.本とグッズの両方を売る人
これは1と少し内容が被ります。
作者の中には本だけしかやらないとか、タペストリーだけしかやらない、という人が何人かいます。
しかし、売り上げが増えやすいのは両方やる人です。
タペストリーを売ったことのある人なら分かると思いますが、タペストリーってそんなに沢山売れるようなものではありません。本と比べて高価なので。
大手サークルでもイラスト1枚につき10本程度は普通です。コミケと通販を合わせて20本か30本も売れれば大ヒットでしょう。
とはいえ、同人とか関係なく、物を売る「商売」としてみた時に、単価の高いものと安いものが両方ともある程度は売れないと、収入としてはかなり厳しいものになります。
単価の高いタペストリーと単価の安い本、どちらも一長一短だからです。
本は1冊500円くらいなので、とにかく数を売りやすいです。
しかし、本は最初に適量を製造するというのが非常に難しく、多すぎれば破棄せざるをえなくなり、少なすぎれば機会損失となります。しかも、1冊の本を作るのにイラスト10枚は必要です。
タペストリーは高価で売れる数も少ないですが、受注生産という手があります。
そのため在庫を持つ必要が無く、本のような損失は発生しません(受注生産の予約がキャンセルになる事はあります)。
タペストリーにした絵をそのまま本にする、というのが最も効率が良いですし、うちはそうしてますが、まぁ皆そうなのではないでしょうか。
3.売れるまで挑戦できるか
上の話と地続きの内容になりますが、「自分で色々と試してみて売れるような絵を描けるまで、または絵が売れるまで頑張れるか」という事です。
新規絵の追加が無いのに「なんで売れないの」とか聞いてくるイラストレーター本当にいます。
売れなかったから新作も無いって、それでどうやって売り上げを増やすのか私の方が聞きたいです。
「こっちの方が売れるわ」と気付いて作風を変えた結果、SNSのフォロワーも売り上げもちゃんと増えている人もいます。
どんな絵が売れるかは明白です。
・全年齢向けより成人向け
・暗い絵より明るい絵(×逆光)
・細かな描きこみより全体の印象
・できれば全身に背景付き(タペストリー、アクスタ、本と多用途)
・タペストリー絵なら全身ではなく身体の一部を強調
・特定の性的嗜好に特化する(巨乳とか)
これも他で書きましたが「無難な立ち絵」が一番売れません。
これは商売の話になりますが、誰もが見惚れる美しい人形と普通の人形、そして不細工な人形を売った時、最も売れないのは普通の人形、という有名な話があります(出典不明、有名というのも私の思い込みかも)。
要するに客の目を引くことと、たとえどんな理由だったとしても「欲しい」と思わせる事ができるか、というのが問題です。
同人は(商業は分かりません)、自分の性癖発表会であり変態博覧会です。
自分がどんなヘンタイなのか絵で表現して下さい。
4.オリジナルキャラクターがいる
年間送金額が上の方にいる人は、オリキャラをデザインして販売している場合が多いようですね。
二次創作だけでも十分な売上を出している人は勿論いますし、オリキャラなら必ず売れる、という保証があるわけでもないのですが、個人的にはオリキャラはやった方が良い、と思っています。
まず原作人気に左右されないのがもっとも大きな利点です。
人気キャラはいつまでも人気キャラではなく、人気があるという評判が広まると、多くのイラストレーターがこぞって同じキャラを描いて売ります。売り上げは分散します。イラストレーターひとり当たりの売り上げは減ります。
オリキャラにはこの心配がありません。また、売れる期間が長いです。
最近はアニメもゲームも漫画も流行り廃りのサイクルが短くなっています。
ワンピやコナン、ポケモンのように「定番」まで到達できれば話は別でしょうが、多くはそうではありません。
二次創作の「売れる」期間は短いと半年とかです。次のコミケではもう別のジャンルに人々の関心が移ります。
人間は飽きるものなので同じオリキャラがいつまでも長く売れ続けるわけではありませんが、ライバルがいない事、流行に左右されずに売れることは大きな強みだと思います。
