なぜブラウンズがメイフィールドをあきらめたのか。

デショーン・ワトソンが3年分の1巡とプラスαのトレードでクリーブランドにやって来ます。これにより4年間先発を勤めたベイカー・メイフィールドが放出となる事が決定的です。

ベイカーにはあの印象的なデビュー戦以降、本当に楽しませてもらいました。喜怒哀楽の激しく、魂を揺さぶられる、記録よりも印象に残るQBでした。ベイカーには感謝の気持ちでいっぱいです。

私はもう一年彼にチャンスをあげたかったので、今回のトレードには残念な気持ちが7割、仕方がないかなってのが3割なのですが、なぜブラウンズはベイカーをあきらめることになったのか?という事を、私なりの解釈で書きたいと思います。状況からの妄想がほとんどですので、フィクション程度でお考えください。


今回のトレードにはオーナーのハズラムの意向が強かったという噂ですが、フロント陣が本当にベイカーを信頼しているのならば、それを突っぱねる事は出来たはずなので、オーナー単独での動きということは考えにくいです。ベイカーはGM、HCの信頼を失っていたと考えるのが自然です。

大学のノリで新人TD記録を更新してイケイケだった1年目、その鼻っ柱を折られた2年目を経て、新しいHCとGMがやって来てチームの組織は一新しました。ベイカーを復活させるべく、OC兼QBコーチのヴァンペルト(AVP)がベイカーの教育担当みたいな存在になりましたが、そのAVPが就任後の会見で言っていたのが、ベイカーのフットワークをもっとエレガントにしたい。という事でした。

確かにベイカーのフットワークはお世辞にもエレガントとは言えなかったので、当時は、まあ上手いこと言うなぁくらいにしか思わなかったのですが、後に理由が分かりました。ステファンスキーのオフェンスはタイミングパスを多用するので、フットワークがエレガントじゃないとパスを投げるタイミングがワンテンポ遅れて、スキームに合わなくなるという事だったという事に気付かされました。

スラントが得意なOBJと合わなかったのはこれが原因だと思っていまして、もうワンテンポ早く投げていれば通るパス、ビッグプレイに繋がるパスが繋がらなかった。2年前から改善しなくてはいけないポイントが分かっていたのにも関わらず、残念ながらベイカーのフットワークはエレガントにはなりませんでした。むしろ怪我で悪くなったくらいです。ただ単純に出来なかっただけかもしれませんが、この事からベイカーはAVPのアドバイスをちゃんと聞いていたのか微妙なところです。実際、まだベイカーを使う予定であったシーズン終了後に、AVPはQBコーチの肩書きを外しています。

次にベイカーの問題点でよく語られるのは、スローイングメカニズムの問題です。スローイングが安定しない。肩の開きが早い。足の運びが悪いなど、ベイカーのスローイングの問題は元NFL有名QBから素人に毛が生えたYouTuberまで、ベイカーの問題点を語るうえで必ず言っていた事です。そんな皆んなが分かっている問題点をブラウンズのコーチも知らなかった訳がなく、ベイカーに伝えていたはずです。
NFLのQBはオフシーズンに専属のQBコーチを雇い、スローイングを改善・固める選手が多いですが、しかしながらベイカーがオフシーズンにやった事は肉体改造です。

以上からベイカーは素直にコーチ陣のアドバイスを真摯に受け止めていたのか?疑問が残るわけです。

もう一点はベイカーはリーダーシップが素晴らしいと言われる事が多いですが、私は懐疑的でして、確かにチームメイト思いですし、調子の良い時のベイカーは皆の先頭に立ってノリノリで引っ張っていきます。しかし一転チームや自身の調子が悪くなると塞ぎ込む傾向があり、意気消沈したチームを鼓舞する姿があまり見れなくなってしまいます。それだけならまだ良いのですが、その怒りの矛先がコーチ陣に向いてしまい、コーチ陣との軋轢を生んでしまうのが問題なんです。ベイカーがコーチと揉めたのはカレッジ時代から3回目で、ブラウンズでは2回目です。4年で2回です。キッチンズの時はコーチ陣が責任を負うかたちとなりましたが、今回は流石にベイカーの分が悪かったです。それもそのはずでこの2年はベイカーの為にチーム作りをしたと言っても過言ではないからです。

仲間のOBJがリリースされ、外から見ても分かるほどにチームの雰囲気が悪くなりました。ベイカー的には「大事な仲間を断もなく切りやがって」といったところでしょう。本来ならばそこでリーダーシップを発揮してチームをまとめてほしいところですが、仲間と一緒にコーチ陣と対立する道を選んでしまいました。もちろんコーチ陣にも責任はありますが、結果的にブラウンズはランドリー・フーパーを切るしか道が無くなってしまいました。

ブラウンズが新QBに求めているのは『大人』である事。
それを考えるとベイカーがとっていた行動は大人とはかけ離れており、ベイカーをあきらめた理由を一言で表しています。

ここまでベイカーの事を悪く言っても、それでも有り余る魅力があるのがベイカー・メイフィールドです。彼と一緒にスーパーボウルを勝ちたかった(涙)
いつかファーストエナジースタジアムにアウェイとして乗り込んできて、CLE民を煽りまくる姿を楽しみにしています。ブーイングしちゃうぞ!!!

それでワトソン。今のところ私の彼の評価は「犯罪者一歩手前の守銭奴」です。これからの彼の努力でこの評価を変えてほしいです。ギャレットがあの件から変わったように人間は変われる事を知っています。

最後に、ブラウンズファンには感情を弄ばれるトレードとなりましたが、幸いにもブラウンズにはベイカー以外にも魅力的な選手がたくさんいます。私は彼らを、クリーブランド・ブラウンズをこれからも応援していきます。

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