駅前にあった合法ハーブ屋の話

既に知っている方もいると思うのですが、私は大阪生まれ大阪育ちです。さらに言うとそんなに治安がよくないところで育ちました。小学生時代には虐められたこともありますし、中学時代には学校のトイレでタバコを吸うヤツがいたり、後輩がバイクで大きい通りを逆走したり、隣の中学に殴り込みをかけるヤツもいましたね。学校近くに刃物を持った男が現れるのはそこまで珍しいことではなかったし、私が物心ついてから殺人も2件起こっていますね。懐かしい。その頃の人たちとは既にほとんど縁は切れていますが、やはり記憶はなくならないものです。

さて、そんな私の地元ですが、今はもう廃れてしまいましたが、合法ハーブの店がありました。合法ハーブはもちろんご存知ですよね?脱法ハーブと呼ぶ人もいますし、私の中学生時代だったと思うのですが、法の規制が追いつかない麻薬として有名でした。

そんな合法ハーブの店の話です。

当時地元の公立中学に通っていた私は、塾にも自転車で通うなど、電車にはほとんど馴染みのない生活をしていました。高校時代も自転車通学だったのであまりその点は変わらなかったのですが。そんな私にも、電車に乗らないといけない日というのがありました。それは高校入試です。

他の都道府県はどうなのかわからないのですが、大阪では私立入試のあとに公立入試があります。その公立入試のとき、正しくは入試が終わって帰宅途中。地元の駅まで帰ってきて、地下から脱出して1分ほど歩いたときだったのですが、知らないおじさんに声をかけられました。「すいません。財布を落としたので、500円ほど貸してもらえませんか?」そういうおじさんはかなり身体がやつれていてホームレス然としていました。さらには目が落ちていて、今思うと何かをキメている見た目でした。

当時中3の私は、彼を見た瞬間、怖いと思いました。そして私はそこまで脚が速くないので、反対を向いて走ったとしても逃げ切れる自信はありません。その結果本当に怖くなった私は、お金を渡しました。1000円。

なんで?いや、なんか財布を出した瞬間に金額を倍増してきたんで。怖くて。仕方ないですよね。

そういうわけで1000円を渡した私は、すぐにそのおじさんから離れて歩き出しました。そして曲がり角直前ぐらいまで来たときふと振り返ると、予想通り、地下鉄に降りず、合法ハーブの店に入っていきました。やっぱり。完全に寸借詐欺です。中学時代の私にとっては1000円は大金でしたが、もはやどうしようもありません。警察に言ったところで足がつくことはほとんどないでしょう。だから、帰って親に言いましたが、それだけで諦めました。授業料だと思って。

そういうことがあった合法ハーブ店ですが、そこからしばらくしたある時期、貼り紙をしているのを見つけました。ついに取り締まられたそうです。ありがたいことにそれ以降、寸借詐欺をされることはなくなりました。

みなさんも寸借詐欺に遭わないようにお気をつけてお過ごしください。

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桑井ゆた
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