Interview by KUVIZM #7 CRD(後編)
ビートメイカーのKUVIZMが、アーティスト、ビートメイカー、エンジニア、ライター、MV監督、カメラマン、デザイナー、レーベル関係者にインタビューをする"Interview by KUVIZM"。
第7回は、ラッパーやビートメイカー、映像クリエイター等多岐にわたり活動するCRDさんにインタビュー。今回は前編・後編にわけて記事を掲載します。
【インタビュー前編】では、出身や音楽活動をはじめるまでをうかがいました。。
CRD
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CRDの名前の由来
KUVIZM:
今更ですが、CRDという名前の由来を教えていただけますでしょうか?
CRD:
CRDの名前はシアトルのグランジバンドのPEARL JAM の曲『Cropduster』からとっていて。もともとCropdusterっていう名前だったんですが先輩に「長いから短くしたら?」って言われてCRDになりました。
Cropdusterの意味は「農薬散布飛行機」で、俺の音楽って農薬みたいに「あるものにとっては良くて、あるものにとっては良くないもの」やなと思って、その二面性が面白くてつけました。
映像をはじめたきっかけ
KUVIZM:
映像はどのようなきっかけで始めるのですか?
CRD:
1番最初に作ったMVが2011年に出した『再生』っていう曲なんですけど。今、インターネットにある中で1番古い僕の曲はそれだと思います。
『アマチュアナイト』(イベント)の映像を使ってて。当時のpekoとかKENTとかR-指定とかも映ってますね。テーク(テークエム)とかも 。梅田サイファーのみんなとか『アマチュアナイト』に出てたみんなとかが映ってて。
そんときMVを撮ってるやつが周りに1人もおらんかったんですよ、僕の周りで。"MV撮りたいな"って思ってるだけで技術が1つもなくて。"曲に映像がついてたら見てくれるかな"と思って、見よう見まねで作ったんですよね。めっちゃ低予算で、めっちゃ低クオリティです。ホームビデオです(笑)。
映像はカメラをやってる友達に撮ってもらったんですけど、画質はめっちゃ荒いっすよ(笑)。
そん時は友達に頼らざるをえなかったというか。全然、カメラマンとの繋がりもなかったし。編集は、(Macに最初から入っている)iMovieでやったと思います。トランジション(映像のカットとカットのつなぎ目)とか見たら、一発でわかると思いますよ。iMovie使ったことある人だったら(笑) 横に出てくるテロップとかも、「これプリセット使ってる」って(笑)
KUVIZM:
当時はHIP HOPは冬の時代で、MVを作る人も、ビートを作る人も、ラップする人も、今ほどは人口が多くなくてインターネットもこんなに便利じゃなくてみたいな。
CRD:
そうですね。お金がないのがデフォやったんで。稼げないのもデフォやったし、食えるとか食えへんとか以前の問題で、作品を世に出すことすら難しかった時代なんで。
YouTubeでの試行錯誤
KUVIZM:
そこからすぐ映像を継続的に作るようになるのでしょうか?
CRD:
『再生』のMVを作ったときに、"まぁまぁの形には出来んねんな"って思ったんですよね。
で、その年にYouTubeを始めてるんですよ。全10話のYouTube番組をやって。
KUVIZM:
始めた時期が早いですね。
CRD:
そん時にYouTubeでやってたのが、"変な録音の仕方をして変な曲を作ろう"っていう企画で。
例えばひとつのビートで、(ステレオの)右と左で全然違うラップして、"右からだけで聴いたらこういうラップで、左から聴いたらこういうラップ"とかっていう。1曲なのに2曲分っていう。1ヴァースなのに2ヴァース分聞けるやつとか。オートチューンを使わずにオートチューンを使ってみようとか。
KUVIZM:
オートチューンを使わないオートチューンはどのようにしてやるのですか?
CRD:
僕が考えたやり方で。例えば「アー」って声出してる音声と、「ンー」って声出してる音声をぶちぶちに切って、断片で並べたらオートチューンぽく聞こえるんですよ。
あと、これは今でも他の方もやってますけど、GEO(レンタルショップ、リユースショップのチェーン)で買ってきた50円のCDの音だけでビートを作るとか。実験的なことをめっちゃしてたんですよ。オルタナ好きやから、そういう風な発想が出てきてると思うんですけど。
それの一環で、"HIP HOPで曲の丸ごとのカバー"って無いから「カバーやってみいひん?」って僕と覇世とpekoで、RHYMESTERの『ザ・グレート・アマチュアリズム』のカバーをやったんですよ。僕がギターを弾いてビートを打ち直して。"バンドでやるカバーのやり方をHIP HOPっでやろう"っていう。
その頃の動画は、今はもう非公開にしてるんですけど。映像は面白いなってずっと思ってたんですよ。ちゃんとしたMVを作りたいなって思ってて、一番最初にちゃんと作ったのが覇世の『JUNK』っていう曲なんですけど。
そのMVを作って、自分の中で"ああ行けるんや、綺麗なMV作れるやん"って思って、それから今までずっとやってて。
ビートもレコーディングもMVも自分でやるのって、"1人で作るのが好きやから"なんですよね。全部1人でやりたい、"自分だけで全部作れたら面白いやん"っていうのがあるのと、やっぱり予算的な問題もありますね。
HIP HOPって"シェア文化"じゃないですか。世話になってる人とかに、自分が得たものを皆に分配する"シェア精神"ってあるじゃないですか。
それって凄いことやなって思うんですけど、"金ないやつが金ない奴にお金あげるシェア精神"って、なんかちょっと無理してるというか。
"無理して結婚式で祝儀包んでる時"と同じ気分なんですよ。それはあんまりほんまのシェアではないというか。
どっかに"痛み"があるわけじゃないですか。痛みを伴うシェアの仕方はあんまりよくないなって思ってて。
僕がなんかで稼いだお金の中からシェアするっていうのは分かるんですけど、稼ぎがないうちからシェアすんのは、僕の中では"商売になってへん"気がして。"僕がお金持ってへんかったら、他の人にお金を渡すっていう流れを作られへん"って思ってるんですよ。
だから自分でまず稼いで、ちゃんとお金が手に入ってから、それを分配するっていう形の方が普通にスマートやなって思ってて。そういう気持ちもあって、1人で作るのが好きってのもあって。
音楽業界での横のつながり、下積みについて
KUVIZM:
なるほど。並行して他の方へのビート提供も活発にやられてきたって感じですよね?
CRD:
そうですね。ミステリオとか。
KUVIZM:
ここまで、梅田界隈の方のお名前とかも出てきましたが、23歳からHIP HOPを初められて。大阪でのHIP HOPの横のつながりは広く築き上げてきた感じでしょうか?
CRD:
横のつながり凄いありますけど、でも友達の友達とぐらいしかほぼ繋がらないんで。なかなか広がりはないんですけどね。
10年ぐらい同じメンツとつるんでるような感じですね。『アマチュアナイト』とか"同じイベントに出てる仲間"って感じですね。
遊び方も、僕、普通に家でビート作ったりとか、スニーカー買って眺めたりしてるタイプの人間なんですけど、大阪だともっとストリートな感じの人達もいるので。現場型の人とは意気投合する機会があんまないかもしれないですね、今のところ。
ミステリオと出会ったのはMCバトルだったんですよ。ミステリオとクレイジーはMCバトルで出会ってて。MCバトルがなかったら彼らともここまで仲良くはなかったかなっていう。僕、MCバトルでは弱かったんですけど、ミステリオやテークエムにも勝ったことありますね。大金星。
KUVIZM:
話の流れでお伝えするのですが、以前、知人から梅田周辺は長い下積みに辛抱強く耐えて今活躍している人が多いという話を聞いたことがあります。
CRD:
梅田(周辺)は基本的にみんな下積み長いです、今も含めて。
僕もYouTubeでお金稼いでたって(会社の)仕事辞めれてないんでね。
だけど下積みっていうのは厳しい言い方をしてるだけで、あくまでもお金に関しての話ですけどね。
YouTubeでのスニーカー、ファッション系動画について
KUVIZM:
YouTubeに話は戻りまして、CRDさんのYouTubeチャンネルで“MVじゃない動画"をアップロードしはじめたのは、『HIP HOPファッションの歴史について(前編・後編)』からでしょうか?そういった動画を作り始めた理由も教えていただけますか?
CRD:
そうですね。2020年の6月ぐらいからあげてますね。
理由はですね。正直にいうと、"このままの形で音楽で大成できるなって思えへんかったから"です。
13年間か14年間ぐらい音楽やってきた中で、『AIR MAX』っていう曲はね、20何万再生ってありがたいことに行ったんですけど。
さっき言ってた話にも通じますけど、"食えてない下積みの状況"にずっとおって、今後ブレイクスルーする自信がなくって。
CRD:
でも、"目立ったことをすればもしかしたら俺の音楽も評価されるんじゃないか"と思って、2020年くらいにMVをめっちゃあげたんですよ。3か月で多分6本ぐらいあげてたんですよ。けど手ごたえが僕の中で全然なかったんですね。未だに1000回ぐらいの曲もあるし。なんか限界感じたんですよ正直。
"俺、音楽あかんのちゃうかな"って思って。"どれも当たらんかったな、俺才能ないんやな"ってそん時初めて思ったんですよ、自分のこと。
で、今まで僕はクリエイティブというか、発想だけは凄くあって、"こういうことしたらええんちゃうか"とかどんどん生まれてくるタイプやから、結構才能あると思ってたんですよ、自分のこと。
思い浮かぶまではいいんですけど、それを形にしたときに"もうちょっとできたよ"って感じがずっとあって。評価としてそんなに再生されてないし、"頑張ったら報われるってことはあんまないんかな"って思って。
泣き言は結構いうんですけど、そのままにしておきたくないタイプなんですよね。"それやったらもう、無理矢理にCRDっていう名前を(世に)覚えさせなあかんな"って思って、
そして、なんらかの形でCRDっていう人間の生きた証を残したかったんですよ。"何が出来んのかな"って考えたときに、"僕の大好きなスニーカーの話をする、僕の大好きな洋楽の話をする"っていう動画をやろうと思って。
ただ、スニーカーの話は自分の中で最初ちょっと戸惑ってたんですよ。"『AIR MAX』っていう曲にかまけて、スニーカーの話ばっかりするっていう奴になるのはちょっと安パイやな"って思ってて。最初はスニーカーの話はしなかったんですよね。
最初は音楽にまつわる話、HIP HOPにまつわる話とか色々してたんですけど、"あんまり皆見いひんな"って思ってて。
で、ファッションも好きなんで"ファッションの話してみるか"と思って、『Supremeはなぜ嫌われるのか?』の動画を出したら結構バズって。あれが今15万再生とかになってるんですけど。あの動画がきっかけで収益化もできるようになって。そこから"こっちの方向や"と思って、スニーカーとかファッションの話の動画に重点を置くようになったっていう。
要はその音楽があかんかったときに、"僕は何が出来んねやろ"って思ったときの、今僕ができることはこれちゃうかって思ったのがそれだったっていうところですね。
KUVIZM:
なるほど。動画を拝見しているとファッションやスニーカーの知識がすごいですが、っていつぐらいからそれらを好きになったのですか?
CRD:
最初に好きになったのは中学生ですね。小学校の時に比べてみんな意識するようになるじゃないですか、異性とか色々。そん時流行ってるものとか、"こういうのはダサい"って気にし始めたのが中学生かなって思いますね。
KUVIZM:
その頃からストリート系だったのですか?
CRD:
中学生って裏原系とか買えるぐらいのお金持ってないから、古着が流行ってたのもあって、古着屋行ってよさそうな服を買ったりとかっていうのが精一杯でしたね。
KUVIZM:
そうなのですね。動画で話されてる知識から察するに一朝一夕に培ったものじゃない感じがします。
CRD:
お金がない時代に服に興味があっても実物は手に入らんけど、雑誌読んで知識だけは増えるんですよ。
KUVIZM:
『Boon』(祥伝社から発行されていた男性向けファッション雑誌)とか、『Smart』(宝島社の男性向けファッション雑誌)とかですかね。
CRD:
そうそう。服を買えないからその分安い600円ぐらいの雑誌を買って熟読するんですよ、端から端まで。やっぱりもうそうなってきたらうんちく野郎というか、頭に知識はいくらか入ってくるというか。当時は経験より知識の方が溜まってたんじゃないですかね。
KUVIZM:
スニーカーですが、今所有しているのは100足でしたっけ?
CRD:
100足を僕のエンド(上限)にしてるんですよ。絶対100足こえへんっていうことにしてて。でも、今は多分80足ぐらいです。売ってるんで、普通に。
KUVIZM:
スニーカーをいつからたくさん所有するようになったのですか?
CRD:
"スニーカーヘッズやな"って自分で思って、集めだしたのは多分2010年からですね。
KUVIZM:
今のスニーカーブームよりも前ですよね。
CRD:
そうですね。一応その時もブーム的なのはあったんですよ。
2012年に『AIR JORDAN 11』の復刻が出て、それをきっかけに今のブームに繋がるような流行りが出来たっていう人もいるんですよ、一説には。僕はその波に乗ったっていうことかもしれないです。
今のブームっていうのは多分『SNKRS』(NIKEの公式スマートフォンアプリ)が出てからかと思うんで。
KUVIZM:
CRDさんのスニーカー動画には信念を感じるんですよね。なびかないというか。スニーカー業界で炎上が起きたときとかにもご自身の言葉で言及したりするじゃないですか。
CRD:
僕がYouTubeで動画をアップする理由は再生回数、お金、承認欲求ではないんですよ。承認欲求は若干あるかもしれないですけど。
僕の中でスニーカーの発信をしてる理由は、HIP HOPと今のストリートシーン、スニーカーシーンがもっとリンクした方が面白いなって思ってるからなんです。僕がそうであったみたいに。
スニーカーって海外やったら密接にHIP HOPと関わりあんのに、日本でそういう風な発信の仕方しないで、"再生数を取ろう"って人が多いと思うんですよ。それはそれで一定の需要があるからいいと思うんですけど、多すぎるんですよ。
なんで僕みたいな発信の仕方をしてる人がいないんだろうってめっちゃ疑問なんですよ。トラヴィス(Travis Scott)のスニーカーをかっこいいかっこいいって言ってるのに、トラヴィスの炎上の件をYouTubeで話したスニーカー系YouTuberは多分僕だけですよ。海外やったらあんな大事なってんのに。
トラヴィスとかの曲を聴いてスニーカーを好きになる人も出てくるかなと思うし、スニーカーだけが好きじゃなくてトラヴィスの曲を聴く人も出てくるかもしれないし、そういう橋渡し役を僕が出来たらいいと思いますね。
CRD:
強要して"知って欲しい"っていう風に思ってるわけでもないんですけど。
そういった情報を発信する人が極端に日本は少ないんで、僕みたいなやつがいてもいいんじゃないかなっていう風に思ってるんで。"スニーカーにまつわる裏話"とか、スニーカーとコラボしたアーティストのこととか"を面白いよっていうのを伝えたい。っていうのが信念としてありますね。
買い物動画とかはあまり出さないようにしてますね。買い物動画とか、オンライン抽選とかも再生数が絶対伸びるのは分かってるんですけど、"もっとなんか大事なことがあるでしょ"と思いますね。
KUVIZM:
そうなんですね。ただあのMVも凄い数字いいですよね。いい循環というか。
CRD:
僕が前までYouTubeで動画配信をしてなかった頃に比べると全然違いますね数字の伸びが。前まで1年間で1000回再生行かへんかったんですけど、昨日出したやつがもう3000回いってるし。
KUVIZM:
ただ、ご自覚なさってると思うんですけど、入り口はスニーカーであったとしても、結局は曲の良しあしで評価される部分も大きいですよね。
CRD:
『インライン』っていう曲のコメントで嬉しかったコメントで「こんなトピックなのにちょっといい曲なのがくやしい。」というのがあって。"それ狙い通りやな"って思って。
HIP HOPって"他人にとってどうでもいいことでも本人とっては凄く大事なこと"を歌ってるのが面白い曲ってあるじゃないですか。例えばYOUNG HASTLEくんの『V-Neck T』とか。
他人だったらほんまどうでもええけど、本人にとってはめっちゃ重大なこと歌ってるわけでしょ。あの熱量が、温度感が面白いわけじゃないですか。
『インライン』って曲も、正直その辺で売ってるスニーカーに関しての愛情を歌ってるわけなんですけど。
ニッチすぎるトピックやと正直思うんですけど。そこの部分を"これ面白いでしょ"ってやるのは寒いから、普通に真面目に曲とMVを作ってそれを面白いと思ってもらえるんだったら、"よかったな"って思いますね。
KUVIZM:
ちなみに、今も基本ひとりで動画制作をやられていると思うのですが、『インライン』の河原のシーンは三脚立ててひとりで撮られてるのですか?
CRD:
そうですね。河原に三脚立てて、となりに犬連れてるおばさまたちのグループがこっち見て「なにあれ?」みたいになってて(笑) 僕はバチバチ真剣にとってますから。
ただ動画作ってる時もMV作ってる時も、今付き合ってる彼女にめっちゃ聞くんですよ。「これどう思う?」って。編集とか動画制作は僕1人で作ってるんですけど、意見は聞くようにしてますね。絶対。
KUVIZM:
素敵な存在ですね。
CRD:
僕、ほんまに間違ってる時とかあるんですよ。知識的な間違いじゃなくって考え方的な間違いとか。
活動と会社の仕事との両立
KUVIZM:
現在、活動は会社にお勤めになりながらやられているのですよね?
CRD:
そうですね。会社員ですね普通に。
最近、週4日勤務になったんですよ。フルタイムの時間なんですけど、40時間を4日間でやるってなって。出勤日は朝9時から夜9時まで働いてるんですよ。
その分、週休3日にしてくれるようになったんですよ。
だから、今後は今までよりYouTubeの投稿がめっちゃ増えると思います。自由に使える日が1日増えたんで。
3日間休みあるうちの1日は彼女と一緒に過ごして、1日はスニーカーやファッションの動画を作って、そんでもう1日はMVとか曲を作ってっていうサイクルで行こうと思ってて、いい感じになってきてます、今。
KUVIZM:
前から気になっていたのですが、情報収集力がすごいですよね。どこにそんな時間があるんだろうって。会社勤めもして、曲を作ったりしてる中で。
CRD:
僕、携帯依存症やと思うんですよ。暇があれば携帯で見て、"これええな"って思った情報とかを保存したりとかっていうのを常にしてるんで。業務的にまとめてるんじゃなくて、ほんまに趣味なんで。言われてなくてもやってるんで。自然に(情報が)集まってきますね。
KUVIZM:
海外の情報をキャッチするのも早いですよね。
CRD:
基本スニーカーの本場って海外なんですよ、日本じゃなくてアメリカ。"アメリカで起きてることっていうのは世界で起きてること"だし、日本国内の情報だけやったら正直分からへん部分とか伝わらん熱量もあって。
例えば、アメリカでNIKEが"マイケル・ジョーダンとスニーカーを作る"っていう道を作ってなかったら、日本ではスニーカーは流行ってないと思うんですよ。
基本的にアメリカにデザインされたものを、日本人も履いていてるわけじゃないですか。やったらアメリカの情報の方が、正しい源流じゃないのかなって思って。
だから日本の中でその流行ってるものとか日本の中で取り沙汰されてるスニーカーのトピックとかって、アメリカから1回下に降りてきた下流の方の出来事なんですよ。上流(アメリカ)の方に行ったら、どういうところから水が湧き出てるとかそういうことがわかるんで。下流だけの水の流れを見るよりも全体が見えて面白いじゃないですか。
そういうのを見ようと思ったら日本の話だけじゃなくて、海外にしかない情報を調べる方が面白いんですよ。深いんですよ。
KUVIZM:
英語もお得意なのですか?
CRD:
全然得意じゃないです。結構辞書引いたりとか、Google翻訳使ったりとかしてますよ。文明の力に頼りまくってますね。
KUVIZM:
まず行動力がすごいですよね。
CRD:
僕、ほんとにプラオリティーがすごい入れ替わる方なんですよ。彼女とかにも言われるんですけど、「明日○○あって○○あんねん」っていうことが、次の日になったら気持ち変わってるから、順番逆になってたりすることがよくあって。
そん時やりたいことを1番優先でやってるんですけど、時間の使い方で言うと全然まだまだなんで。その代わり、休む時間ないんで睡眠不足です。楽しくやってるんで全然苦じゃないんですけど。
多動癖というか、ADHDってよく最近聞くじゃないですか。多分僕はその気(け)があると思うんですよ。それをいい方向にできてるんじゃないかなって思いますね。落ち着きがなくて、なんでもやりたがるところをいい方向にもっていけてるのかなって思いますね。
KUVIZM:
疲れたり、休みたくなる時はありませんか?休みなく動き続けているわけで。
CRD:
"寝たい"はありますよさすがに(笑)
でも、思ったより再生回らへんかったりとか、コメントめっちゃ少なかったりしたときは、単純に何があかんかったのかなって反省するときありますし、でも今まで僕の経験上それを反省して止まってる時が一番もったいないんですよ。
コメントでディスとかあんまり来ないんですけど、たまにくるディスコメントとかに対してやっぱりちょっと落ち込む時があるんですよ。誹謗中傷は別ですよ。確かになって思うことに関して。
ちゃんと的を射たような批判をされたときに、次に行動するのが遅なるんですけど、今までの経験上で3日か4日間ぐらい開けて次に出した動画がめっちゃ再生されて高評価めっちゃ多いみたいなとか、全然あるし。
考えすぎはよくないし、僕は"ラーメン屋の気持ちになれ"って思ってるんですよ。ラーメン屋ってすごいなって思うんですよ。ラーメン屋って、毎日毎日ラーメンを提供してて、食べログとかみたら普通にディス書かれるじゃないですか。満点つける人いないでしょ、あんまり。そういうのを見てると、ラーメン屋ってタフやなって思うんですよ。
毎日毎日提供しててそんでその提供したラーメンを美味いだのまずいだの客が言っててっていうのを毎日やってる。でもラーメン屋は次の日もラーメン作り続けるわけじゃないですか。かっこええクリエイターやなって思って。ほんまにラーメン屋は学ばなあかんでってめっちゃ思って。僕もラーメン屋の気持ちで動画作っていかんなと思ってて。"ラーメン屋は何も文句言わんと作ってるでしょ"っていう。
僕の中で気を付けてることっていうか、やり続けるうえでこれは思っとかなあかんなっていう風におもいますね。
今後の展望
KUVIZM:
最後の質問になります。今後の展開を教えていただけますか?音楽でも映像でも。
CRD:
YouTubeに関しては、今後投稿頻度もっと上げていきたいと思ってて。投稿頻度を上げたあかつきにはですね、3万人記念とかどういう機会になるかは分かんないですけど、例えばLOFT/PLUS ONEとかでトークイベントやりたいなと思ってます。
僕が普段YouTube Liveでやってるように、お客さんから質問受けたり、トピックを何本か持っていってトークしたり。スニーカー好きなラッパーのゲストとかも呼んだり。
周りの仲いいやつらとか呼んでちょこっとライブしてもらったりとかもいいかなって思ってて。
スニーカーヘッズの人たちに音楽、HIP HOPを聴いてほしいなっていうのもありますね。そういうイベントができたらいいなと思いますね。最初は大阪でやって、次東京でやってって感じで。
KUVIZM:
CRDさんのYouTubeチャンネルの視聴者のみなさんには期待して待っていてほしいですね。
KUVIZM:
音楽のほうでの展望もございますか?
CRD:
今後、定期的にMVを撮っていきたいと思ってて。
今、『Blackmagic Design』っていうカメラメーカーさんからサポートを受けてて。そこのカメラで撮ったMVを今年(2022年)の2月、3月、4月に出してて。
MVと曲を1か月に1回か、2か月に1回かのペースで出していこうかなって思ってて。最終的に『KICKSTAPE』っていう名前のミックステープを作ろうと思ってるんですよ。ミックステープって言ってもアルバムなんですけど。
全部スニーカー(キックス)をトピックにした、おそらく世界初のスニーカーアルバムだと思ってて。
CRDっていう人間がラッパーとして正攻法で売れるっていうのは自分の中で諦めてるところがあって。僕が今できるのは何かって考えたら、"スニーカー好きだし、スニーカーっていうトピックを語れるラッパーって日本に僕以外いないのちゃうかな"って思って。
だからそこは僕の武器やなって思って。
YOUNG HASTLEくんが筋トレアルバム出してるみたいな感じで。僕もスニーカーアルバムを出すっていう。コンセプトアルバムで出せたら面白いなって思ってて。ニッチかも知らへんけど、やってる人、他にやれる奴いないでしょ。そこが面白いなって思ってて。
あわよくばですけど、"リリースするときにiTunesチャートで1位にしたいな"と思ってますね。
KUVIZM:
その角度からのチャートインはあまり類を見ないですよね。
CRD:
この角度ないっしょ中々(笑)
今YouTubeやってる中で、"あらぬ角度から"っていうと、『ニートTokyo』に呼んでもらったときとかも、"声かかんねや"って思いましたし。自分の中で、"ニートTokyoに出たいな"ってちょっと目標にしてた部分もあったんですよ正直。あそこに出たらちょっと認められたって感じがするっていう部分もあるんで。
KUVIZM:
そうですね。
CRD:
叶ってよかったなと思いますね。今後は、"イベントと、スニーカーアルバムを出したい"っていうのが今年の当面の目標ですね。
KUVIZM:
インタビューは以上となります。ありがとうございました。
CRD:
ありがとうございました。
記事作成協力:ナナシさん