また、権利元からストップがかかる、という心配もありません。
5.同人は本業ではない
「ぶっちゃけ同人っていくら儲かるの?」から話が変わってきてる気がしますが、私にとってはそうでもなく、つまり「同人で生活できるくらいの収入を得ることは難しい」という話しです。正直、生活できるくらい送金してる人はいません。
普段は頑張ってイラストの依頼を取ってきて、その余った時間で同人絵を描いて、自分のできる範囲で商品を作って売る、という程度にしておけば、同人を続けやすいのではないでしょうか。
同人はあくまで付属品で、本業の商業依頼は別。同人一本で食べていくことを目標にしない方が続くと思います(私の知り合いのイラストレーターがこんなかんじなのですが)。
なぜなら同人はやった分だけしか収入にならず、かといってそんなに売り上げが期待できる市場なのかというと、そもそも少子化と日本人の可処分所得の低下によりそれも難しいのが現状だからです。
そして、商品を自分で手配するのは大変です。やったことがある人は分かると思いますが。まず、どこで製造するのか、どんな紙を使い、どんな生地に印刷するのか。製造単価は?損益分岐点は?イベントはいつ?締め切りは?
これは普通の小売業と何ら変わりません。
こんな大変な思いをするなら大人しくイラスト1枚いくらで依頼主に売った方が確実に効率がいいです。
こんな大変な思いをしても、それでも同人の方が実入りが良いというのはもう壁サークルでしょう。
画力的に企業依頼は受けられない、という人は同人でも無理です。
なぜなら同人というものは画力カンストの大手サークルから売り上げを奪って来るものだからです。
商業で引っ張りダコの人気者と同じ会場で絵を売るのがコミケです。
大手サークルに勝てないなら違う所で勝負するしかありません。
それこそ他が新作を出さないような閑散期に新刊を出すとか。
今はFANBOXやSkeb、お絵かき配信など、イラストレーターが収入を得られる手段が非常に増えました。
タペストリーや本の売上に固執せず、これらも他の数ある選択肢のうちの一つと割り切りましょう。
自営ファンサイトからどのくらいの収入が期待できるのかは、私はイラストレーターではないのでわかりません。
番外.SNSのフォロワー数は関係ない
これは他の記事にも時々登場する内容ですが、イラストレーターを年間送金額の多い順に並べた時に、SNSのフォロワー数はだいたい関係ありません。
もちろん、企業案件が欲しい、などの場合にはSNSのフォロワー数がものをいいます。SNSはやった方がいいです。しかし、売上とはあまり相関が無い事は知っておいていいと思います。
ただ、同人である程度の売り上げを期待するならフォロワー10万はほしいところですかね。
SNSの宣伝は売り上げにそんなに影響しないと感じています。まぁ企業じゃないので。よほど10万イイネとかじゃないと、関係ないかな、と感じています。くわい屋がSNSをやっているのは活動している事をアピールするためで商品の売り上げ増が目的では必ずしもありません。だから運用はいい加減です。
SNSにビックリするほど固執するイラストレーターはよく見ます。
インプレッションの数、イイネの数、シャドウバン、あれやこれや。
SNSを自分の中心に置いてしまうのは何故なのか私には理解できません。
フォロワーが少なくても商業依頼でスケジュールが埋まっている人はいます。
企業だって必ずしもSNSのフォロワー数だけを見て依頼するわけではないでしょう。
だから企業の目に留まるためにもインプレッションやシャドウバンが気になるのは分かるのですが、Twitterのアルゴリズムをイジれるのはイーロン・マスクだけあって、私達はイーロン・マスクではないのでどうすることもできません。
そもそもSNSのような公共の場に成人向けの絵をアップするなんて、と私は思ってます。渋谷のスクランブル交差点で全裸になるのと同じ行為だと思うのですが。
他の手を考えるのと同時に新しい絵を描いた方が精神衛生にも良いと思います